表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金曜日に  作者: sige
5/5

5

「・・なっ」



心地の良い低めの声で、しかし内容はとんでもない事をサラッと囁かれ、知乃は一瞬頭が真っ白になった。

ソファの上に何故か正座で固まっている知乃に対し、高屋は背もたれに背中を預けたまま、じっと知乃の方を見つめている。



「あ、もしチノが、尾上さんのこと気になってたんだったらスミマセン」



ちっとも悪いと思ってなさそうな口調で、高屋は謝る。



「なんでそうなるのっ。って、意味わかんない・・・」



高屋に背を向けて体育座りになった知乃は、手近にあった、紺色のコーデュロイのカバーをかけたクッションを掴み、それで顔を覆う。

とりあえず何が事実で何が冗談なのかわからない。

顔を伏せているので見えないが、高屋が真後ろに来たんだろう、知乃の肩に重みが加わる。



「チーノー。機嫌直して。それで怒ったんなら、俺ちょっと傷つくんだけど」



知乃の耳の近くで高屋のなんだか甘い声がする。普段から彼の声は心地よいが、こんな声は聞いたことがなかった。知乃の肩を抱きこむように、彼の両手でふんわり拘束される。



「尾上さんのも、俺が言ったことも嘘じゃないよ。俺、本気でチノが好きだから」



・・・告白された。



「・・・なんか、ずるい」



恐る恐る顔を上げると、後ろから顔を覗かせた高屋と目があった。恐ろしくお互いの顔の距離が近い上に、高屋が目を離してくれない。



「なんでずるいの?好きな女に他の男が寄って行こうとしてたら、牽制するのは当然じゃん」


「・・・そもそもそんなことがあったって教えてくれなかったでしょっ・・」


「いや、あんまり変なこと言うと、知乃凄く警戒しそうだから。しかも、知乃の友達に俺狙われてるみたいだったし、余計、ね」



知乃は思わず、なんで知ってるの、と言いかけそうになった。

高屋もぼかしていることだし、ここは大人しく何も聞かないでいるべきだろう。

というかこの調子だと聞き出したら、さらに知らない事実が出て来そうで怖すぎる。



「ってことで、いい?」



何が?と知乃が反射的に聞くと、お互いの顔が更に近づいて、鼻先に高屋の唇が降りて来た。

それを認識した途端に、知乃の頬が熱くなる。



「・・・うん」



心の声に従って、知乃はそう零した。

お読みいただきありがとうございます。こちらでストックが切れました。また書き出し次第投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ