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ゼップ?

「「せーの!!」」「「はい!!ゼップー!!」」


タラップから「せーの!」で飛び降り、両手を上げて叫ぶ。

パチンとハイタッチ。


「来たねぇー」「来ちゃったねぇー」


ゲームでは来た事有るけれど、転移してからは初!テンション、ダダ上がり!

そんな、はしゃいでる僕達の事を微笑ましい目で周りの人達は見てる。

完全に二人ともお登りさん。


「ねぇ、マコちゃん?あれ、お迎えじゃない?」


クリスの指差す方を見るとプレートを掲げ、ベルボーイぽい格好の二十歳くらいの男性が、プレートには『歓迎!マコト様、クリストファー様』と書かれてる。


「ホテルのお迎えみたいだね?行ってみよ!」


そう言って近寄っていくと、こちらが声をかける前に気付いた男性が笑顔を向けて来る。


「マコト様とクリストファー様ですね!馬車を用意しておりますので此方へどうぞ」


促されて港に面する通りに、通りにはミリアの家の馬車並みに立派な馬車が止まってる。

お迎えの男性は馬車の扉を開けて、スッと僕に手を差し出す。

んー、これはエスコートって事だよね?まー好意でやってる訳だし、こんな事で怒るのも筋違い。

ニコリと笑顔を交わし、馬車に乗り込む。

続けてクリスも乗り込むと、お迎えの男性は御者台に乗り込み、ゆっくりと馬車は進み出す。

馬車は港から続く大通りを丘に向かって進む。

通りにはお土産屋さんや露店が並び人通りも多い。

道行く人達は旅行客なのだろう、食べ物、飲み物、又は地図を片手に散策を楽しんでる。

のんびりと車窓からの眺めを楽しんでいると、一際大きなお城の様な建物が見えて来て、

馬車はその建物のエントランスのロータリーに止まる。

建物の入り口には客室係であろう、メイド服を来た女性達が出て来て整列する。

すかさず御者をしていた男性は御者台から降りてきて扉を開き、手を差し出す。

うん、分かってるよ、エスコートだよね?


手を取り馬車から降りる。

クリスも続けて降りて僕と並ぶとメイドさん達は一斉に「いらっしゃいませ!マコト様、クリストファー様!」と礼をする。


おぉ!これは壮観!凄いお金持ちにでもなった気分だよ、現実は違うけど。


「それでは、お部屋へご案内致します」


メイドさんが一人進み出てきて、ホテルの中に促される。

ホテルのフロントもスルーしてエレベーターに直行、フロントの人もなんか頭下げてる?

なんなの、このVIP対応!そのままエレベーターは最上階へ。

エレベーターを降りると明らかに他とは違う雰囲気、高価そうな調度品に毛足の高いカーペット。

もしかしてこれは、スウィートルームと言うやつなのでは?


恭しくメイドさんがこのホールにたった一つしかない扉を開く。

促されて中に入る。


「「すごーい!!」」


豪華絢爛!形容し難い、こんなお部屋は見た事ないよ、多分エルリースの部屋よりも広いだろう。

ゆったりとした部屋にソファーセットも何セットか有る、此処って一体何人泊まれるの?

外に向かって一面はガラス張り、メイドさんの説明で設備を見て回る。

寝室に浴室、洗面室、ダイニングも別に有る。

寝室にはキングサイズのベットがゆったりと二つ、浴室だけでも宿の食堂ぐらい。


最後にバルコニーに出るとバスケットコートが入るくらいのウッドデッキのバルコニー。

ジャグジーも有るね。 

そして何より街と海が一望できる!

沖の方に見える島が確かクロノアだったはず、こうして見てみると近いね。

景色を見ながらクリスとワイワイはしゃいでいるとメイドさんが一通りの説明を終わる。


「では以上で説明は終わりますが何かございましたら、お部屋のベルでお呼びください。

ごゆっくりお過ごし下さいませ」


そう言ってメイドさんは礼をして退出してゆく。


「ねぇクリス?僕、こんな贅沢してて良いのかな?もしかして明日、死ぬのかな?」


「んー?ドラゴンの褒賞の代わりって考えたら、このくらい良いんじゃ無いの?」


「!?はっ!そうだった、騙されるトコだった!服が買えたはずだったのに!」


「そんな事より、今日はこれからどうする?」


「そんな事って.......まぁいいや、取り敢えず街に出て見る?」


「イイね!散策、散策!お土産見ようよ!」


「お土産は、早く無い?ほら、アトラクションとかのチケットも有ったし、取り敢えずフロントで聞いてみようか?」


まずは二人で部屋を出てエレベーターで降りてフロントへ、フロントには受付の若い女性スタッフと目が合う、どうやらコンシェルジュの人みたい。


「あの?すみません、この辺の遊べる所って、どんな所がありますか?」


「はい、それでは此方に地図を用意しておりますので、此方でご説明いたしますね?」


コンシェルジュのお姉さんは丁寧に説明してくれる。

聞いて見ると、近くに水族館やお猿公園、ちょっと離れた場所には遊園地があるみたい。

スクーターで行けるかな?それより、地図の中で気になる物が。


「あの?この地獄って何ですか?」


「あぁ、そこは温泉地特有の火山性のガスや水蒸気が噴き出している所で景観が特殊な感じの所なんですよ、観光スポットでも有るのでご覧になられて見た方が良いですよ」


「分かりました、ありがとうございます」


地図を貰って手を振ってフロントを後にする。

クリスと話し合って、ホテルに近い場所に有るし歩いて行けるみたいなので、まずは地獄を目指して行くことにした。


ホテルを出ると下り坂の大きな道は街路樹が立ち並び、強い日差しを遮り、天然のアーケード。

時折溢れる木漏れ日がキラキラと通りを照らす。


「マコちゃん、これ被ってた方が良いよ?」


クリスが横から白いレースのリボンのカンカン帽を被せてくる。

クリスもお揃いの黒いレースのリボンのを被ってる。

カンカン帽を被っただけでも涼しげに見えるね、ニコリと微笑んで手を繋いで歩く。


「何か臭い!」


クリスが顔をしかめる、硫黄の匂い?段々と臭いが強くなってきた。

地獄が近い?


「硫黄の匂いだよね?温泉地だからね」


「マコちゃんは平気?」


「んー平気って訳じゃ無いけど、慣れるんじゃ無い?此処に住んでる人もいる訳だし?」


「そうかな?私は慣れそうも無いけど」


そんな話をしながら歩くと湯気が沢山立ち並ぶのが見えて来る。

柵が張ってあり、入り口らしい所に小屋が有り人が座ってる。

この小屋で料金を払って入場するみたい。


「ねぇクリス、此処も貰ったチケット使えるかな?」


「あっ!有ったかも?」


クリスはバックからチケットを引っ張り出して小屋の受付の人に見せると、どうやら使えるみたい。

無事に中に入ると中央にはブクブクと泡が噴き出す池が広がり所々岩から蒸気が噴き出してる。


「なんだかオーガでも出てきそうな雰囲気だね?」


「オーガ?あぁ鬼って事?」


「ん?マコちゃん、おにって何?」


「え?ツノが有って赤とか青の人みたいな大きな怪物?」


「それってオーガだよね?」


地獄にオーガ、この世界に地獄の概念があるのにまず驚きだけど、鬼とオーガは同じなのかな?


「んーそうだね、オーガだね.........あっ!それよりクリス、大切な事忘れてた!」


「えっ、なになに?大切な事って」


「茹で卵食べないと!」


「なんで茹で卵?」


「温泉は茹で卵なんだよ!」


「そうなの?」


温泉で茹でた茹で卵、テレビで見ただけだけど、美味しそうだったから食べて見たかったんだよね。

直ぐに売ってる所は見つかって、売り子の人に二つお願いするとグツグツと煮えたぎる池の中からザルに入った卵を引き上げる。

熱々の卵をお金と引き換えに受け取って、ベンチに腰を下ろす。

熱々の卵をアチアチ言いながら殻を剥いて一緒に貰った小袋のお塩をつけて食べる。


「「んー!!美味しい!!」


何となく濃厚なお味、テレビで見たあの卵が今、異世界の温泉でこの手に!卵を味わいボンヤリと景色を楽しみ、地獄を後にする。

下り坂をのんびり降って行くと段々と街中に、お店も人も増えてきた。

人が増えるとなんとなく視線を感じる。


「マコちゃん、見られてない?」


「うん、なんとなく僕も思ってた、なんだろうね?」


何となくさっきからチラチラとした視線を感じてた、何でだろう?


「それよりクリスは、お腹空いてない?」


「そうだねえ、そろそろお昼だもんね?何処かお店にでも入る?」


お昼に丁度良さそうなお店を探そうとキョロキョロしていると、突然背後から声をかけられる。


「お嬢さん、お茶でも一緒にいかがですか?」


振り返ると、ちょっと年上の高校生ぐらいの男の子二人組がニコニコしながら立ってる。

クリスは振り返ると「はぁ」とため息を吐く。


「ナンパはお断り!」


えっ?コレってナンパなんだ?お嬢さんって、もしかして僕も含まれるの?クリスにスッパリと断られたにも関わらず、男の子たちは怯まない。


「そう邪険にしないでよ、二人とも可愛いね!何処から来たの?」


「僕達は王都から来ました」


「そうなんだ!王都かぁー王都はレベル高いねー俺たちが案内してあげようか?ここら辺は、俺たち詳しいよ?どう?」


「別に案内とかいいです、僕達は二人で回りたいから.......」


「つれないなぁ、そんな事言わずにさ!奢るからさ?」


なんだかしつこいなぁ?僕は男の子なのにナンパする意味が分かんない。

クリスと顔を見合わせてため息を吐く。

どうしたら諦めてくれるのかな?考えあぐねていると、ツカツカと此方に歩いてくる女の子がいる。

茶髪のベリーショートで歳は僕達ぐらい?ウエイトレスっぽい服を着てる。

女の子は僕達と男の子達の間に割って入って男の子達を睨みつけて口を開く。


「あんた達!また旅行者相手にナンパしてるの?いい加減にしなさいよ!この子達困ってるじゃ無い!」


男の子達は明らかに動揺して目が泳いでる。


「怒んなよリサ、お嬢さん達、また今度ね!」そう言ってそそくさと退散して行った。


「あの、ありがとう、助かりました」


「私達断ってるのにしつこくて」


「こっちこそごめんね!貴方達旅行だよね?アイツら知り合いなんだけど、いっつも可愛い旅行客相手にしつこくナンパして回ってこっちも困ってるんだよ、所でこれから貴方達どうするの?またアイツら戻って来そうだけど?」


「僕達、食事が出来る所を探してたんですけど、何処か良い所知りません?」


「そうなの?良かったらウチの喫茶店にでも来る?ここから近いよ?」


「喫茶店ですか?クリスどうする?」


「うん、良いんじゃ無い助けて貰ったし、あっそうだ、この券使えます?」


「あぁゼップのお食事券だね?大丈夫だよ!二人ともついて来て!」


促されてついて行くと、然程歩く事もなく海に面した道路に建つ小さな喫茶店、古そうでは有るけれど綺麗でシックな感じ。

中に入ると海側にはオープンテラスも有って其方に席を勧められ席に着く。

目の前のビーチが見渡せて海風が心地よい。

お昼には少し早いからかお客さんも今は入っていない。

さっきの女の子は席を勧めた後、一旦厨房に行った後メニューを持って席に戻って来た。


「これウチのメニューね、私リサって言うの、貴方達何処から来たの?」


「僕、マコト」


「私はクリストファー、クリスで良いよ」


「僕達は今日、王都から来たばっかりなんだよね」


「へー王都から?流石、王都はレベルが高いねー、二人ともすっごく可愛い!こんだけ可愛かったら二人とも気を付けないとダメだよ?」


「ナンパとか?」


「んー、それもなんだけど、最近ね、若い旅行客の女の子が何人か行方不明になってるらしくてね?まー噂なんだけど、消えた子達ってのが、可愛らしい子ばっかりだったらしいのよ!噂とは言っても気を付けといた方が良いよ?」


「へーそうなんだ!でも僕にはあんまり関係ないかな?」


「えっとマコトちゃん?だっけ?貴方こそ真っ先に狙われそうだよ?」


「えー無いナイ!だって僕、男の子だもん!」


「.........ねぇ?そう言う冗談が今の王都の流行なの?」


「イヤ!冗談じゃ無いから!」


「.........じゃあ百歩譲って、なんでそんな格好なの?」


「お金がないから......貧乏だから........」


「服......やけに高そうだけど?」


「貰い物だから..........」


「.........まぁでも、男の子と仮定してもマコトちゃんは危ないと思うよ?なんかチョロそうだし?」


「なっ!僕はチョロく無いよ!」


「イヤ、マコちゃんはチョロいね」


「そうだよねぇ?クリスちゃんもそう思うよね?」


「「気を付けといた方が良いよ!!」」


「うぅぅ.......チョロく無いもん........」


二人に弄られて涙目になって抗議するけれど、ダメみたい。

僕ってチョロいの?そんな事ないと思うんだけど、女の子には絶対に口では勝てないよ........

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