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ティエスちゃんは中隊長  作者: 永多 真澄
ドキドキ! 決斗編

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99/173

4-30 ティエスちゃんは三回戦②

『西ィ、ティエス・イセカイジン。フェンヴェール王国陸軍所属ゥ』


「やっほー! ティエスちゃんだよー!(棒」


 沸き立つ観衆に精いっぱいのファンサとして機体の手を振り振りしながら舞台に上がるティエスちゃんだ。なんだか一回戦の頃に比べて歓声の量が多い気がするぜ。まあこれまで華麗に勝ってきたからな、新たな固定ファンを増やしちまったかな。まったく罪な女だぜ俺も。

 しかし今日の審判はなんというかノリがエンターティナーだな。強化鎧骨格に乗ってるってことは軍人なんだろうけど。広報官とかかな?


『東ィ、ドンカッツ・イベリコ。森域統合軍猛火烈士隊所属ゥ』


 対面のゲートから出てきたのは、漆黒の装甲に赫々としたファイアパターンが描かれている機体だ。ロックだなあ。猛火烈士隊はたしかオーク軍閥の一つだったはずだ。オークは森域の軍事を取り仕切る氏族だが、これまた一枚岩ではない。勢力がでかすぎてまとまり切れてないんだな。何が統合軍だよまったく。統合出来てるもののほうがすくねぇじゃねーか。

 ちなみにマシーン自体はおそらく帝国のテンチュイオンⅡっぽいが、ちょっと原形がわかんないくらいに改造が施されている。どんな戦い方をするのか今ひとつ掴めねーな。厄介だ。


『……猛火烈士隊、総長のドンカッツ・イベリコである。ティエス・イセカイジン卿、此度は貴公と刃を交える機会を得ることができ、望外の喜びである』


「王国軍中隊長、ティエスだ。すまねーな、俺はあんたのことは存じ上げてねぇ」


『フ、構わぬ』


 ドンカッツはくつくつと肩を揺らして笑う。なんでわかるかって? あいつの乗機がそんな状態だからだよ。帝国機も操縦方法自体はこっちと変わらないからな。「思ったように動かせる」弊害で、「思っただけで動いちまう」んだ。頬を掻く癖のある奴が無意識にフィードバックしちまって機体の頭部ユニットと指をぶっ壊しちまう、なんてのが操縦初心者のやらかす破損事故の代表例になるくらいだ。機体に渡す意識を取捨選択する訓練ってのは割と重要で、まず叩き込まれるテクである。

 総長なんてやってるやつがそれをできないわけがないので、あれはまあ、一種のアピールってところか。


「わりぃな。ま、これからゆっくり知っていくとするよ。だから……」


『がっはっは。みなまで言うな、そのような無粋は好かぬ』


 ドンカッツは豪快に笑うと、すらりとカタナを鞘払った。いいねぇ、嫌いじゃない手合だ。俺も背に懸架していたブロードソードを抜く。


「へっ、オークにしちゃあ話せるやつだな、あんた」


『貴公もな。女人ながら、噂にたがわぬもののふよ』


「やめろやめろ。こんな美少女捕まえて、なにがモノノフだよ。ったく誰が噂流してんだか」


『マケン殿だな』


「あンの豪傑チワワ~~~~!!」


 くっそ、試合で当たったらボッコボコにしてやる。ドンカッツはまたもや肩を揺らして笑った。


『オ~イご両人ン、仲良きこたァよきことだが、進行もあるんでなァ。ギャラリーのみんなも待ちかねてるよなァ~~!?』


 審判のマイクパフォーマンスに、ワァァァァという大歓声が降る。ほんとにエンターティナーだなこの審判。機体のカメラを向けると、器用に肩をすくめておどけて見せる。ロボがするには有機的に過ぎるその所作は、なんだかやけにキマって見えた。こいつもお茶らけてるけど結構な使い手だな??


「ったく、森域のせっかちさんどもめ」


『くく。これ以上待たせては、後でなにをされるかわからんぞ』


「けっ、蛮族どもが」


 俺は剣を下段に構えた。


『では、やろうか』


 ドンカッツがカタナを八相に構える。


『イくぜぇ~~――試合、開始ィ!』


 審判がいくらばかりか真剣みのある声で宣言し、鋭く旗を振る。きっと愉快な戦いの火蓋が、切って落とされた。

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