酒の仲間
大体お酒は和洋どれも好きですが、日本酒は辛口が好きだったりします。冷も好きですがぬる燗が一番好きだったり。え?聞いてない?失礼しました。
意外とヘッドコンソールって蒸れるのかと思ったが、実時間は2-3分なので、外した後に汗が噴きだしてきた。そういうもんなのかなと思ったがヘッドコンソール自体を周りが使ってないから誰に聞いても分からないな。さてと、とりあえずモニターを見ると、全員武器を捨てて両手を挙げているようだ。すでに各局に送ったメッセージが全て同じで、リーダーたちに伝わっているようで、しきりに何か叫んでいるが、一つ目女子アナも相手がネットワークが繋がらない状況に慣れていないのか、アタフタしている。あ、そうか、そもそもマイク自体がないのか?どうやら、リーダー達もその配下も納得して話し合いするからネットワークを戻せと言っているようだ。
「ロック解除しないの?」
「なんで?口約束を信じろと?」
「あ、そうだね。じゃ、私の所に連絡来るかもだから、どう答えればいい?」
「署名付きでリーダーとメンバー全員の誓約書よこせ、でいいよ。一人でも欠けていたり約束を違えりした場合は、分かるね?、でぐらいでいいんじゃないかな」
「お主も悪よのう」
「いえいえ、ユウキ様ほどでは。って、このネタこの時代でも通じるの?」
コトっとお皿とグラスが置かれる音がカウンターテーブルから聞こえる。目を向けると、この時代で初めて見た、ご飯とひじきと大豆の煮付け、刺身にサイコロステーキと味噌汁が置いてある。レーションじゃない食い物だ。。。驚きすぎて声が出ない。
「今日はこのくらいしかないの。ご飯とお味噌汁は何杯かならお代わりできるわよ」
「。。。(ようやく脳内の再起動を完了し)これ、プランクトンから作ったの?」
「そんなわけないわ。匂いで分かるでしょ?正真正銘合法で正規品よ。ごく少数だけれども、自然栽培や畜産、養殖をしている人はいるの。お酒もね。ほとんど出回らないし闇市場でない場合、法外な値段になるので激レアになっちゃうのよ。改めて礼を言わせて頂戴。止めてくれてありがとう」
「そこまで大したことをしたわけじゃないですし、根本解決はこれからですからね。もらえるものはもらっちゃいますが。なんかあったら俺かユウキに連絡してください。あ、俺のこいつ(右耳を指して)はパスワードかかってるんで、ユウキの方がいいかな」
「パスワード?」
「今の時代はかけないのが普通みたいなので訳わかんないですね、多分。個別チャットする際に俺のこいつ(右耳を指して)はパスワードが必要なんです」
「そういうものなの?はい、ユウキちゃんにはいつものジャーキーね。お酒は二人とも辛口で良かったかしら」
「やったー!いただきます!」
「ええ、辛口の日本酒、好きです。じゃ、俺も遠慮なくいただきます」
うっまっ。ユウキにも分けつつ、久しぶりのお米と味噌汁だけでうまいのに刺身とサイコロステーキとかどんな贅沢だ。。。
「美味しそうに食べるね、隣いい?」
ご飯のお代わりのタイミングで背の高いスーツの男性が横に座る。口に入ってる時に話しかけないでと思いながら、頷く。片手で椅子にどうぞのゼスチャー。ようやく飲み込んで、そういえば一緒に見てたんだっけか。この人はあの時のどっちだろうと、思ったのだがたぶん狩衣の方な気がする。
「イッカクだ。よろしくね、タカシ(右手を出してくる)」
「(握手を交わし)桐生孝志です。」
「僕ともいいかな?マオカだ」
もう一人の男性から立って挨拶されたので、思わず立ち上がり、名刺を出そうとしてしまって。
「紙?貴重なものを持ってるんだね。流石ITエンジニアだなあ」
あ、しまった、そういや名刺なんて交換しないわな。抜けないなーこの癖。すみませんと謝って戻そうとすると。
「僕ももらえるものはもらう性格なんだ。記念に頂けないかな」
「あ、どうぞ。(と言って手渡す)」
「私はサンタニよ。よろしくね」
「私はナインよ」
女性の二人から手を出されたので順番に握手を交わすと座らせてもらう。
「冷めてしまうし、刺身は新鮮な方がいい。食べてから話そう」
そう長身の男性に言われたので食事を楽しませてもらうのを優先しつつ、合間で話を挟んでいく。流石に俺だけ豪華な食事と言うのも気が引けるので、おひとつどうぞと香ママとノワール含めお裾分けしながら。選んでもらった日本酒は辛口で冷だった。ただ、スッキリしててついつい飲み過ぎてしまいそうだ。
「しかし、見事と言うしかないね。あの二党を無血で調停まで持っていくとは」
「半ば強制なので、脅迫罪に引っかかるかなと内心冷や冷やしてるよ」
「あ、そうだった、沢山メッセージが報道なんちゃらからきてるよ」
それは早く言いなさい。さっきの通り誓約書は?と聞くと。
「署名入りで来てるね。公式の地球連邦の証明付きで」
「会合の日時と立会人は?」
「どっちもない」
「突き返してくれ。期限もない、第三者の監視のない会合なんて意味が無い。どうせ言った言わないが再発するに決まってる。決められないのならばそのまま決めるまで待っててあげるって、ハート付きで返信してやれ」
「ハートはやだ」
「冗談ぐらい覚えような?」
「今ってどういう状態なの?」と香ママ。
「お互いが歩み寄る会合の日時と、それを見届ける仲介人を決めるところですね。あ、ユウキ、その会合の一部始終をマスコミで報道OKも条件追加だ」
「うぁあ、嫌がるだろうな」とはマオカ。
「香ママの言うことにはホモ政党だっけ?その人が煽ってるんでしょ?」
「もほほだほおもか。」
「もほほだ先生ねー」
「もほほだは言うこと変わるからな」
「私はもほほだが公約守ったって聞いたことないわ」
「自分からLGBTの評判落としてるって分からないのかな」
よっぽど評判悪いんだな。。。
「世界レズビアン党もやらかしてるもんな」
「ああ、サリン事件か」
「え?!サリン?神経毒の?後遺症残るやつ?」
「よく知ってるわね。そうよ、サリンガス。そういう実験でもしていたの?」
「いや、過去の嫌な事件を思い出しちゃって」
「(みんな不思議そうに)ほかにサリンの事件ってあったっけ?」
なるほど、両方一部過激派が居るって事ね。こればっかりはそれぞれの団体の自浄機能と努力に期待するしかないな。そこまで介入する権利も責任も義務も義理もない。
「来たよ、みんなにも見せるよ」
「頼む。。。この立会人、アファラトって、誰?」
何かが通り過ぎる沈黙が数秒続いて一斉に。
「「「「「「月代表議長!」」」」」」
だから、それが分かんないんだってばよ。。。まあ、ここにいる人たちが信用できそうな人と認識してるならいいか。日時も決まってるし。一応ここでみんなの意見は聞いておくか。
「どう思う」
「十二分な条件よ。私は解放してあげていいと思う」
「そうだね。この短時間にここまでできたこと自体がすごい」
「今回の罪に対する罰は十分あの子たちも理解できてると思うわ。特にユウキからということも含めて」
「。。。報復があるかもしれないよ?」
「ああ、それなら多分大丈夫。俺のはパスワードかかってるので知ってる人以外は入れないし、定期的に変えてしまうし、そもそも俺がやったことになってないでしょ?(皆が頷くのを確認してから)と、なると、ユウキが狙われるんだが、正規ルートで入らなかった場合用にトラップ仕掛けた」
「うん、仕掛けてもらったー」
「ど、どんな?」
「そいつは言えないよ。ハックしてみれば体験できるよ♪」
「遠慮しとく。。。」
「俺への場合はIDのメールならいいけど、直チャットは止めといた方がいいとだけ言っておくよ、ってもうこんな時間なんだ、あと一時間くらいでホテルのチェックイン期限時間だな。じゃ、みんなも解放してよさそうな感じなのでロック解除するね。解除されたことニュースになるかね」
解除したとたん、モニターが騒ぎ出した。どうやらちゃんと解除できたみたいだな。アンドロイドは管理権限保持者が再起動すればいいだけだからな。今夜はいったん終結ってことでいいだろ。ユウキに解除されてないとか文句言ってきたら、教えてくれと伝えておく。
「あら、夜通し飲むのかと思ってたわ?」
「結構疲れましたし、ベッドで寝ますよ。近くにチェックインするんで、明日また来ます。あ、でももう一杯お代わりいい?」
その後は自己紹介交じりの雑談。長身の男性、ネット上で狩衣だったイッカクは神職の人らしい。神道ってまだあるんだ、と思ったら、結構この時代風に俺の記憶と違うところがあってなかなかに面白い。もう一人の男性、マオカは数学の教鞭を振るっているそうだ。俺なんかよりも全然専門家じゃないかと言ったらプログラムはできないそうで。女性は二人ともお子さんがいらっしゃる主婦だそうで、ランチタイムに会ったのはこの二人だった。どうやら見たことがあるというのはつい数時間前だったというわけで、自分の記憶力の無さを痛感してしまう。もっぱら俺のことを聞きたがるので、酔った勢いで西暦202x年台から気付いたらダンジョンだったと話し、ユウキも同意してくれたのだがそこだけは信じてもらえなかった。俺が生きていた時代でもそうだが、専門用語無しで専門的なことを説明するのって難しいんだよ。。。話長くなるし(笑)
「いくつか依頼したいことがあるんだが、ユウキに連絡すればいいか?」とイッカク。
「案件の内容と対価が釣り合って、ユウキも俺もOKだったら引き受けるよ。俺のIDも渡しておくけど、ユウキ経由の方が早くて安全だな。パスワード1回でも間違うとややこしい事になりかねんので」
笑いながら話したんだが、イッカクも他の人も顔が引きつった笑いをしていた。まあ、脅すぐらいの方が間違えなくていいだろう。あんまりやりすぎるとスパイに間違われかねん。
「そうそう、タカシは嫌いなものとかアレルギーはある?」
「嫌いなものはまずいもの、かな。レーションみたいな(笑)。アレルギーはないよ」
なんて話をしていると、結局ホテルには都市ネット経由でユウキと俺の名前をチェックイン状態にしてもらって24時間出入りできるドアを開けてもらうように説得し、1時間半ほど遅れてホテルに向かう。
「楽しかったー」
「うん、確かに。軽くシャワー浴びてそのまま寝るよ。ユウキはどうする?」
「私もそうする。朝風呂もいいよね」
ベッドに入るとすぐ記憶が飛んでしまっていた。
どう記述するのがいいのかなと試行錯誤しております。
読みにくいとは思いますが、読んでくださってありがとうございます。
統一感が無くてすみません。。。
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