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マジカルダンス?

お部屋に戻りソファーにコロリと横になる。

また死にかけてしまった、勇者は死地を乗り越えて強くなっていく.......

勇者じゃ無いけど、強くもなってないし。

ダラダラしてる僕を見てクリスは溜息を吐きながら言う。


「マコちゃん、水着ぐらい着替えようよ?」


「お部屋だからこれで良いよ、お腹は出しててもショーパンだから寝転がっても気にならないし!」


「もう!だらしないなぁ、夕飯までだからね!レストランは水着ダメだからね!」


「はぁーい」


クリスも諦めて備え付けの本を持って来るとソファーに横になり、ゴロゴロと夕食までの時間をゆったりと過ごす。


--------------------


「マコちゃん、起きて!」


「んーどうしたの?クリス」


「晩ご飯食べに行こう?着替えないといけないし、早めに食べとかないと夜はダンスだよ?」


窓からは夕日が差し込んでいる、いつの間にか眠ってたみたい。

乾いているとは言っても水着のままだし、お腹も空いてきた。


「じゃあ、着替えて御飯食べょっか?」


取り敢えずシャワーを浴びて、ピンクのワンピに着替え食堂に向かう、食堂の客は割と多いけれど夕食はビュッフェスタイル、そんなに量は食べれないけれど、色々食べられて嬉しい。


小分けにされた料理をちょこちょこと取り分けて頂く、デザートには一口大のケーキも数種類。

流石に貴族様が利用する豪華客船どれも一流のお味、お城で食べた料理とも引けを取らない。

大満足して食堂を出る時に皿に山盛りの料理を乗せたマーサとアレクが目の端に留まる、流石騎士の人達はよく食べるね、僕もあの位食べれると大きくなれるんだろうか?

見てるだけでお腹が一杯になるけどね。


お部屋に帰ると早速クリスがバックからドレスを引っ張り出した。


「さぁて、マコちゃんお着替えしようか?」


クリスは僕の目の前でAラインの白いドレスを広げて見せる。

僕はニコリと微笑んでクリスに言い放つ。


「僕、それ着ないよ?」


「え?じゃあピンクのドレスにする?」


「どっちも着ない!」


「じゃあ何を着るの?!」


不思議そうにクリスは尋ねるけれど、僕はちゃんと見てた!エレベーターの前の案内板、フロントの有る階に書いていた貸衣装の文字を!


「貸衣装.........」


「!........見てたの?」


「だってクリスは僕が知ってるって分かってたら邪魔しそうだもん!」


「ぐっ.........でも!でも!マコちゃんの身長だと着れる服なんてないよ!まぁ、精々子供服?残念でした!」


「良いよ、子供服で」


「な!」


「今更だもん!子供プールにも入ったし!ドレスよりまし!ドレス着るぐらいだったら行かない!」


「うぅ、おかしいって思ってたんだよ!ダンスパーティとか嫌がりそうなのに、そんな素振りも見せないし、ベルさんにも行くって言ったんじゃん!子供服とかおかしいって!我儘言わないでドレス着て!」


「ヤダ!ドレスは絶対に着ないよ!具合が悪くなったので行きませんって言うから!」


「マコちゃん!」


トントン!突然部屋の扉がノックされる。

僕もクリスも言い合いを辞めて目を見合わせる。

もしかしてベルさんが迎えに来たのかな?「はぁい!」と言って扉を開けると、部屋付きのメイドさんが立っていた、その後ろには五人のメイドさんの姿も。


「ダンスパーティのお支度に参りました!」


僕は振り返りクリスを睨むとクリスは慌てて首を振りながら「私、頼んでないよ!」と言う。

その様子を見て再度メイドさんを振り返り「頼んでませんけど?」と言ったにも関わらずメイドさん達はズカズカと部屋に入ってきてニコリと微笑み言う。


「御依頼者様から手数料を既に頂いてますので!では早速ドレスの着付けとメイクを致しましょう!」


メイドさん達は素早く動いてドレスとメイク道具を手に取りジリジリとにじり寄って来る。

依頼者って誰?こんな事するのは絶対あの人だ!絶対エルリースの仕業だ!チラリとクリスを見ると僕に哀れみの目を向けながらメイドさんにドレスの着付けをして貰ってる。


「ドレスもメイクも要らないです!僕、具合が悪いのでキャンセルで!」


「いえいえ、御依頼者様から具合が悪いとか嘘つくので無視して準備をする様に言付かっております」


「えっ?何それ、嘘じゃ無い!今の今!本当に具合悪くなってきた!」


言い訳をアレコレ考えている間もジリジリと部屋の隅に追い込まれる。


「ちょっと!ドレスはイヤ!来ないで!それ以上近づかないで!」


「こんなに可愛らしいお嬢様にアレコレ出来るなんて、メイド冥利に尽きますわ!手数料も弾んで頂きましたし、気合を入れて係らせて頂きます、着付けもメイクもすーぐ終わりますので、少ーしだけ大人しくしてて下さいね?」


そう言ってニンマリと笑みを深めてメイドさん達は一斉に僕に飛びかかって来た!


「ヤダ!ドレスはイヤーーーーーーー!」


--------------------


僕はムスムスしながらエレベーターの前に立っている。

あの後、着付けをされ、髪を結い上げられ、メイクを施されて「いってらっしゃいませ!!!!!!」と部屋を追い出された。


クリスと共にエレベーターに乗る。

エレベーターの鏡に映る自分の姿が、どう見ても女の子にしか見えなくてスカートの裾をキュと握り溜息を吐く。



「マコちゃん!可愛さ5割増しだよ!」


「全然嬉しく無い.......」


あっと言う間にエレベーターはイベントホールの階に着き扉が開く。

目の前にホールは広がり、ダンスは既に始まっている。

音楽は流れ、色とりどりのドレスが舞い、グラスを片手に歓談している人達も居る。


華麗にステップを踏む人達に見惚れているとクリスからグラスを手渡される。


「飲み過ぎたらダメだからね!」


「分かってるよ...........」


グビリと一気に飲み干す。

シュワシュワ美味しい!手近のメイドさんに空いたグラスを手渡すと同時に音楽が終わり、ホールで踊っていた人達もグラスを取り歓談が始まる。

そこへ、僕達に声がかけられる。


「マコト!来てたのか?」


「マーサ!え?マーサも踊るの?」


「いや、俺はアレクさんの付き添い」


「騎士団長いるんだ?」


キョロキョロと辺りを見回すと、居た!あっ!目が合った、走って来る!


「マコトーーー!」


叫びながら素早く走り寄り、僕のことを上から下まで見回すと腕を組み頷いて口を開く。


「水着姿も美しかったが、ドレス姿は正に妖精のようだ!俺の為に着飾ってくれたのだな?フフフ、さあ!踊ろうか!」


そう言ってスッと手を差し出す、何を言ってるのかな、この人は?ジト目で見上げると何処からともなく声が上がる。


「「「「 ちょっと、待った!!!! 」」」」


四人の男達が走り寄りアレクの横に並び、僕に手を差し出し口を開く。


「どうぞ私と踊って下さい!」「いや!私と!」「私が!」「私と踊りましょう!」


「何を言っている!マコトは私の妻になるのだそ!」


アンタこそ何言ってるんだ?

と、言うかこの人達は何を言ってるのかな?何で男同士で踊らなきゃいけないの?

その様子をニマニマと見ていたクリスが僕の横にスッと立ち手を差し出す。


「じゃあマコちゃん!踊ろうか?」


「うん!」


僕はクリスの手を取るとホールの中央へエスコートされる。

チラリとアレク達の方を見ると手を差し出した姿勢のままアングリと口を開けて固まっていた。

ホールの中央付近まで来るとクリスは僕の方を向いて背中に手を回しす。

あれ?おかしくない?なんでクリスがリードする事になるの?


「クリスおかしいよ?僕がリードでしょう?」


「なんで?私の方が背が高いし、私のリードでいいでしょ?」


「いやいや!おかしいって!」


「あっ!始まった!」


コソコソと言い合いをしている内にホールの灯が少し落とされ音楽が流れだしダンスは始まる。

仕方なくリードをクリスに任せてステップを踏む。

アップテンポの曲にステップを思い出しながら合わせていく、意外とクリスは上手だ、踊りやすいかもしれない。

ステップに慣れて来るとまるで試すように曲のテンポが上がって来る、速い?徐々に足が遅れ気味になる。


こんな所で足が縺れて転倒とか、恥ずかしい。

僕は体に魔力を流し身体強化の魔法をかける、体が軽くなった。

クリスは僕に一度驚きの表情を見せるがそのままステップを続ける。

曲は益々速くなる。


ステップ!ステップ!ステップ!ジャンプ!


速くなる曲が音ゲーみたいで楽しくなる、どんどん魔力を流して合わせていく内にふと気付いた。

なんだかクリスの身体が光ってない?と、言うか僕も光ってる?

薄暗いホールの中で気付いた、ほんのり二人の身体が発光してる。

これは身体強化のせい?もしかしてクリスも身体強化を使ってる?

そう言えばさっきから、このハイスピードのダンスを平然とクリスはリードしている。

でもクリスってこんな魔法使えるの?


あっ! 僕はエルリースの話を思い出した。

エルリースはエミナに魔力の補助?エミナがエルリースに魔力を供給する事で強くなった。

もしかして同じ事が起こってる?


考えを巡らす間も曲は速くなりそしてクライマックスを迎える。


ステップ!ステップ!ジャンプ!

ステップ!ステップ!ステップ!フィニッシュ!!


クリスと僕はピタリとポーズを決めフィニッシュ!

そこへホール全体から拍手と歓声が巻き起こる!


「可愛い!」「女神のダンスだ!」「光り輝いてた!」「こんなの見た事ない!」


周りを見るとホールの中央、踊っていたのは、いつの間にか僕とクリスだけ。

注目されて、周りの拍手と称賛の声、食堂が有るバルコニーからも身を乗り出すように拍手を送られる。


「.......マコちゃん、挨拶........」


「うっうん!」


そしてクリスと並びカーテシー、割れんばかりの拍手が巻き起こった。

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