白猫ランド?(前半)
僕が目を覚ますと見知らぬ天井。
ハッとして、慌てて身体を起こした僕に、クリスは慌てて顔を寄せて問い掛ける。
「マコちゃん大丈夫?」
「ここ何処?僕、どうしてたんだっけ?」
「お猿公園の事務所だよ、マコちゃんは自分の魔法に巻き込まれたんじゃん!」
そうだった、お猿に追いかけられて、放ったスタン魔法に巻き込まれたんだった。
って言うか、なんなの、あのお猿?
「なんで僕、追いかけられなきゃいけなかったの?って言うか他のお猿とは全然違ったんだけど、アレ何?」
「此処のボスらしいよ?たまにあぁやって気に入った女の子を追いかけるんだって」
「気に入ったって.......僕、男の子.......」
「魅了しちゃたね!」
笑顔でコテリと小首を傾げるクリスに僕は溜息しか出ない。
「それでマコちゃんはこの後どうしたい?まだ餌あげる?」
「もう、お猿さんは嫌........」
「じゃあ別の所を見に行こうか?」
地図を広げて次の行き先をクリスと話し合う。
水族館とか、ちょっと遠いけれど、白猫ランドって言う、遊園地みたいなのがあるみたい。
僕は地図の白猫ランドを指で指し示しながら「コレ、行ってみる?」とクリスに問う。
クリスはパン!と一度手を打って目を輝かせ、コクコクと頷く。
白猫ランドで決定かな?
事務所のお姉さんにお礼を言ってお猿公園を後にする。
ちょっと距離が有るのでスクーターで行くことにした。
並木の坂道を下り、人通りの多い海岸通りを、ゆっくりと人や馬車を避けながら進む。
この世界では目にする事が無いスクータに、人々が注目を集めるけれど、そんな人々の視線も気にする事なく潮の香りのする心地良い風を受けながら走る。
この世界に来て、なんとなく人の注目を受ける事に慣れた様な気がする。
前の世界では人の視線がなんとなく怖かった。
この世界で人の視線に慣れたのは、何かと目立つ美少女のクリスと、何時も一緒に居るからかな?
「そう言う事では無いんだけど?」不意に頭の中でアナウンスが聞こえた気がした。
スクーターはいつの間にか海岸通りを抜けて山道を登っていく。
木々の間から観覧車らしき物が見えてきた。
「クリス?白猫ランドってアレじゃ無い?観覧車が見えるよ!」
「わぁ!あれが観覧車?大きいね!」
白猫ランドの入場門に到着し、僕がスクーターを片付けてる間、クリスは受付で入場の手続きを済ませる。
「じゃあ、マコちゃん入ろうか!」
クリスに手をひかれて門を潜ると、沢山の家族連れや恋人達、小さな子供達のはしゃぐ声と色んなアトラクションから流れてくる音楽や光ででとても煌びやかで賑やか。
そんな中、漂ってくる甘い香りに鼻をくすぐられて辺りを見廻す。
露店のクレープ屋さんだね!そう言えばもう、お昼に近い。
ちょっとお腹も空いて来たかも?
「ねぇクリス?少しお腹空かない?クレープ食べたい」
「良いね!そろそろお昼だしクレープ食べよっか?」
二人して、お兄さんが店番をするクレープ屋さんの露店の前に行き、メニューを見る。
色々トッピングは有るけれど、此処はやっぱりコレ!
「「お兄さん!!トッピング全盛りで!!」」
「おっ!お嬢ちゃん達、可愛いな!どっから来たんだい?」
「私達は王都からだよ?」
「そうか!王都は女の子のレベルが高いな!よし!ホイップクリーム増し増しサービスだ!」
「わーい!お兄さん、ありがとう!」
クリスは笑顔でクレープを二つ受け取りお金を払う。
ん?今お嬢ちゃん「達」って言った?まーサービス有りなら文句は言わないでおく。
クリスから僕の分のクレープを受け取り一応の笑顔で「お兄さんありがとう!」とお礼を言う。
さて?何処で食べようかな?
見廻すとイベントスペースなのかな?ステージが設えられ、その前にはベンチが沢山並ぶ。
もうすぐショーでも始まるのだろうか?沢山の子供達がステージの前の方のベンチに陣取りショーの始まりを待って、ガヤガヤしてる。
後ろの方のベンチにはその親らしき人達が、ベンチにはまだスペースがパラパラと空いてる。
「クリス、彼処に座って食べない?」
「何かショーでもするのかな?丁度良いんじゃ無い?行こうか!」
クリスと二人クレープを持ってステージ前の後ろの方の空いてるベンチに腰掛ける。
ショーを待ちながら、もちもちのクレープを頬張って、丁度食べ終わろうかと言う時、ステージに司会のお姉さんが上がって来た。
「お待たせしました!今から白猫仮面対、黒猫魔王ショーが始まりまーす!ちびっ子のみんな!白猫仮面を応援してね!」
ワー!っと歓声が上がり、子供達は手を叩く。
タイトルからして、ヒーローショーみたいなもの?
なんだか懐かしい、小さい時観に行ってたよ!
僕は残りのクレープをパクリと食べ干して手を叩く。
クリスはヒーローショーを観たこと無いのかな?期待に目を輝かせてる。
拍手の中、司会のお姉さんは、ステージから降り、代わりに黒い全身タイツで可愛い黒猫のお面を被った十人程の男の人達がヒューヒュー言いながらステージに上がる。
所謂、悪の戦闘員?
そしてそれに続く様に可愛い黒猫のお面に黒いマントと、黒の皮のアーマーを纏った男が恭しくステージに上がり口を開く。
この人が魔王かな?
「忌々しい白猫仮面め!今日こそはギタギタにしてくれる!」
「黒猫魔王様!何か策がお有りですか?」
「ふふふ、今回は人質を取るのだ!これで白猫仮面も手を出せまい!わっはっはは!おい!人質を連れて参れ!」
「「「は!魔王様!」」」
なんて、大根!セリフも棒読み、僕は笑いたいのを必死に堪える。
だってクリスも子供達も真剣に見てるもん!此処で僕だけ笑えないよ?
そう思って必死に笑うのを我慢していると、悪の戦闘員の皆様が客席に降りて来た。
真っ直ぐ僕の方に向かって来て、耳元でコソコソと僕に囁く。
「すみませんがショーにご協力頂けますか?」
「え!僕ですか?」
「是非お願いします!」
これって人質役って事だよね?サービス的に普通、子供達に役を回さないの?
チラリとクリスの方に目をやると、ウンウン頷いてる。
子供達も期待の眼差しをこちらに向けてる。
やるしかないかな?
「わかりました、お手伝いします、付いていけば良いですか?」
「ありがとうございます!ではこちらに!」
僕は戦闘員に両腕を掴まれ、ステージの魔王の前まで連れて行かれる。
ステージに上がると、一気にみんなの注目が僕に集まる。
「魔王様!美しい姫を人質に取って参りました!」
「でかした!これで白猫仮面も今日でお終いだ!わっははは!」
!姫ってなんだ!男の子なんだけど?舞台をぶち壊す様な真似は出来ないから、此処は黙っとくけどさ!と一人毒づいてる内にステージ裏にトランポリンが用意され、響き渡る声が!
「黒猫魔王!お前の悪事は全て聞かせて貰った!とおっ!」
声と共に全身白タイツに可愛い白猫のお面を被った男がトランポリンを使って大きくジャンプ!そしてステージに着地し決めポーズをとる。
「白猫仮面参上!姫を返して貰おう!」




