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大捕物?

女の子達に手を握られたまま項垂れていると、先程男に注意をした一番ガタイのいい男が懐から懐中時計を出し、チラリと見遣ると徐に階段を上がっていった。


そして然程時間を置かずに階段上から話し声が聞こえて来た。


「今回は特段に見目の良いのを用意しております」


「ほぅ、其れは楽しみだ」


そして数人の階段を降りる音、階段から降りて来たのは先程の男と身なりの良い小太りの男とそれに面差しの似たこれまた太った若い男、息子だろうか?背後には黒いマントにフードを被って顔は見えないが背は高く、それなりにガタイは良さそうな男?が。


身なりの良い小太りの男は、部屋の隅で固まって居る女の子達を値踏みする様に目を細めて見回し、僕と目が合う。


途端に驚愕の表情を浮かべ、口を開こうとするが言葉が出てこない様子。

あれ?この人何処かで.......隣の息子?にもなんだか見覚えが.........

!!そうだ!お城で最初に僕の所に挨拶に来た貴族だ!やばい!顔が割れてる、バレる!

咄嗟に近くで控えてる筈の冒険者を踏み込ませる為、ネックレスの魔石に魔力を込めると魔石はピコン!ピコン!と赤く点滅し出した。なんだか某、大きな宇宙人みたい。


同時に素早く立ち上がり床を蹴り指輪を剣に変える。

剣の腹で殴れば気絶させられるでしょう?ちょっと心持ち弱めに貴族の親子を薙ぎ払う様に剣を振るおうとした瞬間。


貴族の背後にいた黒マントの男が背中から日本刀と思しき短めの黒刀を抜きながら前へ。


ギィん!貴族の顔前で僕の剣は黒マントの黒刀によって止められた。

目の前で起こった斬撃に貴族の親子はヘナヘナとへたり込みワナワナと震える。

しかし直ぐにハッと我に帰った貴族の男は、いきなり始まった剣戟に、立ちすくんだままの誘拐犯の男達に叫んだ。


「おっ、お前たち何をしている!早く女共を運び出せ!」


男達はわらわらと動き出す。

僕の剣は黒マントの刀と拮抗し身動きが取れない、あのタイミングで僕の剣が止められるとは思っても見なかった。

フードで顔は見えないけれど、かなりの実力者、このまま黒マントにかかりきりになるのは不味い、女の子達を守らなきゃいけないのに!


焦りながら剣を合わせたまま対策を考えて居ると階段の上からドタドタと足音が、最初に飛び込んできたのは『龍を屠る者』キースさんとそのメンバー四人、他にも調査の時に顔を見た様な冒険者達の総勢12名!


「キースさん!?」


「マコちゃん!大丈夫か!?」


「僕は大丈夫だから!女の子達の保護!お願い!」


「わかった!任せてくれ!」


キースさん達『龍を屠る者』はすぐさま女の子達に近づく男達に剣を構えて向かって行った。

これでこの黒マントの男に専念できそう。


黒マントは飛び込んできた冒険者達に気を取られたのか一瞬刀に篭った力が緩んだ。

チャンス!僕はスッと剣を引き、すぐさまコンパクトに男の顔面目掛けて剣を振るう。

男は咄嗟にのけぞる様に顔を逸らせる、その時フードが外れ、浅黒い肌の男の顔が現れ、そしてゲームで幾度もなく苦戦させられた、あの種族の特徴、側頭部に羊の様な丸まった角が!


「魔族?!」


思わず叫んだ僕の言葉に部屋にいた全員が男に対して驚愕の目を向け動きが止まる。

ただ貴族の親子だけは違った。

僕と対峙する魔族の男に向かって叫ぶ。


「マルファズ!早く!早くコイツらを殺せ!もう女も構わん!全員殺せ!早く!」


マルファズと呼ばれた魔族の男は後ろに飛び退き僕と距離を取ると少し考える素振りを見せた後チラリと僕の顔を見、貴族の男に向かって口を開いた。


「想定外だ、まさかこの場にマコファールがいるとは考えられない事態だ.......契約は終わらせて貰う」


そう言った魔族の足元から煙の様に男の体が霧散して行く。


「待て!裏切るつもりか!?」


叫ぶ貴族の男を無視して、僕は魔族の男に斬りかかり剣を振るうが剣は空を切り煙を霧散させるだけ、そしてその煙さえも解ける様に消え、その場には魔族がいた気配さえも消えた。

僕は痕跡を探す様に床を暫く見つめていたけれど今回の事件の主犯の貴族や誘拐犯の男達の事を思い出しハッとして振り返る。


呆然と僕の様子を見つめていたキースさん達冒険者は振り返った僕にハッとして男達や貴族の捕縛を始める。

それを手伝おうと剣を指輪に変えて、へたり込んだままの貴族の方に足を向けようと歩き出した時、階段から新たな人物が降りて来た。


「サーニャさん?」


「どうやら作戦は成功の様ですね」


サーニャさんは冒険者によって縄にかけられようとしている貴族の親子に向かって微笑みながら言った。

貴族の男は抵抗を試みるが冒険者から簡単に縄をかけられ床に転がされる。

そしてサーニャさんを睨みつけながら叫ぶ。


「サーニャ!貴族の私に、こんな事をしてタダで済むと思ってるのか!」


「済むも何も、これは陛下のご命令ですよ?」


「陛下........」


「貴方が裏で行ってる事は内定済みです!この通り現場も押さえましたし、貴方がどう言い訳しようが今更どうこう出来るとは思えませんが?」


「...........」


貴族の男は押し黙って大人しくなってしまった。

周りを見ると他の誘拐犯の男達はキースさん達が捕縛を終えて女の子達に立ち上がる様手を貸して居る姿があった。


サーニャさんは僕の前までやってきて頭を下げる。


「マコトさん、ご苦労様でした、見事な囮役ありがとうございました、後処理はこちらで行いますので報酬は明日、ギルドまで受け取りに来てください」


「あっはい!」


一応返事はするものの見事な囮役って.......でも報酬!やっと服が買える!やった!嬉しい!そんな僕にキースさんが誘拐犯を縛った縄を片手に近づいてきた。


「王都の冒険者ってキースさん達だったんですね!」


「あぁサーニャさんから直接依頼を受けてたんだ、囮役がマコちゃんって聞いてたからね、変なことされてない?」


「大丈夫、すぐに踏み込んで貰ったから、ありがとうね!」


「マコちゃんの為ならなんて事は無いさ!仕事も終わったし、どう?これから食事でも?」


「ごめんね、ホテルでクリスが待ってるんだよね」


「あぁ、雅の女の子か、一緒に来てるんだったね、それじゃ今回は諦めよう、女の子同士の二人旅を邪魔する様な無粋な真似は俺はしないよ?じゃあまたね!」


そう言ってキースさん達は誘拐犯達を引っ張って階段を上がって行く。

ん?女の子同士?


「キースさん!僕!」


キースさんは手を振って僕の言葉を聞くこともなく階段上に消えた。

なんだかそのキースさんにアリシアが熱い視線を送ってる。

まぁ助けられたしキースさんはそこそこイケメン、でもマグダル様はどうした?


階段からギルド職員が降りて来た。

攫われてた女の子達はギルドが用意した馬車で送ってくれるそうだ、職員の人が女の子達を誘導している。


「マコトちゃん!」


女の子達の中からリサが僕に駆け寄ってきた。


「リサさん!おじさんが心配してたよ!」


「そうなの?それよりマコトちゃんって本当に冒険者だったんだね!魔族がいる事にもびっくりしたのに、それに斬りつけるって、無謀だよ!」


「無謀?」


「そうだよ!魔族なんて、それこそドラゴンと出会うよりもレアで危険なのに!」


ゲームでは確かに魔族はボスキャラ扱いだったね、此処でも同じかな?でもなんでボスキャラがこんな所に、しかも僕を見て「マコファール」とか言ってた。


考えられるのは僕とマコファールの容姿が似てる?それってもしかすると僕と容姿が似てるお母さんの正体はマコファール?でも.......僕がお父さんから聞いてたお母さんのイメージとマコファールのイメージ......違いすぎるんだよね.......お父さんが凄い美化して僕に伝えてた?可能性は有るけれど、まぁ候補の一つかな、なんとも今の所はわかんないね?小首を傾げて指環を見つめる。


「マコトちゃん?」


考え込む僕にリサが首を傾げる。


「あっごめん!リサさんもギルドの馬車に乗る?よかったら僕が送るけど?」


「良いの?じゃあ、お願いしようかな」


二人で捕らえられていた地下の階段を上がる、上がった先はお屋敷の広い玄関ホール、外に出ると木々に囲まれた閑静な別荘地。

まだ日は高いのに涼しい感じ。


どうやら連れてこられた所は貴族の別荘だったみたいだ、帰るためにスクーターを出すとリサから色々聞かれるけど王都で買った魔道具だよ!と、王都じゃメジャーな物みたいに勘違いしてたけどまぁ良いや。


道はリサが分かるみたいだったので喫茶店まで案内してもらう、喫茶店ではおじさんに経緯を説明してリサと別れた。


そして僕はクリスが待つ、丘の上のホテルに向かってスクーターを走らせた。

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