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謁見?

仮設ギルドの前には王城から手配されたらしい立派な馬車が待っていた。

乗り込もうとする僕に三郎がサッと手を差し伸べる。


「ん?なんですか?この手?」


「エスコートサー!素敵なレディには必要ダヨー」


「レディじゃ無いので必要ありません!」


僕は三郎の手を軽く跳ね除けて馬車に乗り込む、続けてサーニャさんが乗ろうとするが、当然のように三郎の方に手を出して三郎はその手を取る。

三郎が乗り込み、僕の向かいに座るサーニャさんの横に腰掛けると背後に有る小窓を開けて御者に千G紙幣を一枚渡す、チップなのかな?

時を置かず馬車はゆっくりと走り出した。


僕は褒賞を取り上げられた事にやっぱり納得が行かなくて、一言も喋らずムスッとしてしまう。

サーニャさんの澄ました顔を見ると余計にムカムカする。

馬車内の雰囲気の悪さにオロオロしていた三郎は場を取り持とうと僕に話しかけて来た。


「マコちゃん〜そう怒らないでヨー、可愛い顔が台無しサー」


「別に可愛くなくて良いですから!」


「そんな事言わないでおくれヨー、ギルドの規約でどうしようも無いのさー」


そこへさっきまで黙っていたサーニャさんが口を開いた。


「褒賞に執着されているみたいですが、マコトさん程の強さがあれば、あの程度のお金は直ぐに稼げるのでは無いですか?宿の手伝いよりも魔物退治の方が余程実入りが良いと思うのですが?」


!、それもそうだよね?森に行けばシルバーウルフぐらいは沢山いる筈、宿屋の手伝いをしていても夕方までは暇な時間は沢山有るし.........ちょっと明日からは魔物退治をしてみようかな?


.........でも褒賞を取り上げるのは違うよね?稼げる事は分かったけれど褒賞は別件だ。

思い出すと腹が立ち、ムスムスしてる内に馬車は城へ到着した。


三郎が先に降りて、僕に手を差し出す。

僕は無言で手を払い除けて馬車から降りた、目の前には以前来た綺麗な大きな城。

もう此処には来ないかと思ってたのに、また来てしまった。

「はぁ」と溜息を吐いた時突然後ろから声がかかった。


「マーコーちゃん!」


羽交い締めされるように背後から抱き締められる。


「エル様!」


「もぅーマコちゃん!お姉ちゃんって呼んで良いんだよ?待ってたよ〜!早速ドレスに着替えて〜お化粧して〜可愛くしよっか?」


「ドレスとお化粧はいりません!!!」


「ん?ご機嫌斜めなの?ウフフ、そんなマコちゃんに王様が良いもの用意してくれてるよ?」


「良いもの?それってなんですか?」


「ウフフ、ヒミツ!行こっか?」


僕はエルリースに引っ張られるように城の中に入る、サーニャさんと三郎は黙ったまま付いてくる。

廊下をそれほど歩く事もなく豪華な扉の前でエルリースは立ち止まる。

扉の側にはメイドが二人たっている。

エルリースは僕に向き直り両手を僕の頬に当てて言った。


「はい!マコちゃん!これから王様と謁見でーす!怒った顔は終わりね!はい!ニパ!」


そうだよね、王様の前でプンスカしてるのは不敬だよね?頑張って精一杯の笑顔を作ってみる、引き攣ってるけど。


「エル様?これで良いですか?」


「はい!可愛い!中では私の真似っこしてれば良いからね?行くよー!」


そう言ってエルリースは扉近くのメイドさんに合図を送るとメイドさんは直ぐに両開きの扉を押し開く。

開かれた扉の奥はパーティの時の部屋程の広さは無いがエルリースの部屋ぐらいの広さは有るだろうか、ただ吹き抜けで天井がやたらと高く壁や柱の至る所に精細な彫刻が施され、此処が特別な部屋なのだと言う事が嫌でも分かる。

一番奥に見える玉座まではレッドカーペットが敷かれ両端には甲冑を着た騎士達が立ち並ぶ。


エルリースを先頭に僕、三郎、サーニャの順にカーペットの上を進み玉座の手前でエルリースが横一列に並ぶように促し頭を下げる。

僕はその様子を真似て頭を下げると、三郎、サーニャさんも同時に頭を下げる。


「顔を上げよ」


王の声で四人一斉に顔を上げると眼前の玉座に王様が難しい顔をして座っている。

玉座の両脇には豪奢な衣装を着た人達が数人並ぶ、その中にミリアのお父さんのロイフォートと王妃様の姿も有った、役職を持つ貴族の人達なんだろうね。


「この度のドラゴン討伐、大儀であった、よって勇者の称号を与え侯爵相当の権限を保証する.....先に身分証は受け取ったと思うが?」


身分証?ギルドで貰った金色タグの事かな?確か侯爵って結構偉く無かった?

僕は首にかけたタグを示してオズオズと口を開く。


「はい、この通りギルドから頂いております.........」


「そうか、そして褒賞であるが此方も既にギルドを通して受け取っていると思う.........」


そう言って王様はサーニャさんにチラリと視線を送る。

周りの貴族、三郎までもサーニャさんに視線が行ってる!そうか.........みんな知ってるんだ、報奨金の行き先を.........でも一度僕が受け取ったって事にはなるんだよね?

みんなの視線を受けてもサーニャさんは相変わらず涼しい顔をしている。

その表情に苦々しい気持ちを思い出すが表情には出さない。


「.........はい.........頂きました、ありがとうございます」


絞り出すようにお礼の言葉を述べると王様は苦々しい顔をした後、僕に手招きをする。

ん?近くに行くの?良いの?戸惑っているとエルリースが背中をそっと押すのでオズオズと王の近くまで歩み寄ると王は懐から封筒を出し、コソコソした話し声で話しかけて来た。


「マコト、本当は駄目なのだが私のポケットマネーから出した、楽しんで来ると良いぞ」


そう言うと封筒を僕に渡す。

明らかに周りには丸聞こえなのだけど、オフレコ扱いという事?

僕は封筒を両手で受け取り小さく頭を下げて小さい声で「ありがとうございます」と礼を言うと王はニコリと微笑むので僕もニコリと微笑み返して後ろへ下がった。


四人並んで一度深く礼をしてエルリースを先頭に退室する。

謁見室を出て扉が閉まると同時にエルリースがニコニコ顔で話しかけてくる。


「マコちゃん!謁見も終わった事だし、お着替えしよっか?」


「えっ?嫌です!帰ります!」


「えーそんな!せっかく来てくれたのにぃ?.........じゃあ、お話ししようか?」


「え?」


「大事なお話.........」エルリースは僕の腕を掴みながら含みを持った笑顔で言った。

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