ボタン?
本編に戻りました!
いつも通りマコト視点に話は戻ります。
エミナとエルリースのお話は需要が有れば閑話として描きたいな、と思ってます。
ご感想宜しくお願いします。
「その後が大変だったんだよね..........学園の講師や貴族連中に詰め寄られて、誰に魔法を習ったのかって........勇者様に習ったって言っても誰一人信じないのよ?」
エルリースはそう言いながら溜息をつき、少し冷めた紅茶を一口飲む。
僕も紅茶を飲み干しながら考える、エミナは何処に消えたのだろうか?エルリースに別れも告げず消え去ったエミナはきっと僕と同じ様に飛ばされたのかも知れない。
元の世界に?もしくはこの世界の何処か別の時間軸に。
神話と呼ばれる程の昔から突然現れた訳だから時間を超越した事だって充分考えられる事態だ。
「エル様はエミナ様とまた会えると思ってるんですよね?」
「そうだね!必ず会えると思うよ、報告しなきゃいけないし、お礼も言いたい、ご飯も奢って貰わなくちゃいけないしね?それに返したいし........あっ!そうだ!マコちゃんにだけは見せてあげる!エミナ様の宝物!」
そう言ってエルリースは立ち上がり、執務机に向かうと引き出しを開ける。
そして大事そうに両手で包み込む様に持ってきたそれを僕の目の前で手を広げて見せた。
「!...........これって」
エルリースの掌にあるのは金色のボタン。
でもそのボタンは僕もよく知っている物だった。
「なぁに、マコちゃん?これ........知ってるの?」
僕はボタンを凝視しながら静かに頷く。
「このボタンは僕が元の世界で通ってた学校の男子生徒の制服の袖のボタンです」
「えっ?男子生徒...........えっ!それって何々?ラブい話し?宝物って言ったよ?えー!エミナ様って、乙女?えっ?本当に?」
「えっ?ラブ?何言って........ん?そうなのかな?女子が好きな男子からボタン貰うって......確か..........えっ!そうなの?」
「キャー!本当に?本当に?」
「いや、わかんないですよ!それこそ会って聞いてみたら良いじゃ無いですか?」
「ウフフーこれは楽しみがひとつ増えたよー、絶対に会ったら聞かなきゃねー」
エルリースはニヤニヤしながら何か妄想を膨らませてる、僕はエミナが世交学園の生徒、もしくは卒業生かも知れない事実に世界って狭いな、と思いながらチラリと時計を見る。
なんだかんだとお昼に近い、もう帰っても良いよね?
「エル様?僕、もう帰っても良いですよね?」
「えー!帰っちゃうの?お昼食べて行きなよ?」
「でもクリスが待ってるかも知れないし.........」
「んー、そっか!じゃあ、あんまり引き留められないねぇ?あっ!そう言えば、家の方にマコちゃん宛に荷物送ってるから、帰ったら見てみてね?」
「えっ?中身何ですか?」
「秘密!帰ったら分かるよ!私からのお餞別ー」
「餞別?...........まぁロクな物じゃ無い様な気がしますけど.........」
「えー、スッゴイ良い物だよ?エルセレクションだよ?」
「........何となく読めた様な気がします...........じゃあもう帰りますよ?」
「分かった!クリスとお父さんお母さんに宜しく言っててね?」
「分かりました、ではまた」
そう言って立ち上がりエルリースの部屋を出る、エルリースは小さく手を振って送り出してくれた。
そのまま城を出ると、もう日は高く登り強い日差しが降り注ぐ。
僕はスクーターを出して走り出した、クリスには買い物して帰るって言ってたのにまさかの無報酬。
「あーあ......服、買いたかったな......魔物でも倒そう........」
風を切って走りながら一人呟き溜息を吐いた。




