74.バビロニアの依頼
俺達がバビロニアにやってきて翌日経つ。
俺達は朝早く起き、朝食諸々含めた用事を終え、玉座の間に向かう。
その中で兵士たちの話し声が聞こえたが、それはどれもこの国が起きている惨状だ。
昨日アリオンと王様が愚痴り合っていた王子はどこに行ったのだろうか? こんな惨状の中でもまだ帰ってきてないなんて……。
そう思っているうちに玉座の間に着き、今度はちゃんと首を垂れる。
昨日みたいなボケはもういいからな。
そうして少し待っていると王様がやってきて、昨日の事をもう一度繰り返し終えてから話す。
「それでは、勇者様が行う依頼一覧でございます。アレを出せ」
「ハッ」
王様の命令を聞いた家臣はそう言って巻物を広げる……かと思っていたが、巻物を広げて空間に映し出す。
魔法ってそんな事も出来るんだな。
魔法の応用性に感心しつつ、巻物に移された画面を見る。
●【山脈の魔犬狩り】……獰猛な魔犬を15体討伐。場所 ザクロ山脈
●【荒野に起きる狂乱の治め】……狂乱竜を三体討伐。場所 ヒュフル荒野の北辺
●【怒り狂った獣たちの乱闘】……怒り狂う蠍獣を十体討伐。場所 エリン森林
●【魚人侵攻軍】……魚体の戦士を30体討伐。場所 サブラス川
●【青く光る闘牛の捕獲】……青天牛を五体捕獲。場所 ヒュフル荒野南辺
俺は五個のクエストを見ながら考える。
ザクロ山脈やヒュフル荒野やエリン森林やサブラス川の四つの場所に別れているが、どのように強い分からない。
その為どのようにすればいいか考えていると、カインが地図を見ながら言う。
「王様の前で失礼だけど、地図で近さ順に言えばヒュフル荒野→サブラス川→エリン森林→ザクロ山脈だな」
俺はカインが見ている地図を横から見る。
詳しく言えばヒュフル荒野南辺はサブラス川に近く、ヒュフル荒野北辺はザクロ山脈に近い。
俺はそれを見て最初に【青く光る闘牛の捕獲】を選び、王様から数人の兵士を借りて向かう。
▲▽▲▽▲▽
――アレス達が城を出て、ルガルバンダは肩を下ろして呟く。
「フゥ……ようやく向かったか。そろそろ出て良いぞ」
「ハイ」
ルガルバンダが呼びかけると、柱の裏から一人の美女が現れる。
その美女は黄金の飾りと煌びやかな宝石を着け、不思議な雰囲気を持つ美女は、ルガルバンダの腕にしがみつき、上目づかいをしながら聞く。
「ルガルバンダ様、あの勇者は大丈夫ですか? いかにも弱そうですが……?」
美女はアレスの事について聞く。ルガルバンダは少し考え、アレスの印象を言う。
「フム……あの勇者の印象はただの小僧だが、油断すればとても厄介だ。だが……」
ルガルバンダは呟くと同時にあくどい笑みになって言う。
「神代に生まれた魔法具……神話級・翠嵐之斧と冥界長刀、この魔法具を手にいれば世界征服が可能になる! そうすればわしはこの世の根源に到達できる!」
ルガルバンダはそう叫ぶと美女は妖艶に笑って言う。
「フフ、とてもすごいわ。その時は私も……」
「アア、もちろんだとも。我が愛しきイシュタルよ」
イシュタルと呼ばれた美女は頬を緩ませ、ルガルバンダと共に笑い出す。
▲▽▲▽▲▽
――ひっそりとした湖に一人だけ釣りをしている青年がいる。
青年は城内に仕込んでいた古代魔術・万物之眼で見ている。青年はルガルバンダに企んでいる事に呆れている。
「ハァァ……まったく、あの女は人に操る事に長けているな。それに永遠の命か……」
青年は呆れながら竿が震えてるのを感じると、一気に力を込めて掴む。
釣り糸が張り、いつ千切れそうか分からない時に、青年は笑みを浮かべながら叫ぶ。
「フハハ! 久々だが、釣りは中々良いものだな!」
青年は叫びながら勢いよく竿を振り上げる。
すると魚は釣り針に引っかかり、勢いよく魚があげられる。
青年はつり上げ魚を観ると、少しばかり懐かしく思い出す。それは親友と釣りをしていた時の記憶だ。
『ネェ見てよ、僕おっきい魚つれたんだよ!』
『おお、それは凄いな。だけど俺はその倍だ!』
『ワァァァ! これ以上おっきい魚初めて見たよ!』
青年はその記憶を懐かしそうに思い浸る。
青年は少し疲れを感じ、そのまま地面に寝転がって寝る。
▲▽▲▽▲▽
――しばらく馬車で走ってから数十分経つ。
俺はエルキドゥにギルガメッシュについて聞く。
「そう言えば、ギルガメッシュ王子について詳しく効かせてくれないか? アリオンに聞こうとしたけど……」
俺はアリオンの方に指す。当の本人はとてつもないほど、顔を渋くしている。
よっぽどギルガメッシュ王子について言いたくないだろうなぁ……。
俺はアリオンの様子に少し苦笑いしながら頬を掻き、エルキドゥはギルガメッシュ王子について分かりやすく言う。
「ギルを分かりやすく言えば……魔力量が皇帝級で古代魔術を扱え、さらに頭脳が良くて戦闘力も高い。だけど少し傲岸不遜な性格だよ」
「へ、へぇ……」
俺は少しギルガメッシュ王子について聞いてぎこちなく答える。
やっぱり才能が大量にあるけど、傲岸不遜な性格って……昨日アリオンが愚痴ったのは性格が原因だな。
そう思っていると牛の鳴き声が聞こえ、俺は少し外を見る
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