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【連載版】転生したら欲しがり妹だった~欲しがり妹の商会長  作者: 山田 勝


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12/18

閑話 メアリーのお靴の行方なの~~

「トーマスです。今日は、メアリー様に、お靴を献上に参りました。こちらが、お靴の作成者、ダイゼン・ヤマナカ、隣が趣味友のマークです」


 あれ、何で、私は、この場にいるんだろう。第2王子なのに、今、メアリー商会の応接室にいる。


 リトルアキバで、ばったり、トーマス氏にあったら、ここに連れて来られた。


「ウホーーーー、萌えーーーー、フィギア作るなりーーーー」


 と叫んでいるのが、ダイゼン氏だ。


「マーク氏!はあ、はあ、可愛いでござる」

「ああ、そうだな」


 ・・・話しかけるな。同類と思われる!


 応接室の中は、大勢いる。

 冒険者が4人壁際に立っている。狼族がいるな。

 ドワーフもいるじゃないか。

 そして、

 メアリー嬢の後ろに、強面が二人立っている。

 その後ろに、メアリー商会の幹部か。


 ・・・これは、もしかしなくても警戒されているのではないか?


「メアリー様、後ろに控えているお二人は、新顔ですな」


「新しく雇った護衛なの~~、ボムとギミーなの~~」

「「ヘイ、旦那、お見知りおきを」」


「トーマスだ。よろしく」


「お靴を進呈します」


「有難うなの~~~履いてみるの~~」

「ウホウホ、メアリー様は、羽の生えていない天使でござる。だから、クックに羽を生やしてみたでござる」


 ・・・うわ~


「ありがとうなの~~」


「今まで、履いていたお靴はいらないですな。ワシがこのガラスの箱に入れて、責任を持って、飾らせてもらいます」


 ・・・えっ、そのガラスの箱は、その為か?意味が分からない。


 女の幹部、ケリーと言う者が、手を合わせて、早口で、こう言ったのだ。


「まあ、メアリー様、翼が引っかかって、歩きにくくはないですか?これは、飾る用の靴ですね。今までのお靴はそのまま履いて、新しいお靴は、このガラスの箱に入れて、飾るってことですね!!」


 そしたら、皆が、


「「「さすが、トーマスさん!」」」

「「旦那、粋だぜ」」

「それがいいけ!」


 と合唱する。


 その後、帰るとき。

 お見送りの事務員の声が、ボソと聞こえた。


(・・・若いのに)


 メモっている。私も要警戒に入ったのか?!




 ☆☆☆リトルアキバ「メイド猫喫茶」



「猫猫ニャンニャン♩ご主人様、元気に、元気にな~~~れ!・・・」

「有難う。大銅貨一枚だ・・クスン」

「トーマスさん。ドンマイだニャン!」



「メアリー様のクック、手に入れ損ねたのだ」

「すまないでござる」

「いいや、発想と品は良かったぞ」


 心底どうでもいい・・・


「あのお靴で、優しくプニュと踏んで欲しかった。ワシが土下座して、後頭部を優しく、クマのヌイグルミを抱きながら、少し困った顔でな」


「いいでござる。ナイスアイデアでござる!しかし、顔は見られないでござる」

「心で見るのだ」


 ・・・よくねえよ。話題をそらすぞ!


「ところで、ここは変わった喫茶だな。簡単なダンスをして、チップをもらうシステムか?」


「ああそうだ。異世界では当たり前のようだぞ」

「拙者、転移前は、週7で通ったなり」


 ・・・毎日じゃねえかよ!



「しかし、彼女たちは、普通の家にメイドとして入れないのか?王国の法では、差別を禁じている。ここにいてもスキルは身につかない。ダンスも、ここでしか通用しないのではないか?」


「ほお、そう思うか?なら、あんたは、相当ないい坊ちゃんだな。そーだな。もしかして、高位貴族か。王家か?」


 ・・・急に、目つきがするどくなった。


「法で決まっているから、差別はない。ではなく、あるから法律があるのだ。実際、猫獣人族を雇う家は少ない。あっても、ヒドイ折檻を受けることがある」


「なら、折檻を受けたら、すぐに辞めて、善き家庭を探せば・・・」


「どうやって、辞めるときに、紹介状がないと、次にはいけないぞ。この世界は、優しくない。だから、優しい世界を作らなくてはいけない。その為に、異世界人の力が必要だ」


「優しい社会を作る。どうやって・・・」


「これから、人と物、金が、メアリー様に集まるのだ。試練だが、彼女なら、自己を見失わないだろう。その時が、本当の『株式投資』の始まりだ」


「そうなり、我が世界の株式は、略奪から始まったと言ってもいいなり、海賊、植民地経営、弱い者から、奪うのが基本なり。それを軟着陸させるなり」



「正しく欲望し、儲け。成功する。失敗もあるだろうさ」



「意味が分からない・・」


「メアリー様の伴侶には、心の大きさと、地位の高さが求められるな」



「「「キャーーーーーー」」」


 何だ。悲鳴だ。猫族の男の席だ。上半身は猫、薄いオレンジ、山猫族か?


「グシシシシ、触らせろよ。猫ちゃん!」

「連れ込み宿にいこうか?ここはそういう店だろう?」



 店の奥から、異世界人が出てきた。店主か?



「お客様、女の子をお離し下さい!」


「ああ、異世界人か?・・・・グハ、グハ」


 プシュ~~~~~~~、


「メイドは避難を、お客様、協力をお願いします。マタタビスプレーを散布しました!」


「「「協力するぜ」」」


「おら、うら」

「首根っこを掴め!」


「聡殿、拙者も協力するなり!」

「有難う。大全さん」


 三人の山猫族は、フラフラで、足下がおぼつかない。


 タイゼンたちは抱えて、外に放り出した。力あるな。


「お客様、お騒がせしました!」


「「「「大丈夫だぜ」」」


「さあ、君たちも、マタタビを吸ったよね。少し、店の奥で休んできなさい」


「「「は・・い」」」



「全く、実のところ、人族ではなく、近種の山猫族とかが、このパラダイスを妨害に来る。女は虐めるものではなく、虐めてもらうものなのにな」


「全くでござる」


 ・・・会話が急におかしくなった。目つきも戻ったぞ。


「聡殿、山猫族は、出禁にしたら」

「そうだね。礼儀正しい山猫族も来ることは来るのだけどね。毛並みが同じ猫族のお客さんも来るから、正直なところ見分けが付かない。冒険者雇おうと思っている。では、ご新規様も楽しんで下さい」



「紅茶、お持ちしましたニャン!」


「私のだ」


「マーク殿、ダメなり。お礼を言うなり」

「ああ、そういう風習か?ありがとう」


 ペコ


「それと、何かを頼むなり。喫茶は儲からないなり。彼女らの給与は低いなり。だから、最低一回は、彼女らの芸を見るなり。気に入ったら、通うなり」


「分かった」


 ペラ、


 何々、メニューは、


 美味しくな~れ

 元気にな~れ

 お母さんヨシヨシ

 お姉さんヨシヨシ

 幼なじみのフィナーレ

 ツンデレフルコース

 ・・・・・


「幼なじみのフィナーレを頼む」


「「「「!!!!」」」」

「・・・上級者なり」


「ミミーは、入ったばかりなのに、それを頼むのね。いいわ、ご主人様からの挑戦!受けて立つ・・ニャン!」


 はあ?


「ご主人様のお名前は?」

「マークだが」


 ジー


「マー君、先輩と歩いているのを見たニャン!私は単なる幼なじみ?グスン」


 バッ!タタタタッ


 小走りしたぞ。


 ピタ


 止った。


 クル、チラ、


 振り向いて、こっちを見た!


「・・・追いかけないのね」


 タタタタタ~~~


 また、小走りだ。


 パチパチパチ!


「「「ブラボー」」」


 はあっ、わからん。戻って来た。


「代金、大銅貨2枚になります。有難うニャン♩」


「さすがなり。可愛い子を崖に落とす。我は学んだなり」


「兄さん。最高だ!」

「「「ブラボー!」」




 ☆☆☆王宮


「全く、異世界人の文化は訳分からん。お茶を入れてくれ」

「はい、ただいま」


「ありがとう」


「!!え、どういたしまして・・・」


 何か。お礼を言うのもいいかも。


 ヒソヒソ


「第2王子殿下、もしかして、ナンシーに気がある?」

「どうしましょう。でも、愛妾でも・・・」

「馬鹿ね。遊ばれておしまいよ」


 あ、ここでは早いか。




 数日後

 ☆☆☆リトルアキバ、メイド猫喫茶



 全く、けしからん。尚武の国に、こんな軟弱な文化は似合わないのだ。

 しかし、使用人にお礼を言うのはいいな。私はそれだけのために来ている。

 王宮のメイドに言うと、気があると思われるかもしれないから注意だ。


「今日は、ツンデレフルコース、頼むよ」


「はい!」


 ドン!


 あれ、紅茶とケーキを乱暴に置いたぞ。


「あ、ありがとう」


「あんたのためにやったんじゃないんだからねっ!お礼なんて、言わなくていいんだからねっ!」


 ・・・おい、どっちだよ!






 ☆☆☆そう遠くない未来


 ☆メアリー財閥、会長室



「我が娘達よ。これを見たまえ。これが、メアリー財閥総帥、継承者だけが持つことが許される。羽のシューズだ」


「「「まあ」」」

「これが、伝説の」


「ほしがり論著者、投資家で思想家のトーマスが作成を依頼し。異世界人が作った『クック』だ。クックとは異世界では靴と言う。

 まるで、大メアリー様が躍進するのを予知していたようだ。この靴を贈られた始祖大メアリー様は、過酷な試練に立ち向かわれたのだ。わずか10歳の時に」



 ・・・なんやかんやで、大全の作った靴は、伝承されていた。


 実際、この靴を贈られた日から、王国史に残る旅客・貨物戦争が激化をたどることになる。




最後までお読み頂き有難うございました。

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