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おかしな二人?(前半)

朝、いつもよりも早く起きてしまった。

クリスはまだ寝てる、昨日渡されたキュロットが嬉し過ぎて、直ぐに起き上がり畳んで用意していたキュロットを手に持ち、広げてみる。


「クフフフ」今日のお出かけはスカートじゃ無いんだ!早く着替えたいけれど、朝のお仕事がある、我慢ガマン!

広げたキュロットを畳み直しそっとチェストの上に置き直すとクリスがモゾモゾと起き出してきた。


「ふぁ〜.....マコちゃんおはよう.....なんか今日早いね?」


「そう?そんな事無いと思うけど?」


「なんか変!そんなに今日のお出かけは楽しみだったの?」


クリスはジト目で僕を見ているが、そんな事は気にしてられない、朝の仕事を終わらせないとね!


「クリス!早く着替えて食堂に行こう!」


そう言って顔を洗いに部屋を出る僕をクリスは訝しげに見ながらも用意を始める。

二人とも準備が出来た所でメイド服に着替え食堂に向かう。


「おはようございます」「おはよう」


「おはよう、おや?二人とも今日は早く無いかい?」


そう、おばさんに言われてクリスは何も言わずに僕をみる、おばさんも僕の方を向くので「そんな事無いと思いますけど?」と答える。

おばさんは「そうかい?」と深く突っ込むこともなく厨房に入って行く、僕たちはカウンターに置かれた二人分の朝食を端の方のテーブルに持って行って「「いただきます!」」と言って食べ始め、無言のまま急いで食べ終わると、ちょうど宿泊のお客さんが降りてくる。

黙々と朝食の配膳をして、お客さん達を送り出す。


お客さんも少ないので朝の仕事が終わり、食堂の掃除をしたり洗濯物を干したりすると、やる事もなくなったので、食堂に行くと、いつも通りクリスはコーヒーを淹れてくれる。

少しソワソワしながらコーヒーを飲み時間を見計らう、約束してた昼には少し早いけれど。


「クリス、僕、そろそろ着替えてくるね?」


そう言って一人クリスの部屋に行きメイド服を脱ぎ待望のキュロットを穿いてみる。

スカートでは味わえない安心感に心が躍る、チェニックにも袖を通し鏡の前に立つ。

女の子物の服だけれど、これなら僕も男の子に見えるんじゃ無い?

髪の毛をサイドに纏めシュシュで留める、上出来!


食堂に行くとクリスはテーブルでコーヒー片手に新聞を読んでる?何時もは読まないのに?


「あのねクリス、僕、そろそろ出かけてくるね?」


「そう?いってらっしゃい、気を付けてね」


「.......うん.......じゃ、じゃあ、行ってきます.......」


何事も無いように、また新聞を読み始めるクリスをチラチラと見ながら宿屋を出る。

おかしい.......クリスの事だから絶対に付いてくるとか言うと思ってたのに、なんだろう?何も言われない事が余計に不安を煽る。


シュシュは付けてきたけれど、エミカまではそんなに遠くは無いので歩いて行く、直ぐにギルドがある広場に差し掛かり、無残にも崩れ去った元ギルドが目に入る。

ギルド跡の反対の広場の方に目を向けると、如何にも急いで作りました!風の木で出来たボロい掘建て小屋が目に入る。

看板が掛かっていて『王都ギルド(仮)』と書いてある、あれが仮設のギルドかな?

あまりのボロさに居た堪れない気持ちになる。

僕が壊しちゃたからね。


やってしまった事はしょうがない、エミカに歩を進める。

直ぐにエミカが見えてきて相変わらず人が並んでた。

人の列の後ろに並ぼうかとしてると、テラス席の方から呼ぶ声がした。


「おーい!マコト!こっち!」


マーサは前にクリスと来た時に座ったテラスの特別席に居た。

店員さんに待ち合わせである事を伝えて中に入る。

マーサはジーンズに白い半袖のシャツ、昨日見た騎士の鎧と違ってラフな格好、こんな格好だと普通の15歳の少年だ。


僕が席に着くと店内の多くの女の子の視線がマーサに向いてる事に気付いた、なんだか僕に対してはなんとなく敵意を感じる。


「マーサ早かったね?待った?それにこの席、特別席なんだよ?」


「俺も来たばっかりだ、なに?特別席?普通に此処に案内されたぞ?」


「そうなの?なんだか目立つ席だよね?」


そうマーサと他愛の無い会話を交わしているとウエイターさんがメニューを持ってきた。


「マコト、俺、今日給料貰ったばっかりだから好きなもん食べろよ、奢るからさ!」


「本当に良いの?奢って貰っちゃてなんだか悪いな.......」


「気にすんなよ!俺オムライスにしようかな?」


オムライスと聞いてミリアの兄、ルイの事を思い出し少し恥ずかしい気持ちになるけれど、気を取り直してメニューを見る、パンケーキがある!これにしよう!オムライスとパンケーキ、飲み物にアイスコーヒーを頼む。


早速昨日マーサが言った『クロスワールド』の意味を聞きたい所だけれど人の目が多い、時間は沢山あるし後で聞く事にしよう!取り敢えず当たり障りのない質問をする事にする。


「ねぇ?マーサはお仕事、何してるの?」


「俺は城で雑用やってるんだ!主に力仕事だけどな」


「騎士見習いだよね?学園に通ってるの?」


「学園?俺、平民だぜ?通ってないけど、なんでだ?」


「昨日模擬戦した子達は学園の生徒だってエル様が言ってたから」


「あー!そういう事?俺さ、騎士になりたくて、騎士団長を城の前で出待ちして土下座で頼み込んだんだ、そしたら試合しろって言われて試合した」


「騎士団長って、確か『アレク』って人だったけ?剣は凄く強いよね?」


「ああ、強いよ!今一歩の所でファイヤーボールにやられちまったよ!」


「マーサは魔法は苦手なんだよね?」


「そう!それで負けはしたんだけど、腕を見込まれて見習いとして城で下働きしながら稽古をつけて貰ってるんだ」


「そうなんだ?」


取り留めのない話をしている内に注文したメニューが運ばれてきた。


「おっ!美味そうだな?マコトも早く食おうぜ!」


「うん、じゃあ頂きます」


そう言って僕はパンケーキにシロップをたっぷりかけて少し切り分け口に運ぶ。


「ん!ふわっふわで美味しい!マーサ?オムライスは美味しい?」


脇目も振らず食べてたマーサが手を止めてコーヒーで流し込む、そして「マコトも食べてみるか?」と言いながらオムライスの卵がトロトロの部分をひと掬いしてスプーンを僕の目の前に差し出す。


ん?これって?『あーん!』っていう事?男の子同士だったら、こういう事もおかしくは無いのかな?友達がいなかった僕には分からない。

でも、食べないのは失礼だよね?恥ずかしいけど。


「うん、じゃあ頂くね?」


そう言って差し出されたスプーンをパクリ!


「「「キャー!!!」」」

「あぁぁーーー!!!」


僕が食べた瞬間、周りの女の子達から叫び声が上がる!中に混じってミリアの叫び声が聞こえたような気がして周りをキョロキョロ見回す。

イヤ、こんな所にミリアはいないよね?気のせいかな?

今の叫び声は何だったんだろう?虫でもいた?


---------------


ミリアはエミカの道路を挟んだ向かいの生垣に身を潜めてエミカのテラスを見ていた。

そこにクリスがやって来てミリアに並んで身を潜める。


「クリス!遅いですわよ!」


「しょうがないでしょ!マコちゃんが出掛けてからじゃないと私は出られないんだから!それよりこれ!」


クリスはミリアに紙袋を差し出した。


「なんですのこれ?」


「ミルクとあんぱん」


「はぃ?何故あんぱん?」


「張り込みの必需品だって、本に書いてた、サトーベーカリーの限定あんぱんだからね?」


「クリスはこの大変な時に何をしてるのですか?まぁ、ありがたく頂きますけど.......」


そう言いながらミリアは直ぐに袋からあんぱんとミルクを取り出し、とてもお嬢様とは思えない豪快さであんぱんを食べ干しミルクで流し込む、お腹が空いてたみたいだ。


「所でミリアはいつから此処にいるの?」


「開店前から張ってましたわ!それよりあの男!周りの女の子からチヤホヤされて浮かれてるんではございません?マコトをこんな所に誘い出しておきながら!」


「チヤホヤ?まぁ確かに顔は良いかもね?周りの子達が見るのも分からなくは無いわね」


「それになんですの?マコトもデレデレして!あーもー見つめ合ったりして!」


クリスは思った、まぁ何時も通りのマコトではあるけども、何処からどう見てもマコトとマーサの二人は、カップルにしか見えない。少しでもカップルっぽさを消すために用意したキュロットも無駄だった。


「あぁぁーーー!!!」


いきなりミリアは叫びながら立ち上がる。


「何やってんのよミリア!」クリスはいきなり立ち上がったミリアを引きずり倒し無理やり生垣に身を隠させる。


「だって!あーんって!あーんですわよ!許せませんわ!あの男!」


「こんなので慌ててどうするのよ?見つかったらこの後どうするのよ?」


「そうですわね、少し落ち着きましょう、ふぅ」


---------------


僕達は出されたパンケーキとオムライスを食べ終わりアイスコーヒーを飲みながらまったりとする、なんだか周りの女の子の視線が刺さるように痛い。


「所でマコトは相変わらず可愛い格好してるのな?なんで女物の服着てるんだ?」


「うっ.......お金が無いからだよ.......」


「?.......まぁ、似合ってて良いと思うよ」


「そぅ.........」


「所でマコトは今日暇か?武器屋を見たいんだけど付き合わないか?」


「武器屋さん?!行く行く!僕も行きたい!」


流石は男の子同士、クリスとだったら下着屋さんとか化粧品屋さんばかりで絶対に連れてて貰えない、男の子同士の遊び方っぽくてテンションが上がる。

マーサは伝票を取って立ち上がり、レジに向かう、僕もその後についていく。

マーサが「俺が出すからな」と言いながら支払い二人で外へ出た。


外に出た所でマーサに向き合い「マーサご馳走さま!美味しかった」と、言った時、いきなり肩を抱かれ抱き寄せられる。


「?!」


「危ねぇ!」


僕の後ろを荷馬車が凄いスピードで通り過ぎた。

抱き寄せられたまま、マーサを見上げる。

危なかった!馬車来てたんだ?それにしても結構マーサとは身長差あるなぁ?

そう思っているとマーサが抱き寄せてた事を思い出したように慌てて「ごめん!」と言いながら離れた、ちょっと顔が赤い?何でかな?


「ありがとうマーサ、じゃあ、武器屋さんに行こうか?」


「おっおう!行こうか?それにしてもマコトは本当ちっこいよな?プニプニしてるし」


「プニプニって失礼だなぁ!太っては無いと思うけど?!」


「あっ!イヤ、太ってるって訳じゃ無いけど.......」


「ん?まぁいいや!行こうか?」

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