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銃器が弱すぎる世界に転生したけど銃知識と現代戦術知識で成り上がる  作者: 佐々牙嵯峨兎
2章 邪月の都ルナ

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47.不穏の火種

 早々この場から去りたいが、全身が痛く苦しんでいた時に、カイン様が膝を地面について聞く。


「大丈夫か? さっきからレノンに支えられているが、無理しているなら俺の背に乗れ」


 このまま進んでも、少しずつ休まなきゃいけいないだろう。あいつ等は捜索範囲を広めて俺達を探す、ならば即座にこの場から去った方が得策だ。

 俺はお言葉に甘えて、カイン様の背中に乗ってこの場から去る。少しだけ振り返って隼人はやとをみる、少しも動かずに倒れている。

 あいつは元サッカー部のエースで、それにうぬぼれて俺や弱い奴を主軸にいじめてきた。

 自分の才能を盾にして、他者をいじめた物の末路がこれなんて、とてもじゃないがみじめだな。

 マァ、自業自得や因果応報だと思うと全然気にならなくなった。俺は隼人はやとに哀れな瞳を向けつつ、カイン様とお嬢様と共にここから去る。





▲▽▲▽▲▽





 アレス達がこの場から去ったのを確認したアマンは、彼が持つ武器を見ていた。


「あんな筒状のガラクタから小さい鉄球を打ち出せるなんてな……」


 アマンは筒状のガラクタもとい銃器の力に驚いている、だがさらに驚いている事はカインの隣で走る少女……レノンの才能におののいている。

 もしかしたら魔力量が奴隷級スレイブじゃ無かったら、彼女は様々な魔法で見えぬところから、一方的になぶり殺しにしていただろう。

 タダの兵士からすれば悪魔や冷酷非情な暗殺者アサシンだろう、アマンはそれと同時にカインに疑問を持っていた。

 なぜか悪魔の囁き(デヴィル・トレード)の術にかかっているのに、自我を取り戻す事ができた。

 一部を除いてこの術を解くのは、聖水か六式魔術のうち一つである〈祝福〉を使う以外はない、なのになぜか正気に戻ってこれた。

 とにかく命の灯が切れかかっているアイヴァンに近づく、傍らから見てももはや致命傷に届いて手遅れに近いが、アマンは彼の傷口に手をかざして詠唱する。


『我が血よ(Mein Blut)、汝を癒やし(sei das Elixier)、汝を蘇る妙薬となれ(das dich heilt und wiederbeleb)。邪悪の妙薬(エリクサー・オルタ)


 詠唱し終えるとアマンは自分の手のひらを傷づける、手のひらから血が溢れてアイヴァンにかける。

 するとアイヴァンの傷口が歪ながらも、徐々に回復し意識を取り戻す。


「ヴ、ウゥ……俺は確か――」

「お前は負けた、ただそれだけだ。早く元の陣営に戻るぞ」


 アマンはそう言って、アイヴァンを大樹の檻(ツリープリズン)に入れて運び出す。

 そのさなかアイヴァンは歯を強くかみ締めてぶつぶつと呟く。


琢磨たくま、俺に恥をかかせやがって……必ず殺してやるよ!」


 アイヴァンは先ほどの戦いをかなり不屈に思っているだろう、しかしアマンは興味なさそうに無視して、依頼主であるレヴィンとレヴァンに運ぶのみであった。

 その後アイヴァンを近くにいた兵士に引き渡して、レヴィンとレヴァンにレノンとカインの事を報告した、するとレヴィンとレヴァンは机を強く叩いて叫ぶ。


「クソッ! ガロンとユミルの子どもを取り逃がしおって!」

「申し訳ありません。しかしカインの戦闘能力は知っております、しかし謎の付き添いがこのような物を……」


 アマンはそう言って、懐から一つの薬莢を取り出して渡す。

 その薬莢は二つに分かれている、しかし中には一つの石が入っていた、レヴィンは薬莢に入っている石を取って自作魔法鑑定(アプレイザル)で鑑定すると、光石だと言う事が分かった、しかし彼らは首を傾げる。

 これを包めば誰だってできる、しかし断面がきれいに切れる様子にするなんてありえるのだろうか?

 そう考えていると一人の男がその薬莢にいて説明する。


「その薬莢はお嬢様のお世話係が作ったもので、なんでもそれに物を詰めれば様々な銃弾を作れます。断面はお嬢様の能力です、探知眼サーチアイで的確に狙ったかと」

「何だと!?」


 レヴァンは驚愕を隠せずに大声で叫ぶ、しかし兄のレヴィンは感心して男を褒める。


「さすがガロンをスパイし続けただけはあるな……()()()()()()


 レヴィンはそう言うと男の方に振り向く、男の姿は一目見れば狼に間違えそうな狼人ウルズの男……ウォーロックが謙虚に言う。


「イエ、旦那様を倒せなかった目まだ力不足です」


 ウォーロックはそう言ってお辞儀をして質問をする。


「……ところで旦那様と奥様はどこに?」


 ウォーロックが少し質問する、アマンが代わりとして答える。


「戦闘乙女は近くの塔に幽閉、闘気鬼神は不浄ゲヘナ一の大陸オーマに搬送している」


 アマンが答えるとウォーロックが苦い顔をして理解する、オーマは堕天吸血鬼ロストが大量に生息している危険な大陸だ。

 そこに送られると生きて帰って来るのは不可能に等しい。

 ウォーロックは「そうですか」と言ってこの場から去る、その時にレヴィンとレヴァンは呑気に会話する。


『それにしてもあいつは仲間だと思っているのに、まさか我らの見方だと知らずに信頼していたな! 末弟らしいバカらしさだ』

『そうですね、兄者!』


 この話を聞いたウォーロックが反吐を吐くように呟く。


「(そんな風だから魔力量が低いだろ)」


 ウォーロックはそう呟くいとこのまま去っていく。


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