エミナとのお別れ?
物語はエルリースとエミナの出会いの物語、
幼い頃のエルリース視点で話は進みます。
チロチロと舌を見せるその魔物を見て私は神話の中の勇者の冒険譚を直ぐに思い出した。
「エミナ様、確かこの魔物、頭を落としたら直ぐ倍の頭が生えて来るんですよね?」
「そうなんだよ!大変だったんだよ!ザクザク切ってたらいつの間にか数え切れないくらい頭が生えてきてさー」
「え!?頭を一つ切った所で気が付いた勇者様が直ぐに対処法を閃いたって........」
「...........それは.........神話の話し?」
「はい..........」
「............」
私は理解した。
きっと考えたのは一緒に冒険してた仲間の誰かなのだろう、そして私の知っている神話は9割ぐらい美化された物なのだと.........
神話で納得出来るのはエミナが魔法と剣術に長けている事と、とても美しい容姿をしてる所くらい、黙っていればの枕詞付き。
後はとんでもないポンコツだ、朝いつ行っても起きてはいないし、「お腹が空いた!」が口癖の燃費の悪さ、先を歩かせれば必ず逆方向に進む超絶方向音痴、料理をすれば「焼く!」しか知らない。
私を含めて世界中の子供達が勇者の真実を知れば相当な落胆だ。
「取り敢えず頭切ったら切り口を直ぐ焼く!で合ってますよね?」
「............それでお願いします...........」
「じゃあ!行きます!」
私は我先に「ヒュドラ」に斬りかかる、続いてエミナも。
エミナから貰った剣は切った感触も感じさせないくらいの切れ味でスッとヒュドラの頭を落とす、続け様に切り口にファィヤーボールを叩き込み、それを繰り返し、全ての頭が落ちた時ヒュドラは溶けるように消え水色の魔石がそこに残った。
「エル、お疲れ!これでダンジョン踏破だよ!帰ろっか?」
「はい!」
エミナはそう言って巻物を出す、いつも通り広げる直前、先程ヒュドラが居た場所の先にチラリと視線を送り溜息を吐く。
何だろうか?そこには大きなクリスタルを粉砕した様なカケラが散らばっていた。
エミナのキャンプに戻った私は、明日の試験の為に早めに戻る事にする。
「エミナ様、明日の試験の為に今日は帰ります、今日まで教えてくださってありがとうございました、エミナ様と出会えたお陰で私、試験を受ける事ができます!この奇跡を無駄にしないように絶対受かりますから!」
「うん!エルなら絶対受かるよ!それからね、エル、人と人の出会いは運命、此処に私が立っている事さえも全てが決められた事なんだよ!だからきっと私とエルの出会いは、この世界にきっと必要な事、この世界の未来を作る大切なプロセス、奇跡なんかじゃないよ?あっ!そうだ!御守りにコレ貸してあげる!私の宝物だよ!」
そう言って魔法陣から金色のボタンを取り出して私に渡した」
「御守り........ですか?」
「そう御守り!明日合格の報告と一緒に返してね?合格したら街に美味しいものでも食べに行こうか?」
「分かりました!コレ、預かっておきます!ゴハンはエミナ様の奢りですよね?」
「良いよー奮発してあげよう!頑張れ!」
「はい!頑張ります!」
エミナから預かったボタンを握りしめ、手を振って私は帰宅した。
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翌日の試験、私は筆記は難なく合格を得て、魔術の試験でどの貴族をも上回る魔力量と魔法の数々で、試験官をはじめ見学の上位貴族の度肝を抜いて見事、特待生の権利を手に入れる事が出来た。
合格証を頂いて詰め寄る学園講師や貴族を全て「明日以降でお願いします!」と振り切り私は走った!合格した!やった!エミナ様に知らせなきゃ!そして御守りを返してゴハン!豪華なご飯を奢って貰おう!
街の入り口、城門前で何時もの衛兵のおじさんに声をかけられる。
「エリスちゃん、あんまり奥まで行っちゃダメだよ?」
「分かってる!急いでるからごめんね!」
そして森の中を走った、もう直ぐ視界が開け湖とエミナのキャンプが見える!
「エミナ様!受かりました!...............」
私は足を止める、そこには有ったはずのエミナのテントは消え、まるで今までの事が夢物語だったかの様に人がいた痕跡はまるで無い、ただ平穏に凪いだ湖にはカルガモの親子が泳ぐ。
私はポケットからエミナに預かったボタンを出し見つめる、その軽いボタンだけが夢では無い事を実感させてくれる。
「エミナ様............」
涙が頬を伝わり、私はボタンを握りしめた。




