プロローグ
☆☆☆メアリー商会、使用人及び債権者集会
「・・・・今期は、前期比二割増しです。黒字です。成果給の規定を到達しました。6ヶ月連続です。では、メアリー様、お言葉を」
女神教会の鐘の声、諸行無常の響きあり、世界樹の花の色、欲しがり妹、必衰の理を表す。
奢れる欲しがり妹も久からず、ただ春の夜の夢のごとし
会社も同じだ。いや、この世界なら、商会か。
猛き欲しがり商会も、ついには滅びる。ひとえに、風の前の塵に同じ。
いや、商会が滅びても、欲しがりの心は滅びない。
人の心に残るのだ。
なら、さえずろう欲しがり妹の唄!
「欲し~~~の!欲し~~~の!もっと、もっと、欲し~~~の!!!」
「メアリー様!もっと、もっと、売り上げを伸ばせと言うのですね!!」
バン!バン!
10歳の私はここで、バナナのたたき売りのように机を叩いた。
会社は生き物だ。誕生し、成長、停滞し、やがて、死を迎える。
倒産だけではない。合併、会社分割・・・・
しかし、無くならない物もある。
欲しがりの心だ。
「売り上げじゃないの~~~~!!満足したら死合い終了なの~~~~~停滞、堕落そして、破滅なの~~~~欲しがるの~~~~!」
「お客様の笑顔が欲し~~~~の!お客様の満足度が欲し~~~~の!」
「「「「オオオオオオオオオオーーーーーーーー」」」
「接客する者は神対応するの~~~~~~!」
「「「任せて下さい!メアリー様!女神様もニッコリの神対応をするぜ!」」」
「内勤者は、外勤を支えるの~~~~~」
「「「はい!メアリー様!支えて見せましょう。たとえ、ドラゴンが寄りかかっても!!」」」
「だけど、お客様は精霊様じゃないの~~~、リーダーは、クレーマーから、部下を守るの~~~~」
「「「はい、守って見せましょう!たとえ、クレーマーが魔王でも!」」」
「リーダーはメアリーが守るの~~~~、リーダーで対応出来ないことは、メアリーに言うの~~~~~、報告、連絡、相談なの~~~~!」
「「「「報告、連絡、相談!了解です!」」」
「皆、よい子だから、ボーナス上げるの~~~~~~」
「「「オオオオオオオオーーーーー」」」
「「「メアリー様!」」」
「商会長!ついていくぜ!」
「叱って!」
「さあ、皆様、駅馬車娘メアリー様の推し団扇ですよ!債権者様、当商会の従業員、家族限定でお配りします。高額転売したら、即死刑の契約魔法にサインをして下さいませ」
「しねーよ」
「欲しー!」
「並ぶの~~~~!」
「「「はい!メアリー様」」」
・・・はあ、はあ、はあ、どうして、こうなった。
月に一度の商会の集会、アイドル?じゃない。これじゃ、まるで、新興宗教じゃないか?
自称、宇宙神の生まれ変わりか?それとも、自称、世界から尊敬されているナンミョー先生か?
わずか、9ヶ月前の私は凡百の欲しがり妹であった。
この商会は破産寸前であった。
あの追放の時まで、記憶を遡ろう・・・・
最後までお読み頂き有難うございます。