デート?
ゴスロリをクリスとジェシーに無理やり試着させられた。
二人は幸せそうな顔をしている。
そんな顔を見ているとなんだかイラっとする。
「僕、男の子なんだけど!」
「「可愛いければ良いのよ!!」」
見事にクリスとジェシーがハモった。
楽しそうな二人の表情を見てると、このまま女の子になってしまいそうで背筋がゾクッとする。
これは何かの呪いなんじゃ無いかと思う。
そもそも、こんな変な世界にいる事自体がそうなのかもしれない。
「呪い.....」
そうポロっと呟いたことで、これからどうなるのかとか、元の世界はどうなってるんだろう、とかのグチャグチャな感情が溢れ出し、思わず涙が零れる。
「もうやだー!」
思わず手で顔を覆い、しゃがみこむ。
クリスは、それを見てオロオロしていたがそっと僕を立ち上がらせて、なんかゴメンね、と呟きながらキュッと抱きしめた。
抱きしめられた事にビックリして涙が引っ込む。
でも泣いてたせいで鼻の奥がツーンと痛くてグスグスしてしまう。
クリスはポケットからハンカチを取り出して顔を拭ってくれる。
あったかい気持ちがして不安がちょっと薄れた様な気がする。
僕はグスグスしながらも小声で聞いた。
「もう、こんな女の子の格好させたりしない?」
「それはムリ!!」
爽やかな笑顔でスパッと言い切られた。
「なんでよ!」
ちょっとあったかい気持ち、とか思ってたのが一気にどこかに飛んで行く。
クリスは、不機嫌になった僕を宥めようと提案してきた。
「デートしよっか?甘い物ご馳走してあげる!」
「デート?甘い物?」
そう言えば甘い物は暫く食べてない、この世界にもスイーツがある事にテンションが上がる、女の子とデートなんて生まれて初めてだし。
元の世界では、幼馴染のミコトとは小学校の時に一緒に何度か遊びに行った事はあるが、あれはデートとは言わないだろう。
なんだか少しドキドキする。
取り敢えず脱いでた制服を紙袋に入れてもらい、宿屋に戻る。
戻るとすぐクリスは、ちょっと待っててと言いつつ僕の制服の入った紙袋を持って自分の部屋に消えてく、暫く待つとクリスは僕が着ているのと所々意匠の似た甘ロリで出てきた。
「なんでそんなの持ってるの?」
「えー普通持ってるでしょ?」
持ってない人が大半だと思うのだけど。
選択肢は無いのだろう事は分かっていても一応聞いてみる。
「もしかして僕もこのまま行くの?」
「当然!遊びに行くのに制服はないでしょ?」
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大通りをギルドの前を通り過ぎ、この先に王都では有名なカフェがあるらしい。
クリスもウワサは聞いていたが実際に店には行った事はないらしい。
相変わらずクリスは、手を繋いで僕を引っ張る様に歩く。
さっきから周りの視線が気になる、所々で可愛いって言う単語が聞こえる、ああ、確かにクリスは可愛いよね。
そうして歩いて行くと、白を基調にしたオープンカフェが見えて来た。
でも、席は満席みたい、凄く人並んでる。
そんな中、気付いた、オープン席の一番目立つ席が空いてる。
並んでるのに誰もその席には通されてないみたいだ。
列に並びながらクリスに聞いてみる。
「ねえ?クリス、あの空いてる席は予約席?」
「あーアレね!なんか有名人とか偉い人を優先的に持て成す為の特別席らしいよ?」
「そうなんだ?」
何となく納得していると、店の中の支配人か店長らしき人と目が合った。
そのまま此方にやって来ると、この店の支配人である事を告げられる。
「お嬢様方どうぞこちらへ」
そう言ってさっきの特別席へと、クリスと二人案内される。
突然の事に二人とも何が起こったのか分からずボー然としていると、先程の支配人が
メニューを持ってやって来た、そこで聞いてみる。
「あの!ここって特別席ですよね?僕たち貴族でも何でも無いんですけど?」
支配人はクリスと僕を交互に目を向けた後にゆっくり頷いて。
「はい!承知しております、当店としてはこんな美しいお嬢様方に座って頂けると宣伝になりますので」
僕は、お嬢様でも無いし、男の子なんだけど、でもクリスは確かに可愛いし、折角のご好意に余計な事言うのよく無いよね、と思い開き直る事にした。
「クリスが可愛いからだって!良かったね!」
と言うと、クリスは小首を傾げながら。
「マコちゃんが可愛いからだよね?」
「違うと思うよ?」
それを言って僕はクリスとは反対側に小首を傾げる。
そして、注文はチーズケーキとイチゴショート、紅茶を注文した。
大して待つ事もなく注文品は運ばれて来たのだけれど、思わず二人とも固まった。
よくお茶会や結婚式などでお目見えするデザートスタンドに色々なケーキや焼き菓子などが乗ってやって来た。
「サービスですのでお好きなだけお召し上がり下さい」
サービス過剰だと思わなくも無いけれど、来たものはしょうがない。
二人共周りの視線を気にしながら少し緊張して頂く事にした。
食べている間、周りから可愛いだのあっちの子が好みだの、嫌、コッチが良いだの聞こえたけどスルーした、あと、カップルの男性がコッチをジッと見ていたのでチラッと目をやると、彼女からビンタされていた。僕は関係ないよね。
しかしケーキの味は、流石人気なだけはあって、とても美味しい。
気分的にそう思うのかもしれないけれど、高級なお味。
二人共緊張してたのも忘れて、夢中になってケーキを味わった。
もうケーキは暫く見たくない位に食べに食べた。
帰り際支配人さんに、是非またご来店下さいと言われ、御礼を言って店を出る。
最後まで他のお客さんはこちらをチラチラ見てた。
店を出た後、クリスが下着屋さんに行くと言い出した。
僕が今つけている下着はクリスのだけど、気になっていたので聞いてみた。
「ねえ?クリスは、下着を僕が着てて嫌じゃない?」
「なんで?別に嫌じゃないよ?可愛いし!」
「そう言えば、僕の元々の服とかは?洗濯してくれたんだよね?」
「...........盗まれた............」
それを聞いてジト目でクリスを見る。
「イヤ!本当に本当だって!私の下着も取られたのよ!」
下着ドロみたい、でも僕の服を取っても何も良い事ないよね。
下着屋さんに行く理由が分かり納得して付いて行く事にした。
店の前まで来て流石に僕が入るのはマズイよねと思い外で待ってると言ったのに、何故かお店の店員さんまで手伝って引きずり込まれる。
クリスは店員さんと一緒に、今僕が着てるようなベビードールとタップパンツをいくつかと
レースやリボンの沢山付いたキャミソールやドロワーズを選んでチラッとコッチを見てコソコソ話してる。
イヤな予感しかしない。
「ねえ!それクリスのだよね?クリスの買うんだよね?」
それを聞いてクリスは此方を見て、ニコッと微笑んだ。
返事はない。
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その日の夜、お風呂に入ってる間に、昨日と同じ様にクリスが着替えの入ったカゴを脱衣所に置いといてくれる。
カゴの中には、今日クリスが買ってた一段と可愛らしい沢山のフリルが付いたベビードールとタップパンツが入ってた。




