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未来転移  作者: 梓悸
9/14

Go West!

ここから始まる感じで、楽しんでください。

表現は拙くてすみません。。。

 流石に昨夜の食事を食べた後では見た目と似せたプランクトンレーションじゃ満足いかんな、と思っていたらユウキは美味そうに食っていた。精進料理をさらに薄くしたものだと、残すわけにもいかず平らげて、ユウキに話しかける。

 「今夜まで香ママのお店に寄らせてもらうとして、次はどこ行こうか。それに、ユウキって故郷とか生まれってどこだっけ?聞いたかな」

 「故郷なんてないよ」

 「え?すまん、配慮が足りなかった。孤児だったのか?」

 「うん、NEOTOKIOで育った。行く?」

 「そっか。って、どこへ?ここ、NEOTOKIOだろ?西新宿だろうけど」

 「ユウキの居た部屋。今でも借りてるよ。NEONAKANOSAKAUE」

 「もう、NEO要らなくない?中野坂上か。歩いてでも行けるな。って、部屋あるならそっち泊まった方が良かったんじゃないの?」

 「。。。」

 急に黙ってしまうユウキ。西新宿からなら1kmも無い距離なのだから場所さえ分かれば酔ってても帰れるだろう。訳ありか。

 「無理に行かなくてもいいよ。ショートポータルでいくつか気になる場所もあったし。。。」

 「違う、来てほしいし、私も行きたい。ただ、何年か帰ってないから汚れてるかなと思って」

 何年も帰らずに借りてるだけか。家賃もったいなくないかな、と貧乏気質が出てきてしまうが、倉庫と考えれば悪くないのか。間取りは1Kだそうだから、本当に倉庫なのかも。場所どこ?と地図を出して指さしてもらう。んん?確かに中野坂上だけど、中野坂上の交差点?青梅街道と山手通りの交差点?と聞き直すと、首を縦に振るユウキ。一等地じゃねえか。。。とりあえず、弁当持ってピクニックと行こうぜと、香ママへグループ音声チャットを打診する。眠そうな声で返事が来る。

 「おはよう。早いわね。流石にまだやってないわよ?」

 「ランチタイムまででいいんだけど、簡単なサンドウィッチか何か作ってくれないかな。ナイトタイムには行くけど、少しユウキとピクニックに行くつもりなんだ」

 「ダンジョン行くんじゃないでしょうね?」

 「まさか。新宿中央公園や神田川の河川敷もダンジョン化してるの?」

 「今の時間だと大丈夫だけど、深夜は酔っ払いが絡んでくるわよ」

 「まあ、俺の時代もそうでしたから、その程度は対処できます」

 「また俺の時代の話?ホラも大概にしなさいよ。30分後にビルの下にいらっしゃい。二人分作ってあげるわ」

 礼を言ってチャットを切ると出発の支度をする、と言っても大した荷物は二人とも無いのだが。兵糧は確保したが水分はどうしようか。いちいち自販機ってのももったいないしなと、またもや貧乏根性が出てきてしまう。ただ重くなるのも事実。ユウキに話すと。

 「レンタルエアバイクならすぐだよ?歩くの?」

 「周りの景色も見ておきたいんだよ。たまには歩きながら話するのも悪くないだろ?」

 「わかった。じゃ、これに乗せていく」

 小さい小指の第一関節ほどのキューブを取り出して、ユウキが放り投げると、小型のコンテナボックスが組み立てられる。なにこれ?ホ〇ポ〇カプセル?上部と側部に開閉できる部分が付いていて、1立法メートル位だろうか。ユウキに追従するらしい。

 「ウォルフガング製だよ!」

 おうふ、軍事用コンテナじゃねえか。タングステン(ウォルフガング)合金らしい。。。なにそれ、怖すぎる。浮いてるのは反重力だということは分かったが、それ以外は呪文のようでさっぱり単語すら理解できなかった。しかも、体積は縮小も拡張もできるとの事。しどろもどろにもっと小さくてもいいよと言うのが精一杯だった。値段を聞いたら卒倒しそうなので、とりあえず荷物は全部その中へ入れて、香ママの店のある雑居ビルへ向かう。


 「遅かったわね。はい、どうぞ。コールくれたら、お店は早めに開けておくわ。楽しんでらっしゃい」

 夜の仕事をしている人って、普段着の方がセクシーに見えてしまうのは何故だろうか。香ママはなぜか俺ではなくユウキに視線のほとんどを向けていたのだが。和洋折衷で頭がこんがらがるが、どう見ても小料理屋の女将に見えて仕方がない。スタイル良すぎて着物が似合うのか?とか思ってしまうけれども。

 「カオリさん、パーソナルポータル、ここに置いてもいい?」

 「ようやくその気になったのね。いいわよ。4階の非常階段の出入り口でどう?ビルが無くなってたら、ちゃんと対処なさいね?」

 「ラジャ」

 「おいでらっしゃいな(エレベーターの扉を開けて誘う)」

 「パーソナルポータル?ビルが無くなる?」

 良くない予感がしたので、聞いてみる。

 「資格を持っている者は個人的に移動できる場所を5つまで登録できるの。私は沈黙の海の駐屯地と、中野坂上交差点北東部、ルナシティ中央噴水傍、フォボス宙域基地中央広場傍の4つ。最後の一つを迷ってた」

 「ごめん、俺にはまったく説明になってないよ、それ」

 「パーソナルポータルは自分しかジャンプできないのよ。なので、ユウキちゃんはタカシがまだ資格を持っていないのでその説明をしていなかったのだと思うわ。パーソナルポータルは変更は可能だけれど5つまでなの」

 「5つ埋めてしまうとどれか一つを消さないといけないということか」

 「ええ、ダンジョン内や上空、洞窟内でもマーキングできるけれど、その場所が上空だったら当然重力への対応は必要だし、地中の場合、埋まっていたら地中に転送されるわ」

 「それは、なんとなく分かるよ(苦笑い)」

 昔やったことのあるコンピュータゲームでのトラウマを思い出しながら。ただ、資格ってどうすれば取れるんだろうか。条件や忌避事項、試験などあるのだろうか。

 「タカシも欲しい?」

 「興味はすごくあるな。今すぐじゃないけど」

 「なら、後で歩きながら概要教えてあげる」

 「経験者に聞くのが一番の近道ね。私は資格が無くて持っていないし、概要の概要しか説明できないわ。ここなら、ビル内だし、通常は外側からは鍵かかっていて入れないわよ。どうかしら?」

 「ん。ここがいい」

 すっと手を動かす行為はまるで神官が祈りを捧げているかのように見える。何かを声に出しているが俺には聞き取れない。高速発音と言うべきなのだろうか、2-3秒で終わったのだがユウキは額から滝のように汗を流し、ふらついていた。思わず腰と肩に手を回しゆっくりと座らせるのだが、ユウキはすぐさまHMDのコンソールを開いて確認しているようだ。

 「登録完了」

 そういうと、ぱたんっと俺の膝の上に横になってしまった。

 「(くすくすと笑いながら)15-30分くらいで目を覚ますと思うわよ。お祝いのお酒何がいい?」

 「地鎮祭じゃないんですから。でも、お言葉に甘えて、甘酒もらっても?」

 「あら、お子様ね♪」

 この状況で酔っぱらう方がダメだろ!

 

 香ママも流石にずっと一緒に居られるほど暇ではなく、店に戻っていったので少し頭を整理してみる。主にパーソナルポータルだ。他のことまで考え始めると取り止めが着かない気がしてならなかったので、分かっていることと分からないことぐらいはまとめておこう。分かっていることは、資格が必要なこと、5つまでしか登録出来ないこと、「自分」しか転送できないこと。この程度だ。分からないことは際限が無い(疑問がさらに疑問を生む可能性がある)ので、現時点では資格とは何か?その条件はなにか?5つまでというのは6番目の時に消えるのは登録した先頭から(FIFO方式)なのか自分で選択できるのか、ランダムなのか。「自分」とは「どこまで」が定義されるのか?(例えば服は自分なのか?触れている生物は自分と同じ?)となる。また、パーソナルポータルはチップに保存されるのかIDとしてのライセンスなのか?どう起動するのか?など、分からないことは多数ある。ここからは推測なのでユウキに聞いてみないと真偽は分からないが「ユウキは自分のチップを俺よりも優先して守ったことは無い」ということと「俺が相手のチップを無効化することに恐れも疑問も抱いていなかった」ということだ。もちろん、ユウキは俺なんかよりもはるかに身体能力が優れているし、たとえ一人であったとしても乗り切れる(もしくは乗り切ってきた)という自負プライドがあるのだろうと思える。チップがあった方が便利かもしれないが、無くても大丈夫と言い切れるしその態度を見れば、ポータルやショートポータルからのパーソナルポータル転移は可能では無いだろうか。そう考えれば、沈黙の海の駐屯地から沈黙の海の街へのポータルを「自分だけ」なら出来てもおかしくないし、西新宿のショートポータルまでさほど時間がかからないとも思える。事実は現状起きてくれないと分からないのだが。と、すると、香ママの言った「ようやくその気になった」とは、5つ目のパーソナルポータルを埋めると言うことなのではないだろうか。ユウキは「私は沈黙の海の駐屯地と、中野坂上交差点北東部、ルナシティ中央噴水、フォボス宙域基地中央広場の4つ。最後の一つを迷ってた」と、そう言った。これは、登録順だとすると、俺たちが来たのは沈黙の海の駐屯地だ。今からでも帰ることは可能。月の主都市であるルナシティ、火星の衛星上にある中立基地の広場も頻繁に訪れるだろう。と、すると。仮にFIFO方式だったとすると?

 「おまたせ。本当は神職の人にお清めしてもらうのが一番なんだけどね。ほら、狸寝入りはそろそろ終わりにしなさい」

 「ばれたか」

 「ユウキさん、結構膝枕とか腕枕って、痺れるって知ってる?」

 「しらなーい」

 「じゃ、私が簡易的なまじないを施すわね。後で本職の人にお願いするから(と言って何かを唱え始める)」

 「結界か。俺は神道じゃないんだよな。仏教なんだけど、この時代に通用するのかな。地蔵尊というより不動尊なのかなぁ」

 と、真言を唱えようとすると、香ママが側頭部に発勁を食らわせて来て、脳震盪状態でふらついてしまう。

 「ここに不動明王なんて呼び出したらぐちゃぐちゃになっちゃうわよ!止めて頂戴!」

 あれ。。。分かってないの俺だけか?と思ったらユウキもクエスチョンマークが飛び交っている表情をしていた。流石に逆らうつもりは無いので素直に謝って拝むだけににしておく。般若心経もダメ?って聞くと、今は仮の状態だからちゃんと本職の人が安定化させないとダメだとの事。さらに謎が深まるが、仕方ない。

 「リンクおっけー」


 香ママと別れ、中野坂上へテクテクと青梅街道(らしき道)をゴーウェスト。くだらない雑談をしていたのだが、やっぱり聞きたくなってしまうので聞いてみる。

 「パーソナルポータルって俺が取るにはどうすればいいの?」

 「試験を受けて合格すれば誰でも取れるよ」

 あ、うん、それはなんとなく分かる。その試験の内容と条件を知りたかったんだが。誰でも取れるということは、前提条件は無いのか。試験の内容が厳しいのかな。

 「自分が生涯をかけて何を成すか、何を目指す目的かを誓うだけだよ」

 え?しばし混乱の魔法にかかりながら言葉を失い、では「なぜ」香ママは「資格が無い、持っていない」と言ったんだ?不意にユウキが背中からトンっと触れる程度に指で押して、その指圧で前のめりに転びそうになってしまい。

 「タカシには資格はあるよ。タカシは、『プライド』あるでしょ?」

 何でもかんでも自分に自信があるだとか俺に任せろなんていうつもりは(よっぽど酔っ払ってない限り)無いな。ただ、自分に自信が無いというのは流石にないだろうとは思う。これだけは負けないし、負けたくないってのは、誰しもあると思うのだが。もしそれだけだとすると、香ママが自分には無いと言い切ってしまった理由が余計分からないな。。。

 「淀橋だよ。神田川越えるよ。あとすっこしー!」

 俺の知っている中野坂上付近だが、まったく人通りが無いのがゴーストタウンに見えて仕方がない。せめて世紀末的にビルが傾いててくれたりガラス割れてたりしてくれたりしたら、雰囲気あるんだが綺麗過ぎて違和感しか湧かないよ。

 「ニン爺、お久ー!」

 また新しいキャラっすか。誰だろうとユウキが駆けていく方向を見て。


読んでくださりありがとうございます!精進します!

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