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第2話 謝罪するの~~

 ☆☆☆債権者説明会


 ありのままに、

 ケンに財務状況を説明してもらった。


「・・・以上のことから、何に使われていたか分かりません」

「ごめんなしゃい」


 ザワザワザワ~~~~~


「ふう、やっと説明してくれたか・・・」

「オリビア様は、上手くいっているの一点張りだけだったからな。何かあったら、王子殿下の偉光が出てくる」

「メアリー様、御足で踏んでくれませんか?」


 ・・・これは、不良が雨の日に子犬を拾ったみたいな効果か?

 お姉様が、ヒドかったみたい。だから、私がまともに見える?

 こんなクマのヌイグルミを持っている幼女が?


「経営方針を変えるの~~~~、ケン、説明するの~~~~」


 これは、倒産するまでのダミーだ。


 王都内激安路線から撤退し、その分、王都近郊の都市や村への中距離に集中する。

 日をまたがない路線だ。

 これなら、新たな設備投資はいらない。実質、経営規模の縮小だ。

 高級路線は凍結、王都内の乗り合い馬車からも撤退。


「・・・そうするしかないか。来期、利息の支払日まで我慢するしか無い」

「ああ、そうだな。どっちみち、今のまま商会を精算しても、大損だ」

「メアリー様!おじさんの膝に乗って!」


 まあ、どっちみち、来期、デフォルトになる。

 次は、怒号が飛び交うだろうな。


 なら、せめて、商会の価値を少しでもあげて、回収する金額を多くしてあげるか。

 身売り出来れば、尚、良し。


 売り上げで利息を払える商会になれば、欲しがる商会も出てくるだろう。

 従業員はそのまま吸収合併先の商会で雇われる。


 次は何をしようか?


 と思っていたら、

 ケリーから、とんでもない話を聞いた。


「商業ギルトからはお客様を紹介してもらえません。何でも苦情が多かったそうです」


 クロウさんからも、


「実は、オリビア様は、ドワーフ工房に、高級馬車を発注しています。作業を先に進めていいか。矢の催促です」


「分かったの~~~~」


 次の戦略は、謝罪だ。


「ごめんなしゃいなの~~~」


「メアリー様、鏡の前で謝罪の練習をされている・・・」

「お労しい」

「テへベロ」


 ・・・やはり、テへベロはやめよう。


「メアリー様・・・大丈夫かしら」



 ・・・・・


「商業ギルドとのリンクが切れた理由を説明するの~~~~」


「リンク?は分かりませんが、オリビア様が、商業ギルドからの改善命令に対して、『平民のくせに』と怒ったそうで、それと、商業ギルド経由だと手数料を払わなければいけないからと放置しました」


 内勤長のケリーが教えてくれた。

 手数料を取る?当たり前ではないか?

 お姉様は、手数料を取るなと傲慢に、ギルド員に命じた。


 それ以来、商業ギルド経由の予約は入らなくなった。

 平民はチケットを買いたかったら、営業所まで足を運べと言うことだ。


 いや、そもそも、苦情とは?


「苦情とはどんな内容なの~~~~」

「分かりません。業務のことは私たちには説明しません」

「謝りに行くの~~~~」



 ☆☆☆商業ギルド


「ごめんなさいなの~~~~」


「「「・・・・・・・・」」」


(こんな小さい子を生け贄に?)

(貴族、えげつねえな。妾の子か?)

(ヌイグルミを抱えて、可哀想に、そう言えば、数日前に親子で来たな)


 苦情の内容は聞いた。

 頭が痛くなる。


 お姉様が無料チケットを配ったのだ。


『当商会のチケットを買って頂いた平民には、もう一枚、差し上げますわ』


 と、それはいい。


 しかし、

 そのチケットにはワナがあった。


 印がついていて、無料チケットだと分かる。

 すると、


『申し訳ございません。席は満席です』

『空いているだろ!』


 と、従業員に乗せない指示を出した。


 どうしても、諦めないお客様には、数時間待たせて、やっと、乗せるという。


 これは、逆効果だ。一時期、無料チケットをプレゼントしたせいで、売り上げは上がったが、苦情が多く寄せられ、商業ギルドには出入り禁止にされただと、


 頭が良いのか悪いのか分からない。


「そんなこと、絶対しないの~~~」


「分かりました。また、お客様の受付を再開します。しかし、オリビア改めメアリー商会は評判が悪いです。ですから、ほとんど来ないと思いますよ」


「分かったの~~~、それでいいの~~~~これ、新路線図なの~~~」

「承りました・・・王都近郊の都市連絡ですね」


 ほお、謝罪を受け入れてくれて良かった。


 あれ、グラフが壁に貼ってある。


「あれ、なんでしゅか~~~~」

「あ、それは・・・・」


 グラフは駅馬車商会の債権証の売り上げ比率のグラフだ。

 例えば、金貨100枚の貸付金があるとしたら、すぐにお金を欲しい人は、債権者の地位を、金貨110枚とかで売れるのだ。


 逆もしかり。危ない駅馬車会社は、金貨90枚とか。それを商業ギルドが仲介している。

 株式みたいなものか?手形か?


「すごいの~~~、メアリー商会(オリビア商会)は、1対1で売れているの~~~~」


 すると、受付のお姉さんは、悲しそうに、説明してくれた。


「たとえ、銅貨一枚でも、メアリー様の商会の債権は、売れないから、原価のままです」

「可哀想に、キャンディーをあげる」


 な、何と、だから、原価のままだと、

 だから、債権者は待ってくれたのか?不幸中の幸いか?いや、破滅の先延ばしになったから、不幸中の不幸だ。


 ガリガリ!


 思わずキャンディーをかみ砕いた。

 それから、ドワーフの馬車製造工房に向かう。

 お姉様が発注した高級馬車をキャンセルするのだ。





 ☆☆☆ドワーフ、友愛工房


 カン!カン!カン!カン!カン!


 おお、すごい。何か。組み立てが始まった。

 分業制だ。いや、これが、もう少し進めば、自動車ラインみたいになるのかな。

 思わず眺めていたら、



 小柄だががっしりしたドワーフ族の人が出てきた。

 ゴーグルのようなメガネをしている。



「そこの子供、危ないけ。勝手に入って来ちゃなんねえ」

「先触れ出したの~~~、メアリー商会のメアリーなの」


「メアリー?」

「オリビア商会の名で馬車発注したの~~~」


「はん?!メアリー、ああ、オリビア商会か。たくっ」


「工房長にお会いしたいの~~~」

「・・・俺が、工房長のガシムだが?」



 オリビア商会の名を出したら、不機嫌になった。

 先触れで商会名を変更したと知らせたのに・・・いや、こちらが、謝罪する方だった。

 ここは、丁寧に謝罪しよう。


「ごめんなさいなの~~~~、馬車キャンセルするの~~~~」


「ああ、分かった。たく、こんな幼女を・・・、おめえさんが、新しく就任したオリビアの妹か?貴族のわがまま令嬢と聞いたが・・・本人がきたのか?」


「そーなの」


「作業を見ていたが、馬車に興味あるのけ?」

「ないの~~~、全然分からないの~~~分からないから作業を見ていたの~~~」



「お前、商会長だよな。もし、資金があったら、どんな馬車を注文する?」

「中型なの~~~重心ががっちりして、横転しにくくて、側面に、薄い鉄板をはめて、ゴブリンの矢が通り抜けないようにするの~~~~」


「ほお、側面だけか?窓から矢が貫通したらどうする?」

「お客様には顔を伏せるようにお願いするの~~~」


「ダメだな。鉄板をはめたら、重くなる。だから、針金で網のようにするべきだ。お値段が高くなるぜ」


「いいの~~~~安全第一なの~~~~~」


 そんな雑談をしていたら、ドワーフのおじさんは執務室に来いと言う。

 さすがに、キャンセルの客だとしても、お茶くらい出してくれるのか?


 と思ったが、


 嬉しい誤算であった。


 ドン!


「なんなの~~~~」

「手付金返すぜ。あまりに馬鹿げた要求だったので、設計図だけは作ったぜ。設計図代銀貨50枚だけ抜かしてもらうわ」


「いいの~~~」


「おい、コウジ!お前が作った設計図を持って来い。代金は頂いたから渡していいぞ」

「はい、親方」


 また、日系王国人だ。どんだけ、転移・転生しているのだ日本人は?

 って、私もだ。


「バイバイなの~~~~」

「おう、馬車を作るときはうちな」


 お金を持ち運ぶので、工房の馬車で送ってもらった。


 ドワーフのおじさんは見送りまでしてくれた。



 ☆☆☆メアリー商会


「何ですと、手付け金が返って来た?」

「あり得ないわ!商業慣習上、手付け金を放棄してのキャンセルなのよ!」


 ケンは口を開け。ケリーが口を覆って驚いた。

 お似合いだな。夫婦になれよ。


「そーなの?設計図代だけ払ったの」


 設計図を見たら、


 原案、第三王子、「オリビア号」


 となっている。

 白鳥の頭が屋根についているやつだ。

 公園にあるボートか?


 ゴチャゴチャといらない装飾品がついている。

 なるほど、あり得ない要求とはこのことか。


 こうして、謝罪は終わった。


 次は、社内なの~~~~~




最後までお読み頂き有難うございました。

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