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褒賞?

「マコちゃん、着替えて来たら?」


「うん、そうする.......」


僕はクリスの部屋へ向かった。

服を脱いでみて改めて死にかけた事を思い出す。

服の背中部分は細切れに裂けて、キュロットも穴が空いてる。


ボロボロの服に溜息を吐くと、不意にドアが開き、クリスが入ってくる。


「着替えた?」


「ちょっと待って」


僕は慌ててメイド服に着替える。

その様子を見ながらクリスは躊躇いがちに問いかける。


「ねぇ.......マコちゃん?」


「なぁに?」


「ミコトさん?だっけ?幼馴染.......なんだよね?」


「そうだけど.......」あれ?僕、クリスにミコトの事、言ったっけ?


「女の子だったんだね.........」


「ん?」


クリスが何を言いたいのかよく分からない。

そこは魔物の事とか聞くんじゃ無いの?


「小さい頃から一緒に居たんだよね.......」


「まぁそうだね、小さい頃は遊園地とか動物園とか旅行にも.........」


あれ?いつ行った?ミコト.......居たっけ?思い出せない.........スッポリ記憶が抜け落ちてる?と、言うより始めからそんな事は無かったかのようだ。

思い出せるのは引き篭もった僕の部屋に遊びに来るミコトだけ。


何かがおかしい、そもそもどうしてミコトはこの世界にいるの?僕はもしかして夢を見ているの?それとも夢を見ていた?頭の中がぐちゃぐちゃになりながら現実の世界での僕の存在自体がまるで足元から崩れていく様な、そんな恐怖を感じ目を閉じる。


「マコちゃん?」


「あっ、ゴメン!クリス.......なんか色々あって.......」


「.......そうだよね?私こそごめんね?あっ!それよりお仕事!」


「そうだ!急がないと!」


僕は考える事を放棄してクリスと急いで食堂に向かうと、丁度お客さん達が入ってきた。

今日は調査から帰って来た冒険者達で何時もの賑わいを取り戻した様にお客さんが多い。

明日、報酬を貰えるからか、お酒の注文も多いみたい、豪勢だね。


そう言えば明日は僕も褒賞を貰えるんだっけ!服も破いちゃったしクリスにも何かプレゼントを買いたいな。


そんな事を考えていると『銀狼』のメンバーが入ってくる。

ギルドへの報告が終わったみたい、ケルベロスの事はどう報告したのかな?


「ダームさん!お帰りなさい!ギルドどうでした?」


「あぁ.....マコトか.......あのギルド.......お前か?」


「うっ.......まぁ、ドラゴンとの戦闘で.......しょうがなかったんですよ!」


「やり過ぎだろ.......まぁ、頑張れ!」


「ん?.......何を?」一体何を頑張るの?

意味が分からず首を傾げる僕にダームさんは真面目な顔になり尋ねて来た。


「それより港に居た魔物、アサギが魔道船に隠れてたんじゃ無いかって報告してたが.......本当か?」


「.......まぁ彼処に居たからそうなんじゃ無いですか.......」


僕はダームさんの訝しみながら見つめる目に疚しい気持ちになり、ツィと目を逸らす。

それをみてダームさんは「はぁ.....」と一度溜息を吐く。


「まぁ、そう言う事ならそうなんだな?取り敢えずビールだ!」


「はぁ〜い!ビール三つでーす!」


---------------


お客さんも引けて、いつもどうりコーヒーを飲みながらブレイクタイム。


「マコちゃんは明日ギルドに褒賞貰いに行くんだよね?」


「うっ.....うん、そうだね.......」


「その後お城に行くんだっけ?」


「そう.......その後ちょっと寄り道して来て良い?」


「なんで?」


「まぁ.......ちょっと.........」


「ふぅーん?.......買い物?」


「.......まぁ.......ちょっと.......」


「良いよ、行っておいで!」.......ボソ「買い物.......出来るといいね?」


「うん!.......ん?なんか言った?」


「別に〜」


---------------


翌朝、朝の仕事をこなしてエルリースから貰った戦闘服に着替えてギルドに出掛ける。


「じゃあ行ってくるね、クリス」


「いってらっしゃい」


うん、クリスは至って普通だ、何となく含みのある笑顔に少し嫌な予感もするけれど、僕の思い過ごしだよね?うん!そのはず!


外は快晴、気温も結構高くなってる。

海水浴とか良いかもね?この国ならゼップの街かな?海があるのは.....少し遠いけど。


あまりの陽気に浮かれた事を考えているとギルド跡が見えてきた。

瓦礫は端の方に寄せられて建築資材が運び込まれてる。

もう、建て直すんだ?まぁいつまでもボロい仮設のままだと僕の胃も持たないしね、早く立て直して貰ってギルド跡を通る度に感じる胃の痛みをなんとかして欲しい。


気を取り直してボロい仮設ギルドに向かう、近くまで来て、あまりのボロさに眩暈を覚える。

廃材で作ったの?って思うぐらいボロい、溜息を吐いて扉のノブに手をかけた。


「ん?開かない?」ガチャガチャとノブを回しながら引っ張ってみるが扉はビクともしない。

押してみたら良いのかな?と押してもみたけれどダメだ.........

僕は片足を扉の横の壁にかけて、一気に壁を蹴る様にノブを力任せに引っ張った。


「バキバキ!」嫌な音を立て僕は扉ごと後ろに吹っ飛ぶ。

勢い余って地面をゴロゴロと三回転して止まった。


「.........何なのコレ!!僕のせいじゃ無いからね!」


開いたギルドの入り口から冒険者達の顔が覗く、僕は何食わぬ顔をして立ち上がり服を叩き外れた扉を壁に立てかけて中に入る。

冒険者とギルド職員の視線が痛い。

サーニャさんと目が合い、溜息を吐てサーニャさんは近寄って来た。


「マコトさん、お待ちしておりました、此方へ」


僕は、別室に案内するサーニャさんについていく。

案内された別室には一人の若い男性が先にソファーに座り待っていた。


この人は誰だろう?男性はサーニャさんと同い年ぐらい?少し上かな?しかもイケメンだ、それはさて置き、耳が長くて肌は褐色.........ダークエルフ!?

僕と目が合うと同時に爽やかな笑顔でダークエルフは口を開く。


「オー!ユーがマコちゃん?君、可愛ユゥイネー!ドウ?ドウ?コレからボクとエミカにお茶しに行かなーい?」


「はぁ?!」


「ギルドマスターの三郎です.........」


サーニャさんは頭を抱えながらギルマスの三郎を紹介する。

僕は予想もして無かったギルマスの登場にポカーンと口を開けたまま絶句して固まる。

軽!ギルドマスター?三郎?このギルド大丈夫なの?

ダークエルフかと思ってたけどこのノリ、サーフィンとかやってて日焼けしてるだけ?僕の勝手なイメージだけど。


「あの?三郎さんはサーフィンとかお好きですか?」


「オー!波乗り!ボクの趣味の一つサー!何でわかるの?」


「素敵な肌の焼け具合が.........」


そこに呆れた顔をしながらサーニャさんが口を挟む。


「マコトさんはダークエルフをご存知無いのですか?はぁ.......取り敢えずお掛け下さい」


席を勧められて三郎の対面に腰掛ける。

やっぱりダークエルフだったのね.........

サーニャさんは部屋にある金庫から銀色のトランクを取り出して僕と三郎の間のテーブルにそれを置き三郎の隣に腰掛ける。


「では早速ですが今回の調査の報酬とドラゴン討伐の国からの褒賞合わせて此方になります」


そう言いながらサーニャさんはトランクを開く。


「!.........」


僕は息を飲んでトランクの中身を見つめる。

一体いくら有るの?トランクの中には一万Gの札束がギッシリと詰まってた。


「締めて一億Gになります、宜しいですか」


僕は札束を凝視したまま無言で何度も頷く、コレだよ!異世界!楽に大金稼いでウハウハ生活!異世界はやっぱりこうじゃ無いと!やっと.........やっと貧乏から抜け出せる!

これで女の子の格好ともおさらばだよ!


そっとトランクへと大金に震える手を伸ばした時、サーニャさんがサッとトランクを取り上げる。


「え?」


「こちらからギルドの建て替え費用を差し引きます、それと先程壊された扉の修繕費も差し引いて残りはこちらですね」


そう言ってサーニャさんは百Gコインを三つテーブルに置いた。


「.........はぁー?そんなのおかしいでしょ!」


「決まりですから、討伐での損害は冒険者負担です」


「ギルマス!なんとか言ってよ!」


「ユーの気持ちも分かるけど〜ボクにはどうしようも無いのサーゴメンヨー」


「そんな.........」


僕は置かれたコインを手に取り絶望に打ちひしがれる。

三百Gって.........遠足のおやつ代じゃ無いんだよ?僕は呟いた。


「バナナはおやつに含まれますか?」


「なんですかそれは?」


「何でも無いです.........」


「それとマコトさん、こちらをお渡ししますので以前のギルドタグを返却して下さい」


サーニャさんは金色のタグをテーブルに置く、僕がギルドで最初に作った銀色のタグに似ているがこれはエミーナ王国の紋章があしらわれ、小さな宝石が付いた豪華なタグ、僕は首に下げていた銀色のタグを外してテーブルに置き金のタグを手に取る。


「綺麗.........これなんですか?」


「国から認められた人だけに与えられる身分証です、貴族と同等の身分を証明されます」


「貴族.........」


「まあ身分を証明するだけですので取り立てて特典は無いのですけど、今のマコトさんには必要では?」


「どうしてですか?」


「勇者として称えられるですから、それに付随する面倒事も有るかと.........」


「面倒事?」


「それよりも、そろそろ王城に向かわなければいけませんね?」


「そうだヨー!王様に呼ばれてたヨー!この話はもう終わりダヨ!オーケイ?」


さっきまで居辛そうにしていたギルマスの三郎が息を吹き返したように陽気に捲したてる。

僕は褒賞を取り上げられた事に納得がいかないので抗議したい所だけれど、確か王様が渡したい物が有るみたいな事をサーニャさんが言ってた.........

何を貰えるの?少し希望が見えてくる。


気を取り直して王城に向かう事にする。

だって異世界、転生者は必ずお金持ちになる筈だからね?!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 竜討伐して褒賞金全額没収? 明らかな詐欺行為だよね 第一なんでマコトだけが負担する事になるのかさっぱり意味が解らない
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