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パーティ?

エルリースを先頭にクリスと三人でパーティ会場に向かう、後ろにはメイド達が控え逃げ出す事も出来ない。

ヒールが高くて歩きにくい、クリスは割と平気そうだけど。


会場らしき部屋に近づくと料理や飲み物を運ぶ城の使用人の人達がパタパタと出入りしている、扉の近くにトウコさんが、何時ものローブとは違う白地はいつものだけど金糸で複雑な刺繍が施された正装?を纏って立ってた。

トウコさんはこちらに気付いて近寄ってくる。


「エルリース様お待ちしておりました」


「トウコ、後はお願いね」


「お任せ下さい」


そう言ってエルリースは僕の背中を押してトウコさんに付いて行くように促す。

トウコさんは僕の背に軽く手を置き別の入り口へと促す。


その様子を見てエルリースはクリスに「私達は先に会場に入るわよ」と言って会場に入って行った。


トウコさんに連れられ廊下を歩く、揺れるローブの下に覗くのは何時もの水着のような衣装じゃない、ロング丈で黒のスレンダーラインドレス、裾には金糸で刺繍が施されている。

ちゃんとトウコさんも正装してる?王様とか貴族とかいるんだ!


緊張でプルプルしてる僕をチラリと見たトウコさんが話しかけてくる。


「マコちゃん?緊張してるの?」


「だって僕、男の子なのに、こんな格好だよ?失敗したら牢屋?鞭打ち?貴族は怖いんだよ!」


トウコさんは一瞬ぽかーんとした表情をした後、ニヤーっとした笑みを浮かべて答える。


「そーだねぇー!男の子なんてバレたら、其れこそギロチン?それか磔にされて生きたまま火を点けられるとか?」


「生きたまま?.......かっ帰る!帰ります!貴族怖い!王様怖い!」


僕は生きたまま火を点けられるのを思い描き、ガクガクしながら涙目で訴える。

そんな僕の動揺した様子を面白がる様にトウコさんは言葉を重ねる。


「えー!今更帰っちゃったりしたら其れこそどんな罰が有るかしら?言わなきゃ分からないわよ?誰が男の子だと思うの?取り敢えず私がやる様に真似してたら失敗は無いわ」


「うぅぅ.......」


涙目になりながら俯き歩くと閉じられた扉の前にメイドさんが二人立ってる。

その扉の前でトウコさんは止まり僕の服装に乱れが無いか確認して僕の目を見て言う。


「ホラ!顔上げて!堂々としよう?さっきはあんな事言ったけど、マコちゃんはドラゴンを倒した英雄だから!失敗しても罰なんて無いわよ!胸張って!」


ギルド前の広場で街の皆んなから声をかけられ、褒められた光景を思い出す。

そうだよね!街を守ったんだ!罰を受けるなんて無いよね?でも女の子に間違われても男の子!って言うは自重しとこうかな?此処で間違われたとしても、もう貴族と関わる事も無いだろうし。


そんな事を考えていたら扉前のメイドさんが扉の押し棒に手を掛けて「お時間になりました」と言い、ゆっくりと扉を押し開いていく。


扉が開き出したと同時に沢山の拍手が聞こえてくる。

僕は顔を上げトウコさんと並んで扉を潜った。


扉からレッドカーペットが続き、その先には一段高くなった玉座に男女が座る、王様と王妃様だろう。

カーペットの両端には沢山の正装をした人達が並び拍手を僕とトウコさんに送る。

僕は姿勢を正し出来るだけ堂々とトウコさんと並んでレッドカーペットを歩く。

拍手と同時に話し声も聞こえてくる。


「えっ!こんな少女が?」「何処ぞの姫では無いのか?」「うちの息子と年頃も合いそうだ!」「宮廷魔術師では無いと?」「是非うちの養女に!」「女神の化身か?」


玉座に近づくとエルリースとクリスが並んで拍手を送っているのが見えた。

視線を送るとクリスが小さく手を振る。


玉座の前まで進むとトウコさんが頭を下げるので真似をして頭を下げる。


「顔を上げよ」


王様の声に顔を上げ座ったままの王と王妃に相対する。

王様、若い!30前半?20後半?若く見えるだけかも知れないけれど、エルリースの旦那様でも有るのだから若くてもおかしくは無いのかな?

王妃様、第1夫人も若い!十代くらい?エルリースより若いよね?


「其方が冒険者マコトか?」


「はい」


「報告で聞いていた以上に美しいな、女神の様とは誇張では無いのだな、魔法使いと聞いているが剣でドラゴンを倒したと言うのは本当か?」


「はい、ドラゴンが体当たりで向かって来たので剣を使いました」


「そうか、よくぞその細腕で、うむ、此度の討伐、大変大義であった!国を守る勇者として讃えたい、其方の今回の偉業に褒賞を用意しているので後日ギルドにて受け取ると良い、今宵の宴は其方への労いとして用意した、楽しんで行くと良い」


褒賞!とか言ってなかった?やった!褒賞ってやっぱり現金だよね?

ドラゴン倒して良かった!クリスに見つからない様に買い物行かなくちゃ!


「ありがとうございます」


喜びに口元が緩むのを押し殺して頭を下げながら無難に礼を述べて顔を上げると王妃様がエルリースに向かって何やらサインを送ってる?エルリースは頷いてる。

何?クリスもその様子を見ながらチラチラ僕の方を見る。

王妃様が僕の方を向き口を開く。


「マコト、本日は、お部屋を用意しておりますので城に泊まって行くように」


!?これか!さっきのサインは!何してくれてるのエルリース!ご飯食べて帰るつもりだったのに!あの様子だときっとクリスも今日は泊まり。

何やらされるの?王様の手前嫌とは言えない、完全に嵌められた!

僕は引き攣った笑顔でまた礼を述べ、トウコさんと一緒に頭を下げる。

周りから拍手が巻き起こり、沢山のメイド達がワゴンを押して会場に入ってきてグラスを配って回る、グラスは会場の客に行き渡り王様達や僕とトウコさんにも渡される。

そして王様と王妃様がおもむろに立ち上がって杯を掲げて王様が口上を述べる。


「国の脅威は新たなエミーナの勇者により退いた!皆、勇者を讃えよ!乾杯!」


一斉に「乾杯!」の声が響き、また拍手が巻き起こりあちら此方で歓談が始まった。

僕も杯を傾ける、飲んだ事ない味?シュワシュワして甘い、美味しい。


会場内は人が入り乱れ始めた、王に挨拶に行く人や料理を取り分ける人、皆んな寛いだ様子でそれぞれが楽しんでいる。


僕とトウコさんはクリスとエルリースの元に向かった。


「クリス!今日は泊まりなんだって!」


「そうなるんじゃないかって思ってたよ.....諦めよう、人間、諦めも大事だよ」


クリスと二人項垂れると「マコト!クリス!」僕たちを呼ぶ声が聞こえる、聞いたことある声?振り返ると。


「「ミリア!!」」


振り返ると水色のAライン、ミモレ丈のドレスを着たミリアが歩み寄って来た。


「可愛いらしい冒険者がドラゴンを倒した!って聞いて、もしや?と思ってましたが、やっぱりマコトでしたか!今日はまた一段と可愛いらしいのですね?」


「ミリアも来てたんだ?」


「ええ、何時もは学園がありますので、この様な場には出席しないのですけれど休みですので、所でクリスもいる事に驚いたのですけど.......」


そうだよねクリスは平民だから、こういう場に普通はいないと思うよね。

どう答えようか迷っているとエルリースが声をかけてきた。


「ミリアちゃんね?イスドールのお嬢さんよね?お父様にはお世話になってるわ」


「エルリース様?!」


ミリアはお化けでも見たような表情で固まった。

僕はミリアに疑問を投げかける。


「え?ミリア、なんでエル様知ってるの?」


「知ってるも何も学園では伝説のお方ですよ!え?クリス?え?」


ミリアは隣に並んだエルリースとクリスを何度も見比べる。


「クリスは私の妹よ」


エルリースが答えを出すとミリアは驚愕に口を押さえて言葉も出ない。

え?そんな驚くぐらいの伝説が有るの?何やらかしたのエルリース?

クリスはエルリースに視線を向けエルリースが頷く、そしてミリアの耳元でクリスが囁く。

きっとエルリースが公にされていない第2夫人で有る事などを教えているのだろう。


「そう言う事なのですね、わかりましたわ!お父様も知ってらしたのに教えてくれないとは!まあそれだけ職務に忠実と言う事なのかしら?」


そう言ったミリアの後ろには40歳前後のミリアと同じ銀髪の男性が立っていた。


「はじめまして、マコト様、クリス様、私、ロイフォートと申します、エルリース様の元で宰相として国に仕えさせて頂いております、ルイとミリアが大変ご迷惑をかけた様で一度ご挨拶をと思っていたのです、それにこの度の討伐、本当にありがとうございました、この国難を乗り越えられたのはマコト様のお陰です」


ミリアのお父さん!?あっイスドールの当主って事だよね?剣のこと聞いとかなくちゃ!


「ロイフォート様?今回のドラゴンは、お預かりしていた剣のお陰で討伐出来ました、此方こそありがとうございます、あの?この剣どうしたら宜しいでしょうか?」


僕は指輪を見せながらロイフォートに問う。

ロイフォートは指輪見てニコリと微笑み口を開く。


「ミリアから話しは聞いておりました、本当に指輪になったのですね?どうぞマコト様の物として正式にお納めください、正直持て余しておりましたし、今ではドラゴンを倒した聖剣、私共では荷が勝ちすぎております、この様な形でも、お礼と取って頂ければ私共としては幸いです」


「本当に僕が貰っても良いんですか?ありがとうございます!大事にします!」


「あっマコト様、杯が空いておりますよ?」


ロイフォートはそう言って手近にいたメイドに飲み物のお代わりを頼む、僕はさっきと同じ飲み物を手渡された。

このシュワシュワ美味しいよね?なんていう飲み物だろ?


「では、私はこれで失礼致します、ミリアはマコト様達と一緒に居てて良いからね、マコト様、クリス様、娘を宜しくお願いします」


一礼してロイフォートは会場を後にする。

宰相って言ってた、パーティ中でも国の政を司る人は忙しいんだろうね?


「今日、マコトはお城に泊まるのですよね?もしかしてクリスも?」


突然ミリアがオズオズと問いかけてくる。


「そうだね、そうなってるみたい」


「ずるいです!二人きりなんて!」


「ミリア、変わってあげようか?」


「それでは意味が無いではありませんか!」


「それじゃあミリアちゃんも泊まっていく?」


横からエルリースが会話に割り込んでくる。


「宜しいのですか?エルリース様?」


ミリアは期待の篭った顔でエルリースを見上げクリスは苦虫を噛み潰したような顔をする。


「良いわよ、ベットも有るから泊まって行きなさい、クリスもマコちゃんも良いわよね」


反論を許さない笑顔で問われるが、僕は生贄が増えて助かると思うのだけど、クリスは渋々と言った感じでエルリースに頷く。


「ありがとうございます!エルリース様!」


ミリアは満面の笑みだ。


「マコト様、ご挨拶宜しいか?」


突然僕達の話の輪の中に太ったおじさんが割って入ってくる。

横には奥さんらしき人と僕よりちょっと年下?息子だろうか?父親に負けず劣らず太った男の子が立ってる、男の子は値踏みする様にニヤニヤした顔を僕に向ける。

あっ!悪徳貴族っぽい!キモいよ!


「いやはや本当にお美しい!」そう言いながらどうでも良い話を続ける。

「杯が空いてますよ」と新しいシュワシュワを渡されて飲みながら話を聞き流す。

「息子と仲良くしてやって下さい」と締めくくる。

僕は笑顔だけ返しとく。

名前?なんて言ってたっけ?まあ良いや!

その後も次々と貴族が挨拶にやって来て、その度に新しい杯を渡される。

美味しいから良いけどさ!


疲れて来たので休みたいなと思いクリスとミリアに話しかける。


「くりしゅ.......みいあ.......あえ?」


あれ?なんか舌が回らない!クラクラするよ!

クリスが僕を見て驚いた顔をしてる。


「にゃんかおきゃしぃよ?あえ?あえ?にゃんかきもちいぃ?」


「「「「 ?!....... 」」」」

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