61.ケジメ
可成り遅れてすみませんでした。
そこから腹、鳩尾、右目、眉間を貫くとそれ以上の攻撃は収まった。俺は青ざめている二人を横目で見ながら説明する。
「これは僕が開発した狙撃銃で、その一つである〈SVD〉は自動に装填を行われ、狙いを定めれば的確に倒せる武器でございます。さらにその射程範囲は1Km! その上お嬢様の〈探知眼〉を使えばさらに命中率が完全に近くなります! 試しにそこの双子に撃たせてみます?」
「「ヒィッ!」」
俺の言葉を聞いて二人は呻き声を上げる。いつでもどこでも狙われる恐怖、たとえ食事や睡眠に散歩に夜這いをしている途中で命を奪われる。
そんなの常人からすれば拷問に等しいくらいだ。この二人は先頭の恐怖をあまり知って無いか、親に叱られる子供のように怯えていた。
さて、ここで追い打ちを掛けるか。俺はさらに追い打ちを掛けようと、から一束の書類を取り出す。それを見たレヴァンは慌てて俺に聞く。
「ま、待て! それはまさか……!」
レヴァンの質問にレヴィンも俺が持っている書類に気付くと、蒼い顔からさらに青ざめてくる。男の純吸血鬼は何の書類か分からずに俺に聞く。
「その書類は何だ?」
「これはレヴァン様とレヴィン様が溜め続けてきた借金に関する書類です」
「何だと!」
男の純吸血鬼は驚愕の事実を知って驚いてしまう。隣にいる女の吸血鬼もそのことに面食らっている。
レヴァンとレヴィンは急いで俺が持っている書類を奪おうとする。しかしお嬢様が遠距離で二人の動きを止め、俺はその書類を男の純吸血鬼と女の吸血鬼に渡す。
それを見た瞬間、男の純吸血鬼は書類を机にバラまいて叫ぶ。
「何だ、コレは! これに書かれている額は良くても五代まで隷属に落ちてしまうではないか!」
「しかも借りている所はどれも碌な所ではないか……」
男の純吸血鬼が机を強く叩き、女の吸血鬼は碌な所に借りまくっている事に呆れ果てていた。
この戦争を行った理由は事業に失敗したからだ。最初は成功していたが徐々に売り上げが減ってしまい、闇金に金を借りて一発逆転を狙っていたが結果は惨敗してしまい、藁にすがる思いでこの戦争を起こしたらしい。
にしても成功している時は散財しまくっているのも併せているけど、コイツ等どんだけ商売の事舐めてんだよ。
アリオンに見せたらドン引きした上に「商売の基本を知らない、むしろふざけているように見えませんわ」って言ったしな。
コイツ等に呆れた目で見ていると、二人は歯ぎしりをしながら睨みつける。
それは今でも襲い掛かりそうだ、だけどこっちには狙撃手のお嬢様がいる。抵抗してこの場で殺そうとしたら返り討ちどころか、そっちの方が殺されてしまう。
コイツ等はそんな勇気は無いし、それを防ぐ方法もない。だから歯ぎしりしか出来なくなっている。その上こいつにはアイヴァンの他にも子供がいてそれを狙われた最悪だ。
多分この二人は言い訳を考えていると思うがそうはさせまいと、奥様が立ち上がって断言する。
「これまでの失態を他人の所為にした揚げ句、一族を隷属に落とさせようしたことであなた達は反逆者として階級を剥奪し、二度と私たちやその他の方々に迷惑をかけない様に地下に閉じ込めさせてもらいます!」
奥様がそう断言するとレヴァンは地面に手をつきて絶望する。
「終わりだ、我ら一族は破滅だ……」
「あ、アァァ……」
レヴァンは自身の未来に絶望し、レヴィンは無慈悲な現実を信じたくなくて泣き出す。護衛についていた傭兵も馬鹿馬鹿しくなってこの場から去る。ただしウォーロックさんは俺に近づく。
本当に久しぶりだが、何でそっちの見方をしているのか聞きたい。しかしウォーロックさんの目は覚悟を着ているに見えている。
俺は奥様に確認する。
「申し訳ありませんがここで戦ってもよろしいのでしょうか?」
「エエ、戦ってもよろしいわ」
奥様は優雅に紅茶を飲みながら答える。
俺はウォーロックさんの方に向くと彼は瞬時に接近してくる。今ここで回避したら奥様や他の方々に当たってしまう、俺は堅牢をかけて奥様の前に立つ。
ウォーロックさんは力強く正拳突きを放つ、だが俺はそれを防ぐ。しかし受け止めた正拳突きの衝撃が強くて倒れかけてしまう。
だけど何とか耐えてウォーロックさんの腕を払い、ウォーロックさんは瞬時に後ろに下がる。
ウォーロックさんは涼しい顔をしており、俺は少し息を荒くしている。旦那様ほどじゃないけど屋敷を奪われるまで、つけてくれた訓練は本気じゃなく手加減したんだろう。
本当に旦那様の従者は強いな……だけどこっちは譲れないものがあるんだよ!
俺は足に俊敏をかけて接近する。ウォーロックさんは攻撃に備えて腕を構える、だけど俺は保持容量から魔鉄鉛を取り出して詠唱する。
『天授起動、複製物体名チャクラム!』
詠唱し終えると魔鉄鉛からチャクラムに変わり、それがウォーロックさんに向かって飛ぶ。
しかし当の本人は魔力で腕を守りながらチャクラムを弾き飛ばす。
「ッ――!?」
ウォーロックさんは苦痛の表情に歪む。何故なら相手の魔力に触れると鋭くなるようにしているからだ。
ウォーロックさんは早くチャクラムを抜こうとする。だが俺は力強く腹部にけりを入れる。
するとウォーロックさんは蹴られた衝撃で少し後ろに下がろうとする、そのすきを狙って腕を掴む。
そして勢いよくウォーロックさんを地面に叩きつける。
「オラッ!」
「グハァ!」
ウォーロックさんは地面に叩きつけられた衝撃で酸素を吐き出して気絶する。これは建物内にいる危険人物を捕らえる戦闘技術、またの名をCQC(Close quarters Combat)と呼ぶ。
ウォーロックさんが気絶しているうちに俺はある物を取り出す。
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