始まり
昨日思いついた物語です、どうぞよろしくお願いします。
あるところに二人の兄妹がいた。5歳くらいの兄妹だ、血はつながっていない。王都のスラム街で暮らしている二人は、今日も宿屋で皿洗いのバイトをする。混む朝と昼と夜の三回皿洗いをする。大変可愛がってもらっているのだが、貰える給金は一日分の食糧二人分だった。もっと大きくなれば冒険者でも何でもやれるのにと小さいながらも思っていた。ただ、妹のミラがあまり危険なことはするなと言ってきかない。そのため高収入の冒険者はあきらめざるを得ない。俺はジーク、ミラの兄貴をやっている。昨日突然に前世の記憶が戻った。ミラに早速そのことを伝えた。そしたら、ジークお兄ちゃんは、お兄ちゃんじゃないの?と聞いてきた。
そうではない、ただ単に他で生きた記憶があると教えた。そうするとほっとしたようで安心して眠るのだった。俺は、下働きしているジーク、今はイモを洗っている。
宿屋は三階建ての10部屋ある普通の宿屋だ。一階は酒場兼食堂そしてささやかな居住スペースがあり外に井戸がある。トイレは最新式のスライム式だ。水や拭くものが必要ない最新式だ。尻をスライムに付けると掃除してくれるのだ。だから必要ない。それはともかくとして、今はジャガイモを洗っている最中だ。皿洗いの他に手伝いをして蓄えを作ろうとしての考えだった。妹のミラもやっている。ガタイは俺と同じくらいでそれなりだ、妹とは言うが同い年の甘えっ子だった。それもあり、一緒にこうして暮らしていた。スラム街には子供がまだたくさんいた。みんな知り合いであり、下働きする同士だった。
そんな事より、今はイモ洗いだ、桶に沢山のイモを入れて井戸で水を汲んで洗う。たわしでだ。手が冷たい、冬を越えたばかりの水は冷たく感じる、実際には川の水よりは温かいはずなんだが、今はいいか、無心になって洗う。ただ小さい子特有の色々なことが考えつくこともあり、頭の中が忙しい。それを何とかやり過ごしながら、イモを洗う、ミラは一生懸命やっている。俺は気が散って仕方ない。でもやる、無心になってやっていると終わった。水を流して運ぶ、ミラが反対を持ってくれる。よいせ、よいせと運ぶ。
「終わったよおやっさん!!」
「おう!ご苦労、ちょっと休んでな!」
そう言ってジャガイモを運ぶおやっさん、さすが一人前の男、一人で運んでしまった。俺たちでは足元にも及ばない。仕方ないなと思いつつ、次のことを考える。そういえば、魔法を使ってないな。いや、おやっさんが火の魔法を使ってかまどに火をつけている。俺も使おう。水ガメに水の魔法を使って水を補充する。おお!魔力は結構あるな、これで色々作れるな。帰るのが楽しみになってきた。魔法を自由に使えるなんてな、前の世界でも使えたので使えるとは思っていたが、予想通りだった。使い方も同じようだった。実は俺は二つの世界を旅している経験がある。一つは地球という世界と、もう一つはここと同じ世界だった。そのため、この世界のことは十分に知っている。
そんなことを考えていたら一日が終わった。今日も壊れた家に向かう、この世界での我が家だ。やっと着いたぜ、さあ何から始めようか・・・・・・・。
お終い・・・・・・・・。