調査2日目?(前半)
朝、いつもより早起きした、と言うよりあまり眠れてない。
昨日の出来事がフラッシュバックしてベッドの上で時々身悶えていた、恥ずかしいから他の冒険者に会いたく無い。
出来る事なら引き篭もりたいけれど、この世界では無理なのは分かっている。
顔を洗って部屋に戻ると他の三人も、もう起きていて支度を始める。
僕もモソモソと例の魔法少女衣装に着替える。
トウコさんが僕の髪をサイドテールに纏めてくれた。
揃って一階のリビングに降りていくと、村長のおじいさん、おばあさんは起きて朝食の準備をしていた。
「おはようございます」
「よく眠れたかい?昨日は大変だったねえ」
僕が挨拶をするとおばあさんはそう言いながら炊きたての白米が粧われたご飯茶碗を手渡す、テーブルを見ると豆腐とワカメの味噌汁、卵焼き、鮭の塩焼き、そして納豆?定番的な和食の朝ご飯が並んでいる。
ルミが関心したように目を輝かせながら言う。
「勇者飯っすか!」
えっ?なに?勇者飯ってなに?和食だよね?僕は困惑しながらルミを見ると、ルミはその視線に気づいたみたい。
「もしかしてマコちゃん知らないんすか?」
「うっ!うん?!なに?勇者飯?」
「神話の中で魔王討伐に出発する朝の朝食に勇者様が所望されたって言う伝説の食事っすよ、これを食べて出征すると敵を打ち取れるって言われてて縁起物っす!」
「そっそうなんだ.......」
ルミは熱く語るけど、どう見ても平均的な和朝食、もしかして勇者って日本人?いや、日本人だよね?絶対!
色々考えてても和食は純粋に嬉しい。
取り敢えず「頂きます」と言って朝食を頂く。
宿屋のメニューも純然たる和食では無いけれど、和洋折衷、現代日本だって純然たる和食のみ食べてる人なんていない。
折しも食が欧米化してるなんて叫ばれてる昨今だ。
それにしてもこの世界、言葉や文字にしても日本文化に依るところが大きい、これは確実に勇者が日本人で、その影響を受けていると考える方が自然だ、王都に戻ったら神話を調べてみよう。
そんな事を考えながら食べてたら、炊きたての白米が美味しすぎて朝からおかわりしてた。
朝食が終わったら集会所に集合するようになっている、村長も一緒に集会所へ行く。
おばあさんに「お世話になりました」と言って出かけようとすると「また遊びに来てね」と言って頭を撫でられた。
僕は、祖父母が生まれた時にはもう他界していた。
だからもし生きていたのならこんな感じなのかな?とホワンとあったかい気持ちになる。
ニコリと微笑んで「ありがとうございました」と言って別れた。
集会所に近づくにつれて胃が重くなってくる。
朝ご飯の食べ過ぎではなく、冒険者達の反応が怖い。
ルミは僕がだんだん顔色が悪くなるのに気づいたみたい。
「どうしたんすかマコちゃん?もしかして昨日のこと気にしるんすか?パンツの一枚二枚見られた所でなんて事無いっすよ!女ならドーンと構えてとくっす!」
「パンツ!パンツ!言わないで!!それに僕は男の子だから!」
そう言ってルミを睨みつける。
「そんな怒った顔したって可愛いだけっす、ほら!もう腹括るっす!」
そう言って僕の背中を押して集会所に入る、入った途端、集会所に集まった冒険者達の視線が一斉に僕に向く。
思わず俯いてスカートの端をギュと握る。
ルミに促されて席に着く、僕を見てた冒険者達がザワザワし始める。
でも、聞こえてくる内容は僕が思っていたのとは違った。
「あの子だろう!あの黒いの倒したの」「俺は見たぜ!剣の一閃で倒したんだ、鮮やかなもんだったぜ」「光の魔法もあの子って本当か?」「小さいのに凄えな」
もしかして褒められてる?
「みんな褒めてるっすよ、昨日のウルフを仕留めるマコちゃん!カッコ良かったす」
カッコ良かったの?ルミの言葉に気分が上向く、そうか!カッコ良かった!そうでしょ、僕だって男の子、やる時はやるんだから!そう思ってニコニコしていたのに、遅れてやってきたダームさんに打ちのめされる。
「おっ!マコトはパンツ晒して回ってた事を引きずってウジウジしてると思ってたんだがな、調子良さそうじゃねーか」
一瞬で周りは凍りつき、アチャーと言う顔をしてる。
もしかしてみんな気を遣ってただけ?ダームさんは周りを見回し皆んなの反応にやらかした事に気付いた、僕はキレた、ゆらりと立ち上がるとダームさんに暴言を吐く。
「僕のパンツの事はどうでもいいの!説明!!今日の予定!!!」
「.......なんかすまん」
そう言ってダームさんは慌てて一度咳払いして説明し始める、周りの冒険者も僕から視線を逸らすようにダームさんの方に向き直った、僕も着席する。
「昨日のウルフは依頼の通り群れを殲滅出来た、今日は予定通り全員森の方の調査に入る!昨日マコトが倒した魔物の事は承知の通りだろうが得体の知れない魔物がいる可能性が高い!気を抜くなよ!じゃあ今から出発する、以上だ!」
冒険者達は無言で立ち上がると集会所を出て行く、トウコさんが「私達も行きましょうか」と言って立ち上がったので頷き付いて行く。
集会所を出ると冒険者は昨日入ってきた村の入り口へ歩いて行く、ダームさんは、村長や数人の村人と話していた、僕達はその横を通り過ぎ入り口に向かう。
村の前まで来ると王都から来た石畳で舗装された街道と森の中へと続く土を踏み固められただけの道に分かれている、冒険者達は誰とも言わず森の方の道に進んでいく。
僕達が森の方へ向かい出した時ダームさんが小走りで追いついて来た。
村の入り口では村長と村人が手を振っている、僕達は「お世話になりました」と言いながら手を振って森へと出発した。




