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ティエスちゃんは中隊長  作者: 永多 真澄
うずうず! 遠征準備編

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2-14 ティエスちゃんは面接官①

「よし、じゃあ始めるか。エルヴィン、一人目を呼んできてくれ」


「了解。ピーター小隊長だよな?」


「いや、あいつは良い。もう選抜入りしてるからな」


「本人の自由意思は!?」


 そんなもんはない。静かに首を横に振るティエスちゃんだ。楽しかった遠足から一夜明け、現在選抜メンバーの面接準備中。いや、どうせならあいつにも面接官として同席してもらうか。気が変わった俺はエルヴィン少年にまず副官を連れてくるように言った。



1. ピーター・フックの場合


「謹んで辞退させていただきます」


「ならん。隊長命令だ」


 入ってきたなり副官はそれはもうきれいな敬礼をして、いっそすがすがしいほどにのたまったものだから、俺もすがすがしい笑顔で却下した。副官は「まあそうだよな」くらいの軽い諦観を含んだ笑みを見せた後、すんなりと面接官の席に座った。


「それで、どのような選考方針で?」


「まずは本人に参加の意思があるかどうかを確かめて、基本、ない奴は落とす」


「はて、自分は先ほど辞意を表明したはずでありますが」


「何事にも例外はあるってことだ」


「さようで」


 副官は肩をすくめた。物分かりが良くて助かる。俺は面接希望者と候補者の書類をパラパラめくりながら続けた。


「次に……というかこれがすべてなんだが、熱意とこれまでの実績なんかを鑑みてよさげなやつをピックアップする」


「実にアバウトでありますな。書類選考はなさらなかったので?」


「んな時間はなかったし、熱意のある奴は思わぬ働きをするからな。一応面接の機会は設けてやりたい」


「なるほど」


 副官に一部の資料を渡す。去年配属されたばかりの新人のいくらかが、志願してきていた。目立った実績はないが、それでもウチの中隊に回されたってことは地力のある連中だ。なにより、その熱意は買いたい。

 なに、連携や技術なんてのはこの一か月で嫌って程訓練するんだ。問題はないだろう。タブンメイビー。


「とりあえず、まずは各小隊長から面接していくぞ。エルヴィン、ラッカを呼んで来い」




2. ラッカ・アクリジョンの場合


「失礼します」


「おう。まあ掛けてくれ」


 入室してきたのは、針金のようなのっぽの男だった。第2小隊長のラッカ・アクリジョンはその風貌にあまりにも似合いすぎている眼鏡をいじりながら着席する。


「まずは確認させてほしいんだが、今度の親善試合選抜メンバーに参加する意思はあるか?」


「ノー・サー。今回は辞退させていただきたい」


「理由を聞かせてもらっても?」


「中隊のトップ1・2が隊を留守にするのです。私まで抜けては、指揮に影響が出ます」


「なるほど、一理あるな」


 ラッカはその刺激物のような名前からは想像できないほど怜悧な意見を述べる。実際、こいつはウチの隊で一番の文官タイプだ。普段あまり表に出ることはないが、直近の俺が不在だった期間などは、副官が隊長代理、ラッカが副官相当の働きをしていたという。陰険眼鏡キャラに見えて頼りになるやつなのだ。


「まぁ、そういう現実的見地からくる意見は至極もっともとしてだ。おまえ自身の考えとしてはどうだ? ラッカ流の強がりで、で、実は親善試合で武功を立てたくてたまらないんです! みたいな欲があるなら、今のうちに吐き出しとけ? 考慮するから」


「自分の時とはずいぶん違いますなぁ」


「うっさい」


 副官の脇腹を肘で小突く。ラッカはというと、「フ、愚問ですね」とか言いそうな雰囲気で眼鏡をクイッとした。


「フ、愚問ですね」


「言うと思ってたけどマジで言ったなこいつ」


「と、まあ今のは冗談として」


 こいつ、腹黒陰険根暗サド眼鏡野郎に見えてその実ノリは他の中隊員と同等かそれ以上に良い。自分の「キャラ」ってのをわかってるんだよな。あざとい奴だぜ。


「私はこのように事務方のほうが似合っているような男ですので。華々しい活躍はほかの皆に譲ります」


「本音は?」


「なんかめんどくさそうなので」


 眼鏡クイッってしながら言うセリフじゃねぇ。ちなみにこんなことを言っているが、こいつもいざ戦闘となると「ケヒャァ!」とか言っちゃうタイプなので十分戦闘狂である。有力候補だったんだがなぁ。


「わかった、結果は追って知らせる。下がっていいぞ」


「では、失礼いたします」


 ラッカは優雅に敬礼をして、部屋を後にした。さ、時間は少ない。どんどん行こう。


「エルヴィン、次だ。トーマス呼んで来い」


「りょーかいっス」


 次は第3小隊長のトーマスだ。こいつは志願してたし、ま、行けるやろ!

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