31.VSエリゴス
狂戦の騎士はそう叫ぶと同時に片手に持っている禍々しい槍を袈裟切りに振りかざす。
すると雷をまとった斬撃が俺達に襲いかかる。
俺は瞬時にこの攻撃は危険だと察して他の連中に向けて叫ぶ。
「避けろ!」
俺が叫んだと同時に一斉に斬撃を避けた、しかし――。
「「ウワァァァ!?」」
五分の二くらいが反応できずに吹き飛ばされて消滅する。
一体どこに行ったんだ!? そう思っていると上から声がする。
『候補生百名のうち二十名が脱落、残り八十名』
その声はアナウンスに聞こえた、もしかして一定以上ダメージを食らってしまうと脱落になるのか?
この試験のルールを考えていると、狂戦の騎士は雄叫びを上げながら詠唱する。
『雷の根源よ。今一度、我が咆哮と共に雷を降り注げ! 万雷砲!』
詠唱し終えると、目の前に魔法陣が展開されて周りは静電気に満ちている。
俺は地面に手を当てて詠唱する。
『天授起動、複製物体名城壁!』
詠唱すると剛健な城壁が候補生の前に立ちふさがる、それと同時に魔法は放たれた。
それは極太な紫電の柱が候補生の方へ向かう。城壁と触れたと同時に物凄い轟音が辺りに響き出す。
轟音と同時に爆発が起きて吹き飛ばされてしまう。
とてつもないくらい土煙が吹き荒れるが、腕で目をガードしながら城壁の方を見る。
崩壊された城壁から禍々しい甲冑を着た騎士……狂戦の騎士が馬に乗りながらこっちにやって来る。
狂戦の騎士は土煙から出ると笑いながら叫ぶ。
『フフフ……フハハハハハ!』
俺は片手剣を構えながら聞く。
「何がおかしいんだ?」
質問すると狂戦の騎士は何かを見抜いたかのような言い分で叫ぶ。
『まさかとは思っていたが……貴様天授持ちだな?』
そう言うと俺は眉をピクリと動かす。コイツ俺が転生者だという事は知られて無いが、この洞察力はかなり厄介だ。
しかし攻撃をしなくては試験を合格する事は出来ない、ならば銃で攻撃するまでだ!
そう思いながら片手剣を腰に納めて詠唱する。
『異空間よ。今一度、物体を保持する空間を出現させよ! 保持容量!』
詠唱し終えると空中から謎の穴が出現する、そこに手を突っ込んで回転式拳銃〈ニューナンブM60〉を取り出して、狂戦の騎士に向けて引き金を二~三回引く、すると銃口から弾丸を発射する。
狂戦の騎士は驚きながら胴体に三発食らう。
『ウグゥ……!』
弾丸を食らった狂戦の騎士は撃たれた個所を抑えている、その時にラノビアが斧を構えながらぶつぶつと呟く。
「は、ハハ、俺がとどめを刺せば合格できる……俺は選ばれしものなんだ……」
しかしラノビアの目は錯乱状態に陥っている人の目に似ていた、まさかあまりの恐怖でおかしくなったのか?
なんて思っているとラノビアは狂気に堕ちた笑みを浮かべながら、狂戦の騎士に突っ込んでいく。
俺は急いであいつを止めようとする、だがすでに遅くラノビアは狂戦の騎士が持つ槍に首を刎ねられた。
それと同時に消滅してアナウンスが流れる。
『ラノビア・ウェルシア脱落、残り七十九人』
クソッ! またしても脱落者が出てしまった。しかしラノビアが犠牲になった事でこの試験の脱落条件を知る。
この試験の脱落条件は即死級と一定以上ダメージを食らう事だ。現にラノビアが首を刎ねられた時は消滅した、さらに最初に放ってきた攻撃は見た感じ高威力だろう。
他の候補生達も、この試験の脱落条件を察して武器を構える。俺は保持容量から突撃銃〈M4カービン〉を取り出す、弾倉を装填して安全装置をオフにすると俺を含めて一斉に狂戦の騎士に突撃する。
狂戦の騎士は槍を強く握りしめると、勢いよく横になぎ払う。
しかし盾を持つ人たちが前に出てなぎ払いを防ぐ、それと同時に近接武器持つ人が下がると、弓使い達が狂戦の騎士に向けて放つ。
俺も弓使いに交じって〈M4カービン〉を構えて引き金を引く。すると銃身から弾丸を発射されて攻撃する。
狂戦の騎士は両腕でガードして矢と弾丸を防ぐ。その時に槍使い達が勢いよく一斉に振り下ろす。
しかし狂戦の騎士は矢と弾丸を防ぎながら、振り下ろされる槍を回避する。それはまるで未来を予知したかと思わせるくらいにだ。
確か狂戦の騎士は未来を見通す事ができるはず……まさか!
俺は狂戦の騎士の方に向くと、奴は自分の能力を知っている事に喜んでいるのか、大声で笑いだす。
『フハハハハハ! 我が能力に気付くとはな……』
狂戦の騎士はそう言うと自身の能力を話す。
『我が能力は〈未来視〉! 数秒先の未来を見通す子が可能だ!』
狂戦の騎士はそう言うと他の人達が騒めき出す。
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