激戦の末に
前日の雨が嘘のように空は晴れました。
今日はCYとCZの結婚式です。
広場の教会で式を行うようで街のみんなも団長の代わりに祝ってやらなきゃなと今日は仕事をお休みして昼間からなのにお酒を飲んでいます。
本当は私もみんなに混ざりたいんだけど、最近は調子が悪くて厨房に立っていなかったおばあちゃんがなんか張り切っているから、不安で店番を手伝っています。
「おばあちゃん、今日はどうせお客さん来ないよ。」
「ふふふ。」
「もうほんとにどうしたの。なにか知ってるなら教えてよ」
おばあちゃんは朝から仕込みをしています。
メニューは野菜カレー定食。
今日は第3木曜日だから、ホントはスパイシーカレーの日なんだけどなぜかとても張り切っているので店先に出ているメニュー表はこっそり変えてきました。
「ふふふ、、、、そろそろだね」
おばあちゃんはそういうと、カレーを煮込んだ鍋をかき混ぜるのを止め、手をタオルで拭うとカウンターの定位置へ。
「ちゃありーん」
おばあちゃんが座ると同時にドアが開く。
「はーーい。いらっしゃい・・・・・・」
「あぁ、こんにちわ。店番してるなんて偉いね。」
うそだ
"あの人"は案内するために駆け寄った私をみて挨拶をしてくれ、いつもの定位置へ。
「あぁ、おばちゃん。今日は野菜か。あれっ、んじゃ今日は第3週か。」
「はいよ。なにいってんだい、今日は第4週だよ。」
おばあちゃんは、定番通りにカレーを渡し"あの人"は手を合
わせた。
「あぁ、うめえな。帰ってきた感じがする。」
"あの人"は一口食べつぶやいた。
「なあおばちゃん、今日は何の日なんだ?ここに来る途中もどこの店も閉まってるし、酒飲んで道端で寝ちゃってる人もいるわ。まだ昼だぜ。」
「あんた、今日は結婚式があるのよ。あんたの息子と娘の」
「そっか、んじゃ会いに行かないな。」
そういうと、団長は笑った。
死闘を繰り広げ、世界を救った団長。
実際に私は戦場にはいなかったけど、どんなに悲惨な現場だったかは帰ってきた団員の姿で容易に想像ついた。
団長がいなくなって、どれだけ街は混乱したか。
この人の存在の大きさを感じた。
そんな日々をこと細かに説明したいけど、、
「団長さん」
「どったの?」
「今日は魔力を出さないようにしてるのってみんなを驚かすためなんですよね?」
「そうねー。まぁかなり心配させてると思うからなんとなくあいつらに会うことに足が重くなってるだけでもあるんだけどね」
「魔力止まってませんよ。」
「えっ」
「だから結婚式のことを知ってから魔力の栓が開いちゃってますよ」
「あー、んじゃばれちゃった?」
「でしょうね」
団長は笑ってた。
いつも確かにだらしないところはあるけど、技術は確かだったのだけど。
結婚式がうれしかったんだろうな。
「おばちゃん、人数分払うから酒出して」
「はいよ」
がたっ
勢いよく扉が開く。
「お父さん!」「団長!」
そこには団長の息子と娘の姿が。
「あぁ、お前ら」
二人は泣いている
「おめでとう」
二人は駆け出している
「それとただいま」
やっと団長が帰ってきました。