13.VSゴブリン集団前編
アリスは傷口を麻布で押さえながら、走っている。
(どうして、どうしてこんな事になったの!?)
アリスは自分の行動に後悔しながら、後ろから追ってくる小鬼達から走って逃げる。
アリスは他の子とオセロを遊んでいた時に、ヴィンセントが裏山に向かうのを見て気になり、あとをついていた。
だが道が分からくなってしまい、小鬼達に襲われてしまう。
だが隙を突いて氷結槍を放って逃げたが、小鬼達に気付かれしまう。
その上、小鬼達は回転式拳銃〈SAA〉を喰らってしまうが、運よく右腕をかすっていまに至る。
「どうしよう。このままじゃ死んじゃう……!」
急いで下山しようとしているが、あまり行かない事で横斜めに逃げていた。
アリスはそのことも気づかずに走っていると、木の根っこに足を引っ掛けてしまい転んでしまい悲鳴を上げる。
「キャア!」
アリスは何とか立ち上がろうとする、だが足が擦りむいた上に捻挫されて呻いていると、小鬼達の内一体がアリスの足を掴んで開かせる。
すると小鬼が下卑た笑みを浮かび出しだす。
『コノガキノ純潔ヲ奪ウ。何テ考エタラタギッテ来タゾ!』
「へッ?」
アリスは一瞬何言っているか分からなかった。
だが理解すると徐々に顔を青ざめ、ついに泣き叫び出す。
「いや、いや! やめて。誰か、誰か助けて!」
『無駄何ダヨ! 叫ボウガオ前ハ俺達ノ性奴隷ナンダヨ!』
小鬼はそう言うとアリスに襲いかかろうとする。
その中でアリスは心の中で諦めていた。
(こんな事になるならヴィンセントについて行くんじゃなかった)
そう思いつつアリスは来る痛みに耐えるために目を閉じる。
しかしいくら経っても《《来るべき痛みが来なく》》少しずつ目を開ける、するとそこには頭部を撃ち抜かれた小鬼と回転式拳銃を持った少年がいた。
アリスは這いずりながらも少年に近づいて行く、姿は黒曜石のように黒いウルフカットで、目つきはつり目であり瞳は純粋な赤を思いさせるクリムゾンで、身長は一〇〇センチぐらいだろう。
その少年はアレスに手を差し伸べながら言う。
「よかった、何とか間に合ったよ」
アリスは少年……アレスを見ると大粒の涙を流しながら言う。
「アレスぅ……!」
アリスは泣きながらアレスに抱き着き、当の本人はかなり驚いている。
「ど、どうしたんだよ! いきなり抱き着いて来て……」
「ウゥ、私を助けてくれてありがとう……!」
アリスはあまりの恐怖で怯えていたのが見えていて、アレスはアリスを強く抱いて謝る。
「すまん、俺が早く来ていればこんな目に合わせなかったよ」
「ウワァァァン! 怖かったよォォォォ!」
「本当にすまん……」
▲▽▲▽▲▽
俺は何とかアリスを助ける事ができて良かった。もし間に合っていなかったらまた昔の俺に戻るだろう。
アリスと深く抱き合っている時にヴィンセントが来る。
「お前ら大丈夫だったか!?」
「ヴィンセント、近くにいた小鬼達は倒したか?」
「アア、なんとかな」
ヴィンセントと話し合い終え、アリスを抱えてそのまま下山しようとすると、後ろから甲高い音がする。
「ヴィンセント、急いで避けろ!」
「分かった!」
ヴィンセントが叫ぶと同時に雷の槍が襲ってくる。
俺はアリスを抱えつつヴィンセントは何とか避けた。
そして後ろを振り向くと、そこには小鬼達のリーダーらしき悪鬼が魔法具を構えていた。
もしかしてコイツが小鬼達のボスか!? なんて思っていると悪鬼が俺達に話しかける。
『驚いたな、まさか妖魔王様から言われたことが本当になるとは』
「妖魔王だと!?」
ヴィンセントは悪鬼が言った事に反応して叫ぶ、すると悪鬼は嘲笑いだす。
『その上あのガキが生きているなんてな。お前の姉とてもいい性処理道具になったぞ』
「テメェェェェェ!」
するとヴィンセントは怒声を上げて悪鬼に突撃すると同時に詠唱する。
『風の根源よ。今一度、敵を切り裂く疾風の刃を生み出せ! 疾風剣!』
詠唱し終えると疾風の剣が生み出された、それを持ちつつ回転式拳銃〈ナガンM1895〉で悪鬼に向けて弾丸を三発撃ち出す。
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