お城の朝?
何時もとは違う、ふかふかのベッドで目を覚ますと知らない天井。
ムクリと起き上がると両隣のベッドにはクリスとミリアが寝てる、あっ!そういえばお城に泊まったんだっけ?でも確かパーティで貴族の人達から挨拶されて.......
途中から記憶が無い?何してたんだっけ?と、思い出そうとしていると僕のお布団がモソモソ動いた。
慌ててお布団を跳ね除けると下着姿の真っ赤な髪のお姉さんがいた!
「え!?この人誰?」
同時に自分の姿に気付く、スケスケのシースルーのベビードールを着てる!下のペチパンは辛うじてシースルーでは無いけど。
「なんで?なんで僕、こんな格好なの?寝てるこの人は誰なの?」
事態が飲み込めない僕がベットの上で慌てているとクリスとミリアが起き出してきた。
「マコちゃんおはよう、起きてたの?」
「マコト、おはようございます、何をしていますの?」
「ちょっと!この格好なに?クリスが着せたの?スケスケなんだけど!それとこの人誰?!」
僕は寝てる赤髪の人を指差してクリスに尋ねると、ミリアが慌てて布団を跳ね除け僕のベットの赤髪の人に掴みかかり揺さぶる。
「起きなさい!変態騎士!なんでマコトのベットで寝てますかー!」
「うふぅん!マコトしゃまぁ〜」
赤髪の人はミリアの揺さぶりも物ともせずに眠ったまま僕に擦り寄りスリスリと僕の腰に手を巻きつけ頬を擦り寄せてくる。
僕は慌てて手を跳ね除けようとするけれど細身なのに以外と力が強い。
「ちょっと起きて下さい!お姉さん離して!ちょっと抱きつかないで!」
その様子を黙って見ていたクリスがおもむろにベットを降りて来て赤髪の人の横にスッと立ちパチンと頭を叩いて怒鳴った。
「ローザ!起きなさい!アンタ、朝の鍛錬は行かなくても良いの?!」
赤髪の人、ローザさん?はビクッとなって飛び起きると慌てて椅子にかけた白いドレスアーマーに「ヤバイ!ヤバイ!」と呟きながら凄い速さで着替えると「隊長に殺される!」と叫びながら部屋を出て行った。
僕はポカーンとしながらクリスに尋ねる。
「クリス?あの人誰?ローザさん?って言ってた?」
僕のその問いにクリスとミリアが一度顔を見合わせて矢継ぎ早に僕を問い詰める。
「マコちゃん?もしかして、覚えて無いの?」
「うーん、貴族の人達から挨拶されたのは.......」
「私とクリスにマコトがチューをされた事は?」
「はぁ?!」
「貴族相手にパーティ会場で大乱闘したのは?」
「えぇ?!」
「みんなで一緒にお風呂に入りましたわよね?」
「はぁいぃ?嘘だよね?僕、そんな事してないよ?」
「したよ!嘘じゃ無いから!」
「されましたよ!嘘ではございません!」
「嘘だ!?」
僕は呆然と今着てるシースルーのベビードールを摘み「コレは?」とクリスに問う。
「マコちゃん、お風呂で溺れたんだよ.....着替えで置いてあったから、多分お姉ちゃんの趣味.....かな?」
僕はそのままベットの上で突っ伏した。
全部嘘だよ、嘘のはず、でもパーティ途中からの記憶が無い、クリス達は嘘言ってる風には見えない、本当に僕、そんな事をしてたの?そういえば昨日沢山飲んだあのジュース、もしかして.......
「あのぉ.....昨日僕が飲んでたのって.....」
「シャンパンだよ?」
「マコトは知らずに飲んでたのですか?」
「だって、お酒は20歳から.....」
「何を言ってるのですか?15歳から飲めますよ?」
「マコちゃんの住んでた所はそうなの?」
「.........」
「「「はぁーーー」」」
三人で同時に溜息をつく。
そこへドアをノックする音がした。「はい」と、クリスが返事を返すと「失礼致します、お着替えをお持ちしました」とメイドさんが一人入って来た。
メイドさんはベットに突っ伏した僕と、項垂れたクリスとミリアを怪訝な表情で見た後「朝食の準備が出来て居りますので早めに着替えてダイニングへお越しください」と言いながらチェストの上に着替えを置き、そそくさと退散する。
僕はベットから降りて「着替えてご飯食べよう」とクリスとミリアに着替えを促しチェストに向かう。
「「フゥ」」とまた溜息を吐いてクリスとミリアも、のそのそと着替え始める。
僕とクリスは昨日着てきた魔法少女服とアリス制服、キチンと洗濯がされていた。
ミリアはロイフォートが用意したのだろう、水色の膝丈オフショルダーのワンピースに着替える。
着替え終わり顔を洗ったり諸々支度が出来たのを確認すると「じゃあ行こうか?」とクリスが声をかけて部屋を出る。
クリスを先頭に廊下を歩きながらミリアが僕に尋ねる。
「マコト、本当に覚えて無いのですか?昨日はあんなにミリアだいしゅきー!とか言ってくれたのに!」
「何言ってるの?私はだいしゅきー!だったけどミリアはしゅきー!だったじゃない!」
ミリアの問いにクリスが振り返り反論する。
「本当にそれ僕が言ったの?」
「言ったわよ!」
「言いましたわ!」
「うぅぅ.....」
言ったのかも知れない、反論出来ない、覚えてないもの。
恥ずかしくなって項垂れながら歩く。
そうこうしてるうちにダイニングに着く、流石お城、ダイニングも広いね。
テーブルには様々な種類のパンやサラダ、惣菜、フルーツが並びホテルの朝食バイキングみたい。
三人並んで席に着くと。
「あら、早かったわね?」
そう言いながら花柄薄緑の七分袖のチェニックに白のパンツスタイルのエルリースがダイニングに入ってきて僕達の向かいに座るとメイドさん達が動き出しそれぞれの後ろに控える。
他のみんなはメイドさんに、それとこれと、と慣れた感じで取り分けて貰っているが、僕は慣れないので並んだ料理を見回していると後ろに控えたメイドさんが声をかけてきた。
「マコト様、どちらを取り分けましょうか?」
取り敢えずトーストと小さなオムレツ、ベーコンサラダ少しとミルクを頼む。
「トーストはバターを塗っても宜しいですか?」
「お願いします」
手際よくメイドさんはトーストにバターを塗り料理を取り分け僕の前に並べる。
並んだ料理からトーストを取り齧るとフワフワした焼きたてトーストが美味しい。
もう一口囓ってミルクで流し込む、そういえばこの世界に来てちゃんとご飯食べて、お仕事して、ちゃんとした生活を送ってるよね?しみじみ思う、学校行ってた時は朝ご飯は食べなかったし、引き篭もってからは一日中食べない日もあった外に出ないし運動なんて全然してない。
フワトロのオムレツをスプーンで掬って口に入れる、甘く味付けしてあって美味しい、おじさんのオムレツも美味しいけど、もっと上品な感じ?ひとり食レポしているとエルリースが訪ねてきた。
「マコちゃんは今日何か用事はあるの?」
「ご飯食べたら帰ります」
「用事は無いのね」
「宿屋さんの、お手伝いしないと」
「大丈夫よ、お父さん達には言っとくから、あのね、昨日マコちゃんと勝負出来なかった魔術師とか騎士達が勝負したがってるのよ、なにせ勝ったらマコちゃんをお嫁に貰えるじゃない、みんなヤル気になっちゃってて」
「はあぁぁぁ?!お嫁って?僕男の子ですよ?何?何それ?」
「だってマコちゃんが言ったのよ?『僕に勝ったらお嫁さんになってあげりゅ!』って」
「僕、言って無いよね?」ミリアとクリスに慌てて問いかけるが二人は目を逸らして。
「そうは言ってはないけど.....」
「近い事は言ってましたわね.....」
「ほら!と、言う訳で今日、相手してあげてくれるかな?」
「嫌ですよ!だって負けたら嫁って!何考えてるんですか!」
「負けなければ良いんじゃ無いの?まあ嫁って言うのは抜きにして強い人と戦いたい、て言うの?そう言う感じだから、もっと気楽に考えようよ?じゃあ今日の予定、決定!」
「うぅぅぅ.....」
有無を言わせないエルリースに、そっとクリスに視線を送るがそっと視線を逸らされた。
こういう人なんだ?エルリース、クリスは今まで大変だったんだね、なんとなく姉妹関係が推測できる。
僕は、諦めてオムレツの残りを口に運んだ。




