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囮捜査開始?

取り敢えず、色々思う所は有るけれど、これで服が買えるなら、お仕事頑張ろう!!!

グッと両の拳を顔前でグッと握って気合を入れ直し、ギルドの建物前から、さあ!歩き出そうかと一歩踏み出した時、突然背後から声がかかった。


「ちょっと貴女!待ちなさい!」


声に振り返ると10人程の女性が立ってる、僕よりちょっと年上?ルミエール位?

中心には、このグループのリーダーだろうか?深紅の仕立ての良いワンピースを着て、茶に近い金髪ストレートの目つきの鋭い女性が腕を組み値踏みする様に僕を見下ろす。


「ついて来なさい!」


彼女は顎で僕を促し、周りを他の女性たちに囲まれる様にギルド裏の路地に連れ込まれた。ジリジリと僕を囲む輪は狭められ、遂には壁に追い込まる。

何なに?もしかしてカツアゲ!?僕、お金なんて持ってないよ?


そう言えば以前にも他所の学校の女の子にこうやって囲まれて「金貸してくんね?」って。

勿論返してはくれなかったけれど。

惨めな思い出が脳裏に浮かぶとホロリと涙が、僕は男の子なのに女の子に集られるとか情けない。


「グスッ.....お金......持ってないです.........許して.........グスンッ」


ホトホトと涙を流しながら鼻を啜り慈悲を懇願するように見上げると、「お金?」と呟き、呆気に取られた顔のリーダーの女性は、ハッと我に帰り両手を勢い良く振りながら慌てた様子で言い募る。


「ちっちっ違うのよ!お金を集ろうとかしてるわけじゃ無いのよ!!なんで泣くの!私が虐めてるみたいじゃ無いのよ!!ちょっ!ごめん......ごめんなさい!謝りますから!ちょっ泣かないで!本当にごめんさい!!」


リーダーは慌ててポケットからハンカチを取り出して、僕の顔を拭い、僕の手を取りハンカチを強引に手渡す。

突然の事に呆気に取られて、思わずハンカチを受け取ってしまったけれど、取り敢えずカツアゲとかじゃ無いみたいで良かった、とホッとして目尻を拭うと涙は引っ込む。

それでもまだ、見知らぬ他人がこんな路地裏に人を引っ張り込んで話しかけて来た事に不信感を抱きつつオズオズと上目遣いで問いかけてみる。


「あの...........誰ですか?僕に何か用ですか?」


リーダーは僕の涙が引っ込んだのを見てホッと胸を撫で下ろした後、繁々と僕を上から下まで見た後、疑問気に口を開く。


「私の名はアリシアよ、貴女、名前は?何気に仕立ての良さそうな服を着ているけれど........夜会で見た顔では無いわね?もしかして他国の貴族?何処から来たのかしら?」


「え?僕、マコトです、王都から来ましたけど.......貴族とかでは無いですよ」


「マコトねぇ......そう?じゃあ大きな商家の娘さん?」


ん?娘さん?!「僕、おと.........」言いかけて考える、そう言えば今から囮捜査をやるんだよね?誰が聞いてるかも分かんないし、変な事は言えないし、今は女の子のフリしとかなくちゃいけないのかな?


「えっと.......王都で宿屋さんのお手伝いしてます」


「お手伝い?そうなの?その割には、やけに身に付けてる物が高価そうな物ばかりなのだけど?」


「これ、全部貰い物だから........」


「そう.........まぁ、貴女の素性は置いといて、忠告しときたかったのよ!他所から来た貴女は知らなくても仕方の無い事だとは思うのだけど、マグダル様の御手を煩わせるような事をしてはダメよ!」


?マグダル様..........?誰?突然聞き覚えの無い名前が飛び出して、コテリと首を傾げる。


「えぇっと........誰ですか?マグダル様?」


「マグダル様ですよ!貴女、受付で人目も憚らず言い寄っていたでは無いですか!」


「あぁ、受付の!.......ん?!言い寄ってって、何でそうなるの?僕はギルマスに手紙を預かって来ただけなんですけど!」


「それでもです!この街の娘達は協定を結んでいるのですよ、抜け駆けしない、お仕事を邪魔しない、贈り物は私達の倶楽部を通して送る事になっているの!」


「お仕事の邪魔って、受付はお仕事でしょ?どうすれば良かったんですか?」


「そんなものは受付を別の職員が交代するまで待てば良いのですよ、まぁ殿方が話しかける分には構わないのですけど」


そんな無茶苦茶な!って言うか『僕は男の子だよ!!』って言葉は飲み込んで、いい加減こんな事には構わずに早く依頼を済ませたい。

こっちは別にあの職員さんに1ミリも興味は無いのだから。


「はぁ〜分かりました..........じゃあ!見ません!近づきません!話しません!っで、良いですか!!!」


「まぁ!なんです!その不遜な態度は!ちょっと可愛いからって調子に乗ってません事?」


「そんな事言われても、こっちも色々とやらなきゃいけない事が有るんですよ!要は、あの職員さんに近づかなければ良いんでしょ?」


「マグダル様です!折角貴女ならば私達の倶楽部にお誘いしても良いかと思ってましたのに........」


倶楽部ってなんだろ?ファンクラブ的な?付き合ってられないよ.......


「結構です!もう、良いですか?用事あるんで!」


「あっ!待ちなさい!話はまだ終わって.......」


僕はアリシアの言葉を無視して、周りを囲む女性達をかき分けるように裏路地から小走りで大通りに抜け出す。

アリシアは僕を引き止めようと取り囲んでいた女性達に目で合図を送るが、先程迄の僕とアリシアの言い合いに女性達は、困惑顔で立ち尽くすだけ。

遂に、焦れたアリシアは一人で僕を走って追いかけて来た。


「なんで付いて来るんですか!」


「だから話は終わって無いって!その態度!貴女、私を誰だと思っているの!」


「知りませんよ、誰って、アリシアさんでしょ!付いて来ないで!!」


僕は身体に魔力を巡らせて身体強化し、一気にダッシュ!

アリシアは何事か叫んでいるけれど次第にその姿は人混みに紛れて見えなくなって来る。

一応まだ追っかけて来るかも知れないアリシアをやり過ごすために裏路地に飛び込み身を隠す。


暫く間を置いて、もう大丈夫かな?路地裏から大通りへ、ひょこりと顔だけ出して様子を伺う。

丁度、僕が隠れてる路地裏を通り過ぎて、走っていくアリシアの後ろ姿が見えた。

何とか撒いたみたい、フウっと息を吐いて、さて、囮のお仕事どうしよう?と路地裏に踏み込もうと振り返ると。


「お嬢ちゃん、酷い事されたく無かったら大人しくしてもらおうか!」


ニヤニヤとした顔でナイフを持つ三人の屈強な男達が。

その内の一人がサッと僕の後ろに回り込み首筋にナイフを突きつけ、両手を後ろで締め上げられる。

そのまま男達に促されて路地裏の奥の方へと連れていかれる。


「凄え上玉じゃねえか!貴族じゃねえのか?」


「いや貴族は一人でこんな所彷徨かねえよ、コイツは、良い値が付くぞ!


これって、もしかして..........釣れた?

どう考えても、ナンパとは思えない、思いたく無いけど........この人達が例の誘拐犯なのだろうか?囮としては大成功!!なのだけど、なんだかイラっとする........けれども、此処はアジトを突きとめるため大人しくついて行くしか無いね。

そう思っていたのだけれど、突然背後から。


「貴女!見つけたわよ!!よくも逃げてくれ......たわ.......ね.........?」


僕と男達はパッと振り返ると、大通りを背にしてアリシアが呆然として立ってる。

僕を探して戻って来たみたい、だけど男達に囲まれた僕を見て困惑顔。


「チッッ見られたか?」男の一人が舌打ちして呟き、状況が把握できず棒立ちのアリシアにサッと駆け寄り口を塞ぎ、背後に両手を締め上げた。

アリシアは口を塞がれ叫ぶことも出来ずにジタバタもがくが、屈強な男に抗える筈もなく、そのまま僕の近くまで連れて来られる。


「見られたぞ、どうするこの女?」


「しょうがねえだろう、コイツも連れて行こう」


男達は軽く話し合って、直ぐに僕とアリシアに猿轡を噛ませ、手足を紐で縛る。

そして頭から麻袋を被せ、男の肩に担がれるように抱えられた。

アリシアは完全に巻き込まれだよね、ご愁傷様!本当なら助けてあげたい所なのだけれど、折角のチャンスを逃したくは無い。

ゴメンだけどちょっと付き合ってねっと心の中で謝ってアリシアと二人で男に抱えられたまま何処かに運ばれる。

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