35.奴隷
土日投稿しなくてすみませんでした。
荒々しい波が堅牢な船を強く揺らせ、バランスがいつ崩れてもおかしくない時に、一人の傭兵が牢屋に近づいて脅す。
「おい、クソガキども! お偉いさまが怒ったらどうなるか分かっているのよな?」
傭兵はそう言って牢屋の鉄格子を強く蹴る、すると牢屋に入っている子供たちは脅えて叫ぶ。
「ヒィ……!」
子ども達が怯えている時に、一人だけいびき声をあげている人物がいた。
その人物の姿は黒曜石のように黒いウルフカットで、目つきはつり目で、身長は一六五センチぐらいの青年。
青年は牢屋の壁に寄り添って寝ていた、傭兵は青年に大声で怒鳴り込む。
「おい、そこの新入り! お前何で呑気に眠れるんだよ!」
傭兵が怒鳴り込んだと同時に、青年はハッと覚まして辺りを見て首を傾げる。
「ハッ? ココって船……?」
青年はココがどこ分かっていなかった。
少し大声が聞こえて目を開ける、するとそこには足枷をつけられた子ども達と刺々しい鎧を着た大男が槍を持って睨んでいる。
俺は少しだけ首を傾げながら辺りを見渡す、子ども達がいるのは日本だと普通のホテル位の広い部屋で、目の前に映るのは鋼鉄で出来た鉄格子の近くに大男がいる。
壁の方は木材で出来ていて、窓を覗けばそこには波が荒れ狂っていた、俺は首を傾げて呟く。
「ハッ? ココって船……?」
俺はこの状況を飲み込めずに頭を掻いた。
この状況を飲み込めずにいると、大男の後ろから小太りな男が出てくる。
その男の姿は、シルクハットをかぶっているから髪型は分かりにくく、まるメガネを着けていて、鼻付近には左右に分かれる立派な髭を生やし、華麗な燕尾服を着ていた。
なぜか知らないが、どこかで――ってアァァァァァ! こいつ確か俺を運んだ承認じゃねぇか!
俺は怪しい商人の胸倉つかもうと近づく、しかし鉄格子の隙間から両手を出そうとすると、突如痺れるような痛みが走って来て後ろに倒れてしまう。
俺がしりもちをついてさすっていると、大男が説明する。
「お前みたいな刃向かう奴がいても、結界を張れば何ともないんだよ」
大男が詳しく説明し終えると、扉のとこから大量のパンが放り込まれる。
なるほど、これはココの飯だな。そう思いながらパンを取ってかじる、するとかんだ瞬間にジャリっと音が鳴る。
何か混ざっているのか? そう思うと次に来るのは眉を寄せるくらいの苦みが口の中に襲いこむ。
「ゲホッゴホ、オエッ!」
俺はあまりの苦さにせき込んで吐き出す。
息切れにしながら吐き出した物体を見ると、それはかなり焦げていたパンだった。
俺は大男の方を睨みながら振り向くと、怪しい商人の前に立っていう。
「一応言っておくがお前は商品で、ここから逃げ出そうだって無駄だ。仮にここから逃げようとしたら分かっているな?」
大男はドスが混じった声で俺を脅した後は商人と共にこの場から去る。
俺はあの男が言っている事に驚くが、冷静になって辺りを見る。
ココには窓があるが外が荒れ狂って、そこから出ると瞬時に海の藻屑になるだろう。鉄格子になる扉は外しか開けれるように南京錠を付けていた。
これは大人しくするしかないな。そう思いながら壁に背を向けて目を閉じる。
俺が謎の船に入れこまれてから一ヶ月くらい経つ。
俺は奴隷として生活しているが、一定期間誰も帰れずになると処分されてしまう。
処分される前にここから脱出しようと考えた、しかしココは商品を良く見せようと行水させるようにしていて、その時に大量の傭兵達が逃げ場を無くすように囲んで進むため、逃げ出すどころか隙を見からずに苦労する。
ココから逃げる理由は二つあってさっき言ったのが一つだ、二つ目はその用途だ。
労働用と軍事用と性的用だ。
最初の労働用は鉱山を採掘や畑を耕すための労力を補充するためのものだ、次に軍事用は戦争や不浄人形をせん滅するときに使うものだ、そして最後は問題の性的用だ。
性的用は言葉の通り性的行為をするために使うもので、淫人だと食用として買う事がある。
エッ、とてもいいだって? どこがだよ!
もしもあっち好きの方に買われたら、俺の貞操観念は砂城みたいに崩れ去ってしまうんだよ!
せめて女性の方が買ってきて欲しいと何度も願った事か、とにかく買われてしまった軍事用のほうが良い。
労働用はブラック企業を思い出すからできるだけ来ないで欲しい。そうしていると大男が鉄格子を叩いて呼ぶ。
「おい、お前にご氏名が入ったぞ」
アア、ついに来たか。神よ、どうか俺に奇跡を起こしてください。
そう思いながら牢屋から出る間際に大男が耳元に囁く。
「(買う相手が普通だといいな……)」
その子場を聞いて不安になるが、頭を振って不安を押しつぶして傭兵について行く。
しばらくするととある部屋に入らせてくる、中は様々な家具があってかなり凝っているんだなと感じながら、向かい合いのソファーの間に立つ。
右の方は怪しい商人だけど、左の方を見て後悔した。
左のソファーに座っていたのは筋骨隆々な貴族だった。
その姿は金髪のオールバック、とても鋭い目つきに炎のように紅いルビーの瞳、見た目通り今でもチュニックとジャケットがはち切れそうなムキムキマッチョな体格の男だ。
なぜだか知らないがとても嫌な予感が……。
なんて感じていると、ムキムキ貴族が俺をじっくりと見た後は豪快に言う。
「よし、これにするぞ!」
「オオ、ありがとうございます」
嘘だろー! でも落ち着くんだもしかしたら労働用かも知れない。
よくよく考えれば性的用に買われるなら労働用のほうが良い方だ、俺はそう思っているとムキムキ貴族は一つの袋を俺に渡してくる。
それを受け取って中身を取り出すと、それはセクシーな女性用下着だった。
終わった、何もかも。
俺は膝を床に付けて、脂汗をかいて絶望するしかなかった。
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