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33.と、一週間前までは、そんなふうに考えていたのだが……

 オクタヴィアから攻略本の写しをもらったその日の晩、リディアは部屋で一人攻略本(写し)を読んでいた。久しぶりに見るひらがなと漢字とカタカナの羅列に、リディアは目を細めて内容を読み解く。


「やっぱり、久しぶりの日本語って疲れるわよねぇ」


 知識としては理解していても、今まで別の言語で話したり読んでたりしたものだから、脳が素直に応じてくれないのだ。

 リディアは、眉間の皺を揉みながらページをめくる。


 オクタヴィアに出してもらったのはフィリップの攻略ルートと、ダグラスの攻略ルートの二つだけだ。

 最初にあったフィリップの攻略ルートはほとんど記憶のまま。たまに抜けている情報もあったりして、おさらいのように読んだりした。

 そして次に、ダグラスのルートだが――


「これって……!」


 ダグラスルートはなんとフィリップルートから分岐するのだった。しかも、分岐はこの『奴隷商事件』から。つまりローラは、まだダグラスのルートに入れるってことである。


(つまりまだ可能性は残っているってことよね)


 リディアはさらに読み進める。


 奴隷商人とのつながりを疑われるダグラス。フィリップルートだったらここで一ヶ月地下牢に閉じ込められるはずだがそんなことはなく、彼は自分が誰から嵌められようとしているのか、調査を始める。すると、たまたま奴隷商人の取引現場を目撃したローラがさらわれてしまう事件が起こるのだ。

 すぐさま助けに向かうダグラス。いろいろな困難を乗りこえ、ダグラスはローラを助けることに成功するのだが、敵もそのまま黙って捕まってはくれなかった。

 一瞬の隙をついて襲いかかる奴隷商人。その凶刃はローラに向かった。

 しかし、奴隷商人の刃はローラには届かない。ダグラスが庇ったからである。しかし、そのせいでダグラスは致命傷を負い、生死の淵を彷徨ってしまう。

 ここでローラの好感度が高ければ、彼女のギフトが覚醒しダグラスは生還するのだが、もし、好感度が足りなければそのままダグラスは死んでBADENDとなる。


「つまり、このままいくとダグラス様は死んでしまうということ……?」


 リディアは文字に指を滑らせながら、そう声を震わせた。


..◆◇◆


 ローラのギフト、それは『リミッター外し』である。

 彼女の力は、何の制限も制約もなしに相手の能力を全て引き出すことができる。

 例えば、火のギフトを与えられたものがいたとして、その人間が十全の能力を引き出せていないとする。しかし、ローラの力を持ってすれば彼は全ての力を引き出して使うことができるのだ。そしてさらに、制約のせいで能力が半減している力などはその制約さえも取っ払うことができる。力を使うたびに身体中に激痛が走る……なんて制約があれば、ローラが力を使えば身体は痛くならないということだ。

 つまりこの力をオクタヴィアのギフトに使うと、対価なしで願いを叶えることができるのである。つまり、瀕死の重傷を負ったものを蘇生することなど朝飯前なのだ。


 そして、ダグラスのルートを知ってしまったリディアが選べるのは二つである。


①ダグラスとローラとくっつけて、正規ルートに進ませる。

②ダグラス抜きでストーリーを進める。


(それなら、ダグラス様の安全を考えてルート②が堅実よね)


 ①の場合はダグラスが一度刃を受けてしまう危険性がある。それならば、ダグラスには何も知らせず一人で処理した方が安全だ。最初はダグラスも一緒に……なんて考えていたが、こうなってはもう難しい。


(攫われるかもしれないローラのことは、フィリップ様に任せているし、ピーターにもみはらせているから大丈夫だとして。作戦が終わるまでは、私もダグラス様に近づかない方がいいわよね)


 と、一週間前までは、そんなふうに考えていたのだが……



エブリスタで連載している新作です。

エブリスタの方では、完結まで投稿しております。

続きが気になる方はこちら(https://estar.jp/novels/25871275)まで。


面白かった場合のみで構いませんので、評価していただけると嬉しいです!

どうぞよろしくお願いします><

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