71.VSバシュム&ウシュム前編
そうしてバビロニアに向けて出発してから一週間経つ。
あれからバビロニアに向かいながら、襲い掛かる不浄人形を倒して進んでいる。
襲い掛かる不浄人形は小鬼や断末魔草だったが、バビロニアに向かうにつれて蠢く触手と呼ばれる不浄人形が襲いかかる数が増えて行った。
そいつらの強さは突撃銃を使えば何ともないが、しかしその厄介さは治癒力だ。最初は何ともなかったが、少し隙を見せたらすぐに襲いかかり、倒すのに五回ほど倒したくらいだ。
アリオンに見せてもらっても首を傾げ、カインもその治癒力には頭を悩ませていた。
蠢く触手の素材は自由組合に送っており、その解析結果を使い魔に送らせる予定だ。
一体何なのか調べてもらえば弾倉の消費量を減らす事ができるし、皆の負担を減らせる。
そのため出来る限り生命晶の破壊を主に戦っている。
そして食料と火薬を補充するために、近くにある集落によって補充する。
それと少しバビロニアの様子を聞いてみる。聞き込みは俺とヴィンセントとカイン、あとはアリオンとエルキドゥだ。
アリスは変な奴に絡まれそうだし、レノンは子どもだからあとにしろってあしらわれそうだし、アイリスは妖精だから攫われてしまう。だから三人は馬車の中でお留守番している。
俺は近くにいる商人に話しかける。
「すまん、ちょっといいか?」
「うん? 俺に聞きたい事があるか?」
俺は商人にバビロニアや予言について聞く。しかし商人は苦虫をかみ潰したよう顔になって言う。
「悪いがそのことは知らんし、この集落から離れて場所に赤毒の蝮と青毒の蝮ッテ言うつがいの不浄人形がいて中々入れないんだ……」
「そうか……邪魔して悪かったな」
「いやいや、もしもバビロニアに向かうなら気を付けておけよ~」
「アア、分かった」
俺は商人と別れて情報収集と補充を続ける。
そしてある程度情報を集め終えて、馬車に集まって情報交換する。
最初はバビロニアにある予言についてはあまり知る人は少ない。
次には蠢く触手はバビロニア周辺にはいなく、代わりに獰猛な魔犬と呼ばれる形状獣の犬型だ。
そいつは数体の群れを成して人に襲い掛かる、蠢く触手みたいに瞬時に直ったりはしない。そのことを聞いてほっとする。
あれと同じだったら精神がとても疲れてしまう。
そのことを聞いてホッとするが、問題はもう一つある。
それは俺が聞いた赤毒の蝮と青毒の蝮だ。その不浄人形は形状幻想の竜型で、抜群のコンビネーションで敵を殺していき、さらに赤毒と青毒の名の通りに毒を使い、赤毒は体内が燃えるほどの激痛を与え、青毒は体内が凍えるほどの激痛を与える。
そのため全身を赤くして苦しむのが赤毒の蝮で、蒼くして苦しむのが青毒の蝮と呼ばれている。
その猛毒を解毒するために解毒剤を持つのが大切を聞いた。そのため大量の解毒剤を買い込んだ。
これで赤毒の蝮と青毒の蝮の猛毒対策をしたことで、最後はバビロニアの事だ。
エルキドゥが言うにはバビロニアは本来、精霊国家アッカドと龍脈国家シュメールが合わさった国の事で、最初はその合併を妖精は猛烈に反対していたが、徐々に時が経つにつれて行き、今いる王の十代前がアッカドシュメール共和国ではなく、霊竜同盟国バビロニアとして改名した。
そして今いる王が予言をおこなって、そしてそれを見たら最初は怒髪天を貫いていたが、今の王の息子が「我の盟友と妖精の王女にその勇者を連れて行かせばよい」と言われて、その盟友であるエルキドゥと妖精の王女であるアイリスがやって来たというわけだ。
う~ん、やっぱり俺が知っているバビロニアと少し似ているな。
最初は二つの種族が争っていたけど、それが一つの大国となっている。しかしそのバビロニアはペルシア王国に滅ぼされるからな。
そう思いながら考えていると、エルキドゥは首を傾げながら聞く。
「じゃあ、僕から聞くけど……その武器は何? 何で筒から弾丸を撃ちだせるの?」
エルキドゥは俺が磨いている〈M4カービン〉を指しながら言う。
やっぱりか……この世界の住人にとって突撃銃や狙撃銃は未知の領域っていうイメージが強いからな。
俺はエルキドゥにこの武器の事について話した、俺が天授だという点もだ。
エルキドゥは驚きもせずに興味津々聞く。
そしてこの武器についてすべて話すとエルキドゥは顎に指を当てながら言う。
「へぇ……勇者の君が持つ知識は中々興味あるよ。今度それの仕組みを教えてくれないかい?」
エルキドゥは俺が持つ銃知識を知りたがっているが、俺は丁寧に断る。
理由はどこかで情報が漏れたでもしたら、それを悪用する連中が増えてしまう事もある。実際そのコピー品で人を殺害した事件もあったからな。
俺は銃の危険性をじっくり説明した諦めさせる。エルキドゥは口を拗ねながら諦める。
まだあっても二週間くらいだから、情報をあまり言うのは危険だからな。
そう思いながら話し合いを終える。
その後は近くにある宿屋に泊まって、朝早く出発した。
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