プールサイド?
溺れたマコトに代わってクリス視点で、
途中から通常通りマコト視点です。
「!まっ!マコちゃん!捕まって!」
私は必死にボートから手を伸ばし、手をバタつかせるマコちゃんの腕を掴もうとするが掴む事はできずにマコちゃんはボートから遠ざかり沈み込んでいく。
どうしよう、飛び込む?でも、私が飛び込んだ所で、幾ら小さいマコちゃんとは言えど一緒に沈み込んでいくビジョンしか浮かばない。
そうだ!誰か助けを!そう思い叫ぼうとしたその時、プールサイドから飛び込む人影が見えた。
青色の海水パンツ姿の飛び込んだその人物はあっという間に潜っていき、マコちゃんの身体を抱き抱えて浮き上がって来る。
?え!マーサ?
思いも寄らない人物の登場に唖然としながらも、今はそんな事に構ってはいられない。
マーサはマコちゃんを抱えたままプールサイドに泳いでいき、引き上げる。
私は慌ててボートを手で漕いでプールサイドにたどり着く。
プールサイドに寝かされたマコちゃんはグッタリとして動かない、その様子を見たマーサは徐にマコちゃんの顔に自分の顔を近づけていき.........
「は?!なんでキス?!」
ん?コレは人工呼吸?よく見るとマコちゃんの鼻を摘んでる。
横たわるマコちゃんからマーサの唇が離れたと同時にマコちゃんはゴホゴホと咳き込み水を吐き出した。
マコちゃんは、薄っすらと目を開けて、「.......マーサ?」とポツリと呟き、虚な瞳でマーサを見つめる。
そんな中ドカドカと二人に歩み寄る人物が、黒のビキニパンツ姿の騎士団長アレクだった。
「けしからーん!姫の目覚めは王子のキスと決まってる!即ちこの俺!」
そんな訳の分からないセリフを叫びながらマーサを押し除けてマコちゃんの肩を抱き上げてそのままマコちゃんの顔に顔を近づけて行く、突然の事にマコちゃんも目を見開き、慌てて両手で近づいて来るアレクの顔を押し留める。
それでもアレクの力が強いのか、マコちゃんの腕に力が入らないのか?ジリジリとその距離は狭まって行く。
焦り出したマコちゃんは私の方に顔を背けながら「やめて!ヤダ!ちょっと!見てないで誰か!誰か助けて!!」と悲痛な叫びを上げる。
私も、周りで見ていた人達も余りに訳の分からない出来事にボー然としている中、マーサは徐に二人に近づいたかと思うとビシ!っとアレクの首筋に手刀を入れる。
アレクの身体は一瞬でパタリとマコちゃんの胸に崩れ落ちた。
崩れ落ちたアレクを慌ててマコちゃんは払い退け、立ち上がる。
「何この人?何!何!変態?変態なの?」
蔑む様な目で倒れたアレクを見ながらマコちゃんは両腕で自分の身体を抱く様にしてブルッと身震いをする。
「騎士団長のアレクさんだけど........」
マーサが起き上がりながらマコちゃんに説明する。
マコちゃんはコテリと首を傾げる、覚えて無いみたい、私はヒントを与える。
「お城で戦った人だよ?」
「ああ!話を聞かない人!」
マコちゃんは平手に拳をポン!と打って思い出した事に満足げだ。
「所でマコちゃん?泳げるんじゃ無かったの?」
「おっ泳げると思ってたんだよ........」
言葉の最後は声が小さくなりツイっと顔を逸らす、スライダーに乗る前は言ってたはず、あれだけ魔物を倒したり、騎士団長を倒したりしたマコちゃんがスライダーにあんなに悲鳴を上げて、ましてや泳げないなんて思っても見なかった。
「もうマコちゃんはあっちのプールだね!」
私は子供たちの集まる子供プールを指差す、マコちゃんはチラリと私の指差す方を一度見て物凄く嫌そうな顔を私に向けて抗議する。
「幾ら何でもそれは無いんじゃ無い?さっきのだって足がつかなくてちょっと慌てただけだよ!」
「他のプールもマコちゃんじゃ足つかないよ?」
「うっ.........」
「じゃあマジカルスライダーに乗る?ボートから降りなきゃ大丈夫だから?」
「ヤダ!あれは嫌!絶対にイヤ!」
マコちゃんは必死に首を横に降り全力で思いっきり拒否られた、凄い楽しかったのに..........
その様子を見ていたマーサは「ちょっと待ってろ」と言ってレンタルスペースに走って行き大きな浮き輪を抱えて戻って来ると「ほら!」と言ってマコちゃんに手渡そうとする。
マコちゃんはその浮き輪を唖然とした顔で見てプルプルと身体を震わせて。
「もう分かったよ!僕の事はほっといて!」
と言いながら乱暴にマーサから浮き輪を奪い取りズカズカと子供プールに向かった。
なんだか身長くらいの浮き輪を持った後ろ姿が可愛らしい、拗ねたかな?
「マーサ?ちょっとマコちゃん見ててくれない?」
「オッケー!」
マーサはヤレヤレと言う感じでマコちゃんを追って子供プールに向かう。
私は早速ボートを抱えてマジカルスライダーの塔に向かった。
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僕は浮き輪を抱えてムスッとして子供プールに向かう、子供プールとか浮き輪とか、みんなして僕の事、馬鹿にしてる!ちょっと慌てただけじゃ無い!
背後にはマーサがついて来る、僕は振り返り睨み付けて言った。
「付いて来なくて良いから!僕の事はほっといて!」
それでもついて来るマーサを無視して子供プールまで来ると小さな子供達しかいない、僕は乱暴に浮き輪を水に叩き付けるとバシャ!と水が跳ねて顔に掛かる。
後ろで「ぷっ」とマーサが吹き出してる、キッと睨むとツイっと視線を逸らす。
「キイー!」と叫び出したい衝動を必死で抑えてプールに足を着ける、水嵩は膝までしか無い。
浮き輪の端にお尻を乗せてもたれかかる様に浮き輪に乗り空を見上げる。
太陽が近い、空の上なんだと今更ながら思う。
そういえば僕の事、誰が助けてくれたのかな?クリス?でも気が付いた時にはマーサがいた、その後........
思い出してると、チュー顔で迫って来る騎士団長の顔を思い出して背中にゾクリと悪寒が走るので考えるのを止める。
暇になったマーサは水に足を浸す様にプールサイドに座り込む。
ポチャポチャと浮かんでぼーとしていると周りで遊んでいた5、6才位の子供達がわらわらと僕の周りに集まってきた。
「お姉ちゃん!泳げないの?」
おっお姉ちゃん?......でもこの格好........子供に怒ってもしょうがない。
何となく年上の威厳?余裕を装って言い訳をしてみる。
「おっ泳げない訳では無いよ、調子が悪いだけ.......」
「マコト.......子供に嘘つくなよ!」
「マーサは黙ってて!」
チャチャを入れるマーサを黙らせると子供達はマーサを見ながらとんでもない言葉を吐く。
「お姉ちゃん!あれ彼氏?」
「はぁ?カレシ.......?」
「だってチューしてた!」「彼氏じゃん!」「人前でイチャイチャしちゃダメなんだよ?」
「チューして見せて?」「チュー!」「チュー!」「ちゅー!」
「えっ?ちょ!ちょっと君たち?」
「チュー!「チュー!」「ちゅー!」
子供達は手を叩きながら囃立てる、子供怖い......
チューって何?マーサが?えっと、もしかしてさっき人工呼吸的な事......した?
チラリとマーサを見ると目を逸らされた、なんだか顔が熱くなる。
徐に立ち上がったマーサはバチャバチャとこちらに歩いて来る。
「ほら!ガキ共!お姉ちゃん恥ずかしいってさ!」
「ワー!彼氏来た!逃げろー!」「お姉ちゃん達、あんまりイチャイチャすんなよー!」
子供達はクモの子を散らす様に僕から離れる。
マーサは僕の浮き輪を掴み、そのままプールサイドに引き摺っていく。
「マコト、何か飲み物でも飲もうぜ!」
そう言って浮き輪を抑えてくれてるので立ち上がって水から出る、そしてマーサに促されてカフェスペースに、屋上のガーデンデッキにはオープンテラスのカフェスペースが併設されている。
カフェスペースに入る前に入り口でウェイターさんが風の魔法で水着と身体を乾かしてくれて、そのまま屋上デッキが見渡せる席に案内してくれる。
席について直ぐに二人ともアイスコーヒーを注文した。
僕は姿勢を正してマーサに聞いてみる。、
「あのね、マーサが僕の事助けてくれたのかな?」
「まーな、近くにいたし」
「その、人工呼吸的な事.....した?」
「だってお前、息してなかったし」
「......そうなの?」
「そもそも、マコトは5才ぐらいの時プールで溺れたのになんで泳げるって思ったんだ?」
「はぁ?5才?そんなの覚えてないよ!ん?てっ言うか、なんでマーサがそんな事知ってるの?」
マーサは明らかにシマッタ!と言う顔をする、この際洗いざらい全て話して貰おうと口を開きかけた時。
「二人だけでお茶してるなんてズルイよ!すみませーん!アイスコーヒーお願いしまーす!」
クリスが割って入ってきた、クリスは僕の隣に腰掛けながら注文する。
そして僕とマーサを交互に見た後マーサに向かって口を開いた。
「ねえ?マーサはなんでこの船乗ってるの?休み?ゼップにでも行くの?」
「イヤ、俺らはクロノアに仕事だよ、まぁ俺はアレクさんのお供だけどな」
「そうなんだ、でも仕事でもこの船乗れるって良いよね?」
「えっ?普通は乗合の馬車だぞ、アレクさんが金出しってくれっるって言うからさ、流石貴族様だよな?飯は旨いし、飲み食い放題だし」
この船に乗ってるからマーサって意外とお金持ち?と、思ってたらアレクさんがお金出してるんだ?太っ腹だね。
でもその騎士団長、倒れたままだけどほっといて良いのかな?死んで無いよね?
気にはなるので聞いてみる。
「ねぇマーサ?騎士団長ほっといて良いのかな?」
マーサはチラリとアレクに視線を送り溜息を吐いて呟いた。
「何時もはあんな変な人じゃ無いんだけどなぁ?マコトが絡むと変になるんだよ、お前なんか魅了の魔法でもかけたか?」
「何でよ!そんなのかける訳無いじゃん!」
「まぁそうだよな........」
「マコちゃん惚れられてるんだよ!しょうがないよ!」
クリスが突然恐ろしい事を口走る、ちょっと辞めてよ!なんでマーサも頷いてるの?
暫く他愛の無い話をして僕とクリスは、お茶の後部屋に帰る事にした。




