秘密と友情?
マーサと中庭の中央まで来るとマーサが突然訪ねて来た。
「マコトさんは15歳だよね?」
「そうだけどよく知ってるね?」
「まあ色々ね、俺も15だよ、敬語使うのも変だから普通に喋っても良いかな?それに俺の事マーサで良いよ、さん付けは、なんか違うって言うか、慣れない」
「じゃあ僕の事もマコトで!所でマーサは貴族なの?」
「えっ?そんな風に見えるか?普通に平民なんだけど?所でマコトは魔法使うよな?」
そう言いながらマーサは腰の剣を鞘から抜き、おもむろに構える、しかしその剣に見覚えが。
「マーサその剣!」
「おっ!マコトやっぱり知ってたか?」
「確か魔法攻撃をキャンセルするって言う?」
確かゲームの時に持ってる人を見た、ベーターテスト版をプレイした人のみに抽選で配られたチートアイテムだったはず。
「知ってるなら魔法撃っても無駄だって事は分かるよな?俺も魔法は得意じゃ無いし、純粋に剣だけでやり合おうぜ!」
「分かった、それで良いよ」
僕は指輪を剣に変え構える、ゲームのチートアイテムにこんな所で出会うとは、マーサがどうやってそれを手に入れたのか気にはなるけれど、この世界には他にもこんなアイテムがあるのかもしれない。
「マコト、こっちから行くぜ!」
そうマーサが言った次の瞬間その姿は消え、僕の懐近くで低く剣を振り抜こうとするマーサがいた。
ヤバイ!油断してた訳じゃ無い!早い!
僕は咄嗟にバク転で距離を取ろうとするがマーサはそれにも距離を詰めてくる。
僕の着地よりも早く下から上へ振り抜かれたマーサの剣を剣で受けるがマーサは受けた剣ごと振り抜き僕を弾き飛ばす。
僕は飛ばされはしたものの空中で体制を立て直し着地する。
「流石ドラゴンバスター!マコトやっぱ強えーな!」
「そのドラゴンバスターって辞めてくれる?恥ずかしいんだけど?マーサこそ強いじゃない!凌ぐの必死なんだけど?行くよ?」
僕は地面を蹴り一気に距離を詰めて溜めを置かずに手数を増やして剣を繰り出す。
マーサも溜めの無い軽い振りを難なくいなしていくがスピード重視の小手先の技が苦手なのか苦い顔をしている、我慢出来なくなったのか一度後ろに飛び退いて距離を取り大きく息を吸った?来る!
マーサは地面を蹴り一気に距離を詰めてスピードも乗せたまま大きく上段から剣を振りかぶる、同時に僕も全身と刀身に魔力を込めて下から剣を振り抜く。
ガッキィ!!鈍い音を立てて二人の顔の手前で剣は合わさり目が合う。
拮抗した力で剣はその場からピクリとも動かない。
「クッ!流石一筋縄じゃ行かないか?ちょっとずるいかも知れないけど、マコトは分かるよな?『クロスワールド』!」
「え!?」
突然で思いがけないマーサの言葉に一瞬、剣に込めた力が緩んだ。
マーサはその一瞬を見逃さなかった、スッと軽く剣を引き僕の剣を持つ手に軽く剣を振る。
「イツッ!」
軽く当てられたとは言っても鉄の塊、痛さと痺れに思わず剣を手放す、その瞬間、剣は指輪に変わり目の前から消える。
丸腰になった僕の眼前にマーサは剣の切っ先を向ける、思わず僕はその場にへたり込んだ。
その光景を見たクリスとミリアはガタリと椅子を鳴らし慌てて立ち上がり僕とマーサの所へ走り寄って来た。
「マコちゃん!」
「マコト!」
マーサは剣を下げ鞘に納める、クリスはマーサをキッと睨んで僕の方を向き口を開く。
「マコちゃん!この男の嫁になるの?!」
予想もしていなかった、その言葉にぽかーんとする僕とマーサにミリアが言い募る。
「だってマコトに勝ったら嫁に貰えるって!この男は汚い手でマコトを嫁にしようとしてますわ!断じてそんな事は許しません!」
マーサはヤレヤレといった風にクリスとミリアに向き直り口を開く。
「クリスさんも、ミリアさんもちょっと落ち着いてくださいよ、男同士で結婚とか無いでしょう?それとも勝ったら何か要求しても良いって事ですか?」
「「「えっ?!」」」
えっ?初見で僕の事を男の子と解ってくれたのはジェシーくらいのものだ。
マーサは僕の事、男の子と思ってくれてたんだ!でもマーサは何か考え込んでる?
「んー取り敢えず何か要求して良いなら、マコト!俺と友達になってくれるか?俺、友達いないんだよな!」
思いがけないマーサの言葉に男友達のいなかった僕は頭の中で色々な言葉が浮かぶ、男同士の熱い友情!好敵手と書いて「とも」と読む!夢にまで見た男友達!クリスとミリアは驚きの表情で口を押さえてる。
「良いよ!マーサ、友達になろう!これから宜しく!」
「こっちこそよろしくなマコト!」
「ちょっと待って下さい!それって、お友達から始めましょう?って事ですの?!」
ミリアが突然必死の形相で会話に割り込むがマーサはヤレヤレといった表情をした後、ハッと何かを思い出したような顔をして慌だした。
「俺、もうバイト行かないといけないんだよ!もう帰るな!またなマコト!」
「待ってマーサ!聞きたい事が!」
聞かなきゃいけない、マーサの言った『クロスワールド』の意味を一体何を知っているのか、マーサは立ち止まり一瞬考えて言った。
「此処で話す事じゃ無いな、バイト代も入るし、ちょうど明日休みなんだよ!今日の礼に飯でも奢るから明日、昼にエミカで待ち合わせでどうだ?」
「良いよエミカだね!」
「おう!じゃあ、また明日な!」
そう言ってマーサは走り去っていく、クリスとミリアは驚愕の表情を浮かべ、コソコソと二人で話し出す。
僕は話し合う二人を置いてお茶の席に向かう、エルリースはジッと走り去るマーサの後ろ姿を見ていた。




