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依頼?(後半)

「まぁ、簡単に言えば今回の依頼は囮捜査と言うことになりますね」


「囮.......捜査?」


何それ?何それ!カッコいい!!刑事物?推理もの?真実は何時も一つ!?

敵のアジトに潜入とかするの?

ラノベで読んだ黒い服を着たアサシンの姿が頭に浮かぶ、殺し屋は違かな?そして秘められた闇の力が........

自分のカッコいい姿に妄想は膨らむ。


僕が妄想を膨らませているのを、サーニャさんは僕が不安に感じてると思ったのか取り繕う様に説明を始めた。


「今回の依頼は極めて危険は少ないと思います、バックアップとして王都から実力有る冒険者を連れて来ました、もし何か有れば冒険者を突入させますので」


「へー王都の冒険者?......えっと、それで報酬は?」


「普通この手の依頼は3万Gからなのですが、今回は6万Gとします!」


相場が分からないのでチラリとクリスを見ると視線に気付いたクリスは直ぐ答えてくれた。


「んー?危険が少ない事を考えたら、割と破格じゃないかな?一回の依頼で貰える報酬としては美味しいと思うよ?」


そうなんだ?んー6万G.......


実は王都でコッソリと値段調べてたんだよね、これだけ有れば十分!男物の洋服が買えるね........

それにしてもなんだか色々待遇が手厚い気がする。

サーニャさんなりにドラゴンの事に対するお詫びの気持ち?


「んー、それならこの依頼受けようかな?あっ!何か壊しても僕に押し付けないでくださいね!!それでサーニャさん?一体何処に潜入するんですか?それに何を調べれば良いんですか?」


サーニャさんは僕の言葉に心底ホッとした様子でニコリと微笑んだ。


「受けてくださいますか!本当に助かります!今回に限り破損などの責任は絶対に問いませんので御安心を、所でマコトさんは、この街で少女が数名、行方不明になってる事件をご存知ですか?」


あっ!確かリサが喫茶店でそんな事を言ってた。

僕とクリスは顔を一度見合わせてコクリと頷く。

頷く僕達に、秘匿事項なのだろうか?サーニャさんは少し声を細めて説明を続ける。


「その事件、人身売買の疑いが有りまして、王都の貴族が関わっている可能性が有ります.......その決定的な証拠を挙げるのが今回の依頼になります」


「貴族........所で潜入先は?どう言った手段で潜入すれば良いですか?」


僕としては真面目に当たり前の事を聞いたつもりだったのに、サーニャさんは一瞬ぽかーんとした表情を浮かべて、なんでわかってないの?と言う表情と口調で、この作戦の詳細を語り出す。


「潜入先?それが分かれば苦労しませんよ?少女達が匿われている場所が分からないから囮なのでしょう?そこでマコトさんが一人で街を練り歩けば、あっという間に餌に食い付いてアジトへご案内!そして少女の買い付けのために貴族が現れればサクッと冒険者投入で丸々逮捕!と言う算段ですけど?何か可笑しな所が有りますか?」


「イヤイヤ!そもそも前提がおかしいでしょ?僕、男の子!なんで僕が囮になるの?」


「マコちゃんほど最高の餌は無いね!」


突然クリスが口を挟む。


「マコトさん以外にはあり得ないですよね!」


ギルマスも同意する。

サーニャさんは僕の抗議は丸無視で説明を続ける。


「では、此方のペンダントを付けておいて下さい」


そう言ってサーニャさんは懐から魔石のついた可愛いペンダントを出してテーブルに置いた。

そしてペンダントを指差し機能を説明する。


「このペンダントは魔術具で身に付けていると常にマコトさんの位置が判るようになります、緊急事態の時には魔石に魔力を流し込めば此方に合図が送れますので合図があり次第、冒険者を突入させます」


「イヤ、そんな事より僕が餌って、男の子の僕は餌の意味無いでしょ?」


「「「.............」」」


サーニャさん、ギルマス、クリスは何を言ってるの?この子?的な呆れ切った視線を向けてくる。

その視線に気圧されて一瞬怯むけど負けない!と、口を開く前にサーニャさんが挟み込む。


「他に何か質問は有りますか?」


「イヤ、だから多少.......時々?......何時も......僕が女の子に間違えられてたとしても、餌にはならないから!」


「「「..........」」」


「マコちゃん.......いい加減、自覚しなよ?」


呆れた表情を浮かべた三人を代表してクリスが諭す様に言葉を繋げる。


「マコちゃんがどう思ってようと周りの目は違うからね?多分マコちゃんが一人で彷徨けば5分とかからず誘拐犯なんて釣れるから!それにやるって言ったのはマコちゃんだからね?」


「そうだけど.........女の子のフリなんて........」


「それ.......今更?」


「うぅ.........」


僕は項垂れながらテーブルの上にサーニャさんが置いた魔石の付いたペンダントを手に取り、徐にクリスに差し出すとクリスはニコリとして僕の後ろに周る僕が髪をかき上げると嬉々として首にかけてくれた。


「では、朗報を期待しております」


サーニャさんの言葉に溜息を吐いてクリスと部屋を出る。

背後でギルマスが「頑張ってねー!」と声を掛けるので振り返り、お辞儀をして扉を閉めた。


「クリスは僕が仕事の間どうするの?」


「んー取り敢えずホテルに戻ってプールにでも行くかな?」


「時間かかるかもしれないよ?」


「それは無いと思うな〜じゃあ私、そこから乗り合いの馬車でホテルに帰ってるから!頑張ってねぇ〜」


そう言ってクリスは軽やかな足取りでギルドを出て行った。

僕はクリスに手を振りながら、さてと、どうしたものかと溜息を吐く。

囮ってどうしたら良い?取り敢えず怪しい感じの裏通りでも歩いてみる?


少なくとも女の子のフリはしなくちゃね?格好は........まぁ良いか........


溜息を吐いてギルドを出ようとしていたら、受付のイケメン風お兄さんから声がかかった。


「マコトさん!お気をつけて!」


「あっ、ありがとうございます!」


ペコリと頭を下げてギルドを後にする。

扉を潜るまで、何となく射殺す様な視線を感じながら。


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