調査2日目?(後半)
小川を超えてから森の様子が変わった。
木々の密度が増えてなんとなく薄暗い、温度も下がってるように感じる。
道も雑草が所々生えて人の通りもしばらく無かった様な道の状況に気になったので、トウコさんに尋ねる。
「トウコさん、この道って何処に繋がってるの?」
「山を超えて隣のアストリア帝国に繋がってるわ」
続けてトウコさんが説明してくれたのは、この森を抜けると山岳地帯になっており、商人などが帝国への行き来をするのに、以前は近道として山を越えていたのが、最近の魔物の増加で、森や山岳地帯を迂回する為、時間がかかっているそうだ。
その為、物価もじわじわ上昇しているのだとか。
話を聞いていて、アレ?と思う。
確かゲーム内でもエミーナの隣の国としてアストリア帝国はあった
でも、設定ではエミーナ王国とアストリア帝国は戦争状態じゃなかったけ?
「ねえ、トウコさん、エミーナとアストリアって戦争してるんじゃないの?」
「え?マコちゃん?一体いつの話をしてるの?戦争してたのって私が生まれる前ぐらいの話だよ?」
「そっそうなんだ?」
訝しげにトウコさんは僕を見つめる、その視線から逃れる様に森の中へ視線を逸らす。
全てがゲームの中の情報と同じ訳では無い、ただ過去には戦争状態だったと言う事は、情報が古いだけ?もう少し情報が欲しいな。
そして逸らした視線の先、森の中に、人影?大きい?こっち来る!
「何か来た!!」
迫って来る3体のそれは、豚人間?オークだ!棍棒を持ってる。
叫んだ僕の視線の先に全員の視線が向く。
話しながら歩いていたせいか僕たちは少し遅れ気味になっていた。
同時に先を歩いていた冒険者達はこちらに向かって駆けて来るがオークの方が早い。
トウコさんとアサギさんが同時に「「アイスランス」」と唱え氷の槍が飛ぶ、槍は二体のオークを貫き魔石に変わる。
もう一体のオークは他が倒された事に怯む事なく向かって来る。
僕は指輪を剣に変え走り出す、目の前まで来たオークは棍棒を横薙ぎに振り抜く、それをジャンプして交わし一回転しながらオークを飛び越し着地と同時に体を横に回転させ剣を横薙ぎに振り抜く。
オークは胴体から二つに分かれて解ける様に消えて魔石に変わった。
我ながら見事な体捌きにビックリしていたら、周りから拍手が起こる。
いつのまにか近くに来ていたダームさんが僕の頭をワシワシと撫でながら和かに言う。
「マコトは本当に強いな!その身体つきで考えられん!王都に戻ったら一回手合わせいいか?」
「痛い事しそうだからヤダ!」
「まあ、気が向いたら付き合え、後、魔石拾っとけよ!」
そう言ってダームさんは冒険者達に先に進む様に促す。
僕達も魔石を拾い移動を始める。
その後もオーク時々ウルフと言う感じに数匹の魔獣の群れと遭遇するが冒険者達が対処する。
時々冒険者達が取り零した魔獣を魔法組で対処して行くうちにだんだん日が暮れて来た。
同時に森の中で野球場ぐらいの開けた場所に出る。
「よし!今日はここを野営地にするぞ!」
ダームさんが皆んなに声をかけた。
皆んなは大きな鍋を出して食事の準備をしている。トウコさんとルミはテントを張っていた。
取り敢えずどうしたら良いのかわから無い僕は移動しようとするアサギさんに聞く。
「アサギさんは今から何するんですか?」
「私は探知魔法を掛けに行く、マコちゃんも付いて来る?」
「探知魔法ってなんですか?」
「魔物が近づくと知らせる、マコちゃんは知らない?」
「見た事無いです」
「そう?」と言ってアサギさんは周りの森との境目で地面に向けて「サーチ」と唱えると魔法陣が浮かび地面にすうっと消えて行く。
魔物が見えない魔法陣に触れると知らせる魔法らしい、アサギさんは続けてあっちこっちに探知魔法を設置して行く、それに僕は付いて行く。
二十個ほど設置した所で森の奥から何か聞こえる?足音?近づいて来る。
だんだん足音は近づき大きくなる、見えた!イノシシ?
物凄い勢いでイノシシが目の前まで僕達に迫って来る。
慌てて飛び退きながら指輪を剣に変え振り抜く!
「マコちゃん剣はダメ」
「え?」
アサギさんがそう言った時にはもう既に剣は振り抜いていた。
ドシュッ!肉を断つ感触、そして血飛沫を上げイノシシはその場にパタリと倒れる。
僕は大量の血飛沫を頭から浴びてドロドロになりながら呆然と立ち尽くす。
「動物切れば当然そうなる」
えーーー?!アサギさんは平然とそう言うが、魔石は?動物?魔物と違うの?
魔物は切ったら魔石に変わる。
そもそもゲーム内では魔物と動物の違いなんて無い、倒せば全て魔石になるしアイテムがドロップする事もある。
でも現実的に動物いないとお肉食べられ無いよね?分かる、分かるけど動物と魔物の違いはなんなの?
異変に気付いたダームさんと冒険者数人が駆け寄って来た。
倒れたイノシシを見てダームさんが「おっ!良いもん狩ったな!晩飯豪華になるぞ!」そう言って一緒に来た冒険者にイノシシを運ばせる。
僕はトボトボとテントを張り終えて座ってるトウコさんとルミの所に行く。
涙目になりながら「トウコさん.....血が.....」と言う僕に、トウコさんは運ばれて来るイノシシにチラッと目をやりヤレヤレと言う感じで清浄魔法をかけてくれる。
日は落ちたけれど何ヶ所かで焚かれている焚き火の明かりで割と周囲は明るい。
その日の夕食はイノシシの焼肉とイノシシ汁が配られた。
血みどろにはなったけどイノシシ美味しい。
イノシシの焼肉を食べながらトウコさんが「今日はこのテントでマコちゃんも寝るからね」と言ってトウコさんとルミが建てていたテントを指差す。
他の冒険者はその辺で毛布にくるまって眠るみたい、昨日も同じ部屋に寝てたし今更感もあり「はぁい」と返事をしておく。
今日も冒険者は交代で見張りに入る、探知魔法をかけてても見張りは必要らしい。
昨日と同じで魔法使い組は見張り免除になった。
テントに入る前にトウコさんが清浄魔法をかけてくれる、流石に今日は服を着たまま眠る。
夜に何かあっても昨日の失敗は無さそうだ。
テントに入ると四人で眠るには十分な広さがあった、毛布にくるまってバックを枕にして眠る。
疲れていたのか皆んな話もせずに直ぐに寝入ってしまった。




