エミナとのお買物?
物語はエルリースとエミナの出会いの物語、
幼い頃のエルリース視点で話は進みます。
「所でエル?王都って事はお店、有るんだよね?」
エミナはお腹が少し落ち着いたのか王都に興味が出たみたい、お店って、買い物するのかな?
「お店、ありますよ、エミナ様は、お金持ってるんですか?」
エミナはちょっと考えて、突然、何も無い所に手を差し出すと、赤色の魔法陣が現れて、そこに手を突っ込み紙の束?を取り出して私の目の前に翳した。
「これ、使えるかな?」
エミナが手に持ってたのは一万Gのお札の束!凄い!こんな大金見たことない!それに魔法陣から取り出してた?魔法?聞いたことないよ!
「使えます!使えますよ!エミナ様ってお金持ちなんですね?」
「良かった〜貨幣変わって無いんだ?」
「変わる訳ないじゃ無いですか!だって勇者様の絵姿が付いてるのに!」
「そうなんだよね.......恥ずいよね.........デザイン変えて欲しいんだけど、あ!でもそのおかげで買い物できるのか!複雑.......」
私は紙幣の勇者様の絵姿と目の前のエミナの顔を見比べる、んん?似てると言えば似てる.........かな?勇者様と言われても半信半疑の所はある、高潔な勇者様のイメージが崩れたからでも有るのかも?
「取り敢えず街、行ってみます?」
「うん!行こう!行こう!」
そう言ってエミナは立ち上がり、あらぬ方向へ歩き出す。
「エミナ様!そっち違います!こっちですよ!」
私はエミナの手を掴み街の方角へ引っ張る、一瞬驚いた表情を浮かべたエミナは大人しく私に引かれるままについて来た。
森を抜け城門が見えてくる。
「そう言えばエミナ様?身分証とか持ってます?」
「え?いるの?そんなの持ってる訳無いじゃん?あ!でも大丈夫だよ!隠蔽の魔法使うから!」
そう言ってエミナはパチン!と指を鳴らす。
同時にエミナの姿がフッと視界から消えた。
「え!エミナ様?エミナ様!」
「此処だよん!」
エミナの声が聞こえて頬に温かい何かが触れる。
「ウヒャ!!!エミナ様いるんですか!?」
「姿が見えなくなる魔法だよ!ちゃんと付いてくるからエルは、そのまま街に入って」
姿が見えず声だけが聞こえる、言われた通り城門を通り過ぎようとすると、今朝の衛兵のおじさんに声をかけられる。
「エリスちゃん?今日はやけに帰りが早いな、どうした?」
何か悪い事をしてるみたいで少し居た堪れない気持ちになり吃り気味に返事を返す。
「ちょ.......ちょっと用事、そう、用事を思い出しただけだよ!」
「そうなのか?」
「そうそう!急ぐから!じゃあね!」
私は慌てて駆け出した、人の多い大通りから路地裏に入りエミナに呼びかける。
「エミナ様?いますか?もう出て来て良いと思いますよ」
「.......」
「?エミナ様?.........エミナ様!」
「.......」
もしかしてついて来てない?返事がない事に不安に陥る。
「エミナ様.......」
「わぁ!!!」突然目の前にエミナは姿を現した!
「い!ひゃー!!!」びっくりして私は後ろに飛び退いた!
「あっはははは!びっくりした?」
「ひっ酷い!エミナ様!心臓止まるかと思ったのに!」
「ゴメン、ゴメン!何でも奢るからさ!機嫌直して?」
「なんでも?その言葉に嘘、偽りは無いですよね?」
私の言葉にエミナは身構える。
「おっ女に二言は無いよ.........」
「そうですか?では行きましょうか?」
「.......はい.......エル.......なんか怖いよ?」
「二言は無いんですよね?」
「.............」
私たちはエミナが食料品を買いたいと言うので市場に向かう事にした、エミナは物珍しいのか、周りをキョロキョロして落ち着かない。
「エル?あの大きい建物何?」
「あれはギルドですねー」
「あっ!屋台だ!串焼き売ってるよ!」
まさに旅行客を連れてるガイドの気分だ、エミナはギルド前の商店を冷やかしたり、食べ物の屋台で買い食いをして回る。
買い食いの度に私も一緒に食べるので市場に着く頃にはお腹がいっぱいに。
「エミナ様、必要な物は何ですか?」
「ん〜そうだねーあっ!」
そう言ってエミナは近くの八百屋にかけていく
「ヘイ!ラッシャイ!お嬢ちゃん、何が必要で?」八百屋のおじさんは威勢よくエミナに声をかけ、エミナは店に有る野菜を見渡して指差し始める。
「えっとねーこれと、それと、あれと.............」
「お嬢ちゃん、沢山買うねえ?それに可愛いから、おじさんおまけしちゃうよ!で、どのくらいいるの?」
「全部有るだけ!」
「「は?..............」」おじさんと私の声がハモる。
「全部有るだけ!」
「いやいや、持てないだろ?それにお金.......」
エミナは赤い魔法陣を出し、その中から札束を取り出しておじさんに見せると、おじさんは目を丸くして、いそいそと野菜を木箱に詰め出した。
「お嬢ちゃんは貴族様ですか...........誰か取りに来ますか?」
「ん?そのまま持って帰るよ?」
そう言ったエミナはおじさんが野菜を詰めた木箱をまるで風船でも持つように軽々と持ち上げ、赤い魔法陣を出してそこに次々と木箱を放り込んでいく。
店の売り物の大半を魔法陣に放り込んでエミナは札束をおじさんに渡す。
「多分多いと思うけど、意味分かるよね?」
「はい、分かっております、ありがとうございます」
おじさんは深々とエミナにお辞儀をする。
その後もエミナはお肉屋、果物屋、粉物、お米屋と次々に同じように買い物をしていく。
売り物の無くなったそれらのお店はことごとく閉店していった。
とんでもない大人買いに私は唖然としながらエミナについて行く。
程なくして買いたい物が揃ったようでエミナは私に問いかける。
「さて!エルが欲しい物は何?」
「.......欲しい物って言うか、お願いがあります、所でエミナ様は今日は何処か泊まる所はあるんですか?」
「ん?さっきの湖の所に野営しようと思ってるんだけど?」
「え?道具は?........もしかしてさっきの魔法陣の中ですか?」
「そうそう、だから心配ないよ?」
「エミナ様はこの国に住むんですか?」
「んー住むかどうかは分からないけど、やる事も決まって無いし、暫くはあの湖の所に居るかな?」
「じゃあ!遊びに行っても良いですか?お願いも有るし........」
「良いよ!おいで、おいで!私も話し相手が欲しいよ」
約束を取り付けてエミナと二人、城門の方まで歩く。
城門近くまで来るとエミナは私の正面に立ち、私の頭を撫でて言った。
「エル、此処までで良いよ?また遊びに来るよね?」
「はい!明日も行きます!あっでも明日は教会に行かなきゃ行けないのでお昼くらいかな?」
「わかった!待ってるよ!じゃあまた明日ね!」
エミナはそう言ってパチン!と指を鳴らし姿を消した。
私はエミナがそこに、いるかどうかは分からないけど手を振って家の方に駆け出した。




