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ティエスちゃんは中隊長  作者: 永多 真澄
ドキドキ! 決斗編

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4-21 ティエスちゃんは囲まれる

「……どけ、女。お前に用はない」


「どっこい、俺はお前に用があるんでね」


 姫をかばいながら即席で剣を生成するティエスちゃんだ。我ながら慣れたものである。さすがに長物を持って市場観光ともいかなかったんでね。俺は特に意味もなく出来立てほやほやな剣をヒュンヒュン振り回してから見得を切った。ホァチャァ! かっこいいぜ。

 対するオティカは短いため息をつくと、ボクサーさながらのファイティング・ポーズをとった。シャキンッと手甲から刃が生える。くそ、おめーのギミックもかっこいいじゃねーか。


「オティカ、話を聞いてください。ティエス卿も」


「……」


 背後から姫の声がする。落ち着きはらった声に、怯えの色はみじんもない。こないだの夜みたいに突発的な事態にはまだオロオロになっちまうみたいだが、今回はしっかり準備がしてあるからな。オティカの出方をうかがう。ここで問答無用に仕掛けてくるようであれば俺もいったん王国陸軍中隊長に戻るが、その様子はないようだ。よってしばらくは姫の護衛騎士のままである。


「オティカ、あなたの心遣いはとてもうれしい。けれど私は賢狼の――ル・リンの名を継ぐものとして、父らの蛮行をそのままにしておくことはできないのです」


「……」


 姫はゆっくりと語りかける。オティカは……まだ動かない。得物を下すでもないがな。しかしなんだ、父らの蛮行? またぞろきな臭いワードが出てきやがって、そろそろデッキ一山組めそうだぜ。


「私と私の手勢だけでは、もう父は止められません。口惜しいですが……巨人の助力を得るには、オティカ、あなたの協力が不可欠なのです」


「……」


 オティカは動かない。表情も何もあったもんじゃねーからな、なにを考えてるのかもわからねーが、ただ大きな心の動きがあったようには見えない。こりゃあ説得は望み薄かもな。

 話の流れもだいたい分かった。ここまで説明されればな。要するに、よくあるクーデター計画だろう。ハラグロイゼ卿は内政干渉する気満々ってわけだ。なるほどね、完全に理解した。


「……邪魔が入ったな」


「みたいだな。どうする? 一時休戦と行くかい?」


「俺は貴様と戦争を始めたつもりはないぞ、女」


 オティカは舌打ちしたげにつぶやいた。んなこと言って、先に手ェ出したのはそっちだろ。いつの間にやら、倉庫街のそこかしこからにじみ出てきた真っ黒黒づくめの集団が音もなく包囲している。まぁ気づいてはいたがね。統合軍……ってワケでもなさそうだ。「商会」の私兵というセンもあるが、ま、これまでの話を総合すれば、おのずとその出自は推し量れる。何よりその身にまとわりつく血なまぐさい雰囲気が、カタギの仕事とは縁遠いことを如実にアピールしている。


「姫に拘ったことが仇となったようだな、零号機」


「……技研の実行部隊か」


「いかにも」


 囲みから一歩歩み出た指揮官っぽいのが、厭味ったらしい声音でさえずった。ずいぶんと余裕綽々でねーの。そんなにオティカとおしゃべりしたかったのか? 黙ってかかってくりゃあ万に一つもあっただろうによ。


「あなたたちは……! 下がりなさい、ル・リンの名を継ぐものとして命じます」


「お言葉ですが、姫。我々の指揮権は、姫にはございません。零号機ともども、我々とともに来ていただきましょう。すべては新たなる秩序のため」


「そのような……!」


 姫、全然統率できてないみたいだなこりゃ。手勢ってのがマジで手勢レベルの可能性出てきたぞこれ。あまりに影響力無いから父王からもほっとかれてた感じ? そりゃ王国の力も借りたくなるわなぁ……。

 指揮官っぽいのがハンドサインを送ると、囲みがうぞっと動く。なかなかの連携だな。個々人のレベルもそこそこ、腕も立つようだ。俺の敵じゃあないが、ライカ君にはちと重荷かもな。

 しかし新たなる秩序ね、またどうして安っぽいお題目を掲げやがって。俺は肩に担いでいた剣を下すと、やおら八相に構えた。


「オティカ、おめーは前をやれ。俺は後ろをやる。悪いが、今の俺の身分は姫の護衛騎士なんでね」


「……しくじるなよ」


「こっちのセリフだよ」


 ヘン、と不敵に笑ってから、俺は表情を引き締めた。というわけで役割分担も済ませたし、サクッとやっちゃいますか。向こうも「女は?」「殺せ」「男は?」「ん―……まぁ殺せ」みたいな感じで打ち合わせが終わったみたいだしな。しかしライカ君の扱い雑だなァ!

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