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ティエスちゃんは中隊長  作者: 永多 真澄
とべとべ! 森域動乱編

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185/204

5-45 ティエスちゃんは指示を出す

『中隊長殿、トマス小隊長からの緊急電です。『野生の後継者』、決起』


「来たか。律儀なこって」


 アマツカゼ内で副官から報告を受け取るティエスちゃんだ。しかし、まるきり事前情報の通りとはな。こっちの動きはアマリエルを通して向こうにも掴まれてると思ったんだが。あのアマ、するかしないかで言ったら絶対しそうだしな。


「トーマスたちの状況は」


『不明。決起の知らせ以降、通信途絶しています』


「……!」


 副官の報告に、後席の姫が息を詰まらせたのがわかる。トーマスからの通信が途絶えたということは、同行しているライカの身にも危険があるということだ。が、あえて無視する。ケアは一通り指示出しが終わったあとだ。


「ハナッパシラのほうは」


『決起宣言直前、闘技場に不明な強化鎧骨格の乱入があり……』


「撃破された?」


『不明です。ただ、決勝戦中に頭部ユニットを破損したとの報告も』


 不明だらけだな。俺は眉根を寄せた。強化鎧骨格に搭載されている貧弱な通信システムは、頭部ユニットに搭載されている。人型をしてるからって頭に重要機器を集約しなくてもいいだろ、とは思うが、胴体がほぼ丸ごとコクピットなことを考えると致し方ないことなのかもしれないな、と思い直す。

 ともあれ。それを破損していたなら、無事でも報告をできていない可能性はまだある。かなりの希望的観測なので、いったんハナッパシラは死んだものとして考えたほうが良い。クソがよ。


『それと、エルフによる転移阻害が間に合っていない可能性が――』


「わかった。報告ご苦労」


 俺は努めて冷静に、それでもふうと小さく息を吐いた。しょっぱなから躓きすぎだ。……部下が死ぬのは慣れねーな、ホントに。慣れちゃいかんのだろうが。

 光画盤に映る副官の顔が翳る。いかんな。こんな時に部隊長の俺がナーバスになってちゃ、色々と示しがつかねーや。

 俺は感傷その他をひとまず棚上げした。


「撤収準備はどうなってる」


『資材積み込み、機密情報の破却、人員移動、それぞれ100%完了しています。号令があれば、すぐにでも出発できます』


「わかった。すぐに始めさせろ。急げよ」


『はっ!』


 作戦開始と同時にこの整備区画は放棄し、世界樹・統合府庁舎近郊に陣を移す手はずになっている。統合軍の設備を間借りする感じだ。ここは統合府が親善試合に他国や遠方の氏族を招くために作った仮設の選手村だからな。それに、戦力は分散させるよりも集中しておいたほうが何かと便利だ。

 ……たった二週間かそこらしか使わなかった施設だが、いざ放棄するってなると愛着がわいてくるから不思議なもんだ。いろいろなことがあったからなぁ。

 おっと、感傷は棚上げしておいたんだった。気を抜くとすぐに落ちてきやがる。


「それで、アマツカゼの発進は、オートでできるんだったよな?」


『そのように。……ピカリン氏筆頭に、数人が打ち上げ完了までの残留を希望していますが』


「却下だ。抵抗するようなら気絶させてでも引っ張っていけ」


『了解であります』


 副官は苦笑して、すぐ横に控えていたピカリン氏に目配せをする。ピカリン氏は頬を掻いた。


『ダメですかね、やっぱり。打ち上げ時のデータとか、色々とっておきたいんですけど』


「ダメに決まってんだろマッドサイエンティストども。こっちでデータはとっとくから、帰ってきたらコイツのデータを好きに分析していいぞ」


『了解です、ティエス中隊長。主任ともども、分析できるのを楽しみにしていますね』


「おう。シャランのヤローにも、戦争終わるまでおとなしくしとけって伝えとけよ」


『必ず』


 ピカリン氏は軽く会釈をして、タラップを降りていった。それを見送って、副官が苦笑する。


『これで本当に100%になりました。ありがとうございます、中隊長殿』


「おうよ」


『……確認しますが、闘技場へは?』


 探るような副官の問いに、ウームと唸る。今頃エルフも大慌てだろう。転移対策は万全と豪語しておいてこれなのだから。あとでウィエルサードに嫌味言ったろ。


「当初プランにはない動きになるな?」


『はい。転移による不明機の乱入は想定外でしたからな』


「ったく、エルフどもめ。まじめに仕事してんのかあいつらは。エヴィロンス・シリーズの投入は?」


『これも未確認です。ですが転移が可能なら、投入してこない理由はないかと』


「決起の宣言があった時点で統合府中に同時多発的に現れていてもおかしくはないから、件の不明機だけが特殊と考えるべきか」


『そうであってほしいものですな』


「その不明機の動向は?」


『貴賓室を破壊したのち、転移で消失したと。被害については情報が錯綜していて――』


「わかった。オーケーだ。今はいないんだな? じゃあ闘技場の収拾は統合軍に任せる。スプリガンズは当初作戦通りに行動しろ」


『時間稼ぎですな?』


「そうだ」


 副官の報告を聞きながら行っていた最終チェックが完了した。アマツカゼの全システムがアクティブになる。

 俺は自信たっぷりな顔でサムズアップした。


「3時間で終わらせてくる。その間、隊を頼んだぞ」


幸運を(グッドラック)。中隊長殿』


 副官もまたぐっと親指を立てて、敬礼をした後タラップを駆け下っていった。

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