エミナとの交渉前?
物語はエルリースとエミナの出会いの物語、
幼い頃のエルリース視点で話は進みます。
次の日の朝は両親と同時に家を出た、今日は週に一度の教会に行く日、教会で身分を問わず誰でも勉強を教えて貰える日だ。
小さい時から昼間、家に両親がいない私は教会に行って勉強したり本を借りて読む事が楽しみだった。
教会はギルドのある広場、ちょうど市場の反対に位置する場所にある。
教会に着くと講堂に向かい直ぐに本棚から算数の教本を取り席に着き問題を解き始める。
すると隣の席に青い髪をショートボブにして私より小柄で可愛らしい顔、プリースト見習いの青い法衣を纏ったリーベルーラが座り声をかけてくる。
「エリスおはよう!今日はいつもより早いね?どうしたの?」
「おはようベル!ちょっと今日、用事があるんだよ、だから早めに来たの」
リーベルーラは私と同い年だ、私はベルと呼び此処に通う中では一番の友達だと思う。
ベルと挨拶を交わす間に講堂には人が集まってくる。
みんなそれぞれ年齢は違い、勉強の為だけに集まる人達だからあまり話す事は無い。
ベルとは歳が同じな事もあり、よく話をした。
「ねえ用事って何?何か良い事?機嫌良さそうだけど?」
「実はね魔法の先生、見つかりそうなの!」
「えっ!そうなの?でも魔法の先生って、お金かかるんじゃ無い?」
「そこは交渉次第かなぁ?」
私は両親共に魔法が使える、その事もあってか両親は冒険者として割と名声を得ているらしい。
両親の血を引く私も魔力は割とあるらしいのだが、両親は魔法を教えてはくれない、きっと私を冒険者にはしたく無いのだろう。
私は別に冒険者になりたくて魔法を覚えたい訳じゃ無い、王都の英知が集まるあのエミーナ学園に通う事が私の夢だ。
ただ学園の入学条件は教養も、ではあるが魔法をどのくらい使えるのか?も必要になって来る。
貴族は古の魔族との戦いにおいて奮戦した魔道士の末裔だから、魔力が高い者が多い、だがその中でも落ちこぼれはいるもので、そういう者は高い金銭を払って宮廷魔術師に教えを乞うのだという。
逆に突発的に平民の中にも魔力の高い者が現れる事も有る。
そういう者には国が学費や生活費を負担して特待生として入学する事も有る。
私や両親も平民としては魔力は高いが貴族には到底及ぶべくもなく、魔術師に教えを乞うお金も無い。
特待生を募る試験は一ヶ月後に迫り、私は夢は夢と殆ど学園の事は諦めていた。
そこにエミナとの出会い、神話の中に勇者が魔力の低い魔術師に魔法を教える記述があり、教えを受けた魔術師は大きな魔力を得て大魔道士になった逸話が残されている。
勇者を名乗るエミナならば、もしかすると何か分かるかも知れないし、昨日見た魔法はどれも聞いた事が無い魔法だった。
私の夢に小さな希望の灯火が灯る。
おしゃべりを辞めて私はまた算数の問題に没頭していると、エミーナ学園でも教鞭を取るボランティアの講師が講堂に入ってきた。
私は算数の分からない所を直ぐに質問する。
「.......と、なるのだけれど分かったかな?」
「はい、良く分かりました」
「........それにしてもエルリースの飲み込みの速さには感心するね、多分学力に於いては学園の生徒に引けを取らない.......いや、それ以上だな!これで魔力がもう少し有れば確実に特待生として学園に通う事を勧められるのだが...........」
その言葉に私と、隣の席のベルは顔を見合わせて微笑んだ。
私は講師のいる時間まで勉強を続けて、講師が退出すると席を立つ。
「エリス?今日はもう帰るの?」
「うん!例の交渉しなきゃいけないから!」
「そっか!あっ!ちょっと待って!」
ベルは持って来ていた小さなバックから小箱を二つ出して、私に渡した。
小箱の一つを開けてみるとピンクで1センチ程度の長方形の粒が十二個程並び傍には爪楊枝が入ってた。
「これなぁに?」
「昨日見つけた新しいお菓子だよ!少し酸っぱくて歯応えがあって美味しいよ!」
「良いの?ありがとう!」
「それより!交渉、頑張れ!」
ベルは両手でグッと拳を握る、私は頷き「じゃあ頑張って来るよ!」とベルに返す、ベルは「またね!」と言って手を振って見送ってくれた。
私はエミナとの交渉の為に森へ向かった。




