調査1日目?(前半)
門を出てから街道に沿って歩いていく、みんなそれぞれのパーティや仲間達で固まっている。
僕はトウコさん、アサギさん、ルミと、なんとなく一緒に歩く。
時折、荷馬車とすれ違うが、景色はあまり変わらない。
左手に森、右手に草原が広がっている。
最初に向かう先は王都に一番近い農村、そこで最新の情報を得、一泊して森に入って行くそう。
ずっと雨続きだったから道がぬかるんでないかな?とか少し心配してたけど、街道は石畳で綺麗に整備されていた。
出発してから僕の事をチラチラ見ていたルミが、突然僕に尋ねてくる。
「マコちゃん!マコちゃんは王都に来る前はどこに住んでたんすか?」
一番答え難い質問をブッ込んできた。トウコさんとアサギさんも興味有りげに此方を見ている。
話を逸らさなくちゃ!
「えっと、村だよ村!遠くの村!ところでルミさん!エル様って誰?!」
「えっと知り合いのおばさんっす、おばさん!」
なんだかヒヤッとした物が首筋を通ったような気がしたけれど、チラッとトウコさんとアサギさんを見るとスッと目を逸らされた、やっぱり触れられたく無い話しなんだね。
「それで、マコちゃんは本当に男の子なんすよね?」
「そうだよ?」
「なんで女の子の服着てるんすか?」
「...............お金が無いからだよ」
「.....そうっすか.....まあ似合ってるから良いんすけど.....」
「所でルミさんは、なんでそんな話し方なの?」
ルミは、よくぞ聞いてくれました!と、ばかりに饒舌に語り出す。
「子供ん時に見た漫画がキッカケなんすけど、スゲーカッコ良かったんす、武闘派の学園の生徒達が他国の学園と喧嘩したり、喧嘩したりするんす、こう見えてもウチ、学園にいた頃は、『殺戮のエンジェル』って呼ばれて恐れられてたっす、なのにオヤジのヤローが、ちょっと聖魔法の適性が有ると分かった途端に学園、中退させられて、教会に放り込まれたんす!教会は地獄す、毎日、毎日、修行、修行!ウチの直属の上司のクレリック!アイツは鬼っす!ぜってえ!いつか殺ってやるっす!」
ぽかーんとして聞いていた僕は、この世界にも漫画あるんだ、とそれしか頭に残らなかった。
そんな話をしている内に、柵に囲われた集落が見えてくる。
トウコさんが言うには、この村から魔物の討伐依頼も出ているらしく、情報を得がてら一泊して、森の探索に向かう予定らしい、村の入り口には、数人の村人が待っていた。
今回の調査のリーダーになるのだろう、『銀狼』のダームさんが、村長らしきおじいさんと話し出す。
僕も含めて他の冒険者達は「食事の準備が出来ているから」と村の若い男性に案内され、集会所らしい他の建物よりちょっと大き目の建物に向かう。
王都はレンガや石作りの建物が多かったが、村は平屋の木造の家ばかりだ、農業や酪農で生計を立てているのだろう、周りは畑が広がって各家々で家畜を飼っている。
集会所まで歩く間、案内人や村人からチラチラ見られてる気がしてちょっと俯く。
ルミは周りをキョロキョロ見回して僕に小声で囁く。
「村の人、みんなマコちゃんの事見てるっすよ」
「僕が恥ずかしい格好してるからだよね.....」
「何言ってんすか?違うっすよ」
何が違うのかわからないけど、恥ずかしくて俯き、スカートの端をキュと強く握る。
集会所に入ると、大きなテーブルが五つ並べられ、テーブルの上には沢山の料理が並べられていた。
それぞれ席に着き、案内してくれた村人がご自由にどうぞと言って、冒険者達は食事を始める。
僕はトウコさん、アサギさん、ルミとダームさん以外の銀狼メンバーと一緒の席に着く。「いただきます」と言って食べようかなとしていた時、村長と話をしていたダームさんが集会所に入ってきた。
ダームさんは入って来るなり皆んなに向かって話し始める。
「皆んな!そのまま食べながら聞いてくれ!予定通り今日は、この村で一泊する、泊まるのはこの集会所になる」
そう言ってダームさんはチラッと僕を見た、何?
そして、そのまま話を続ける。
「女性は村長の自宅に部屋を用意してあるからそっちに泊まってくれ!それから村からの討伐依頼も出ている、ウルフの群れが家畜を夜間襲っているらしい、交代で数名、見張りを立てる事になるな、見張りの順番は後程だ!以上!」
そう言い終わるとダームさんは僕たちのテーブルに来て食事を始めた。
僕も食事に手を付ける、ルミはダームさんが話していた間も気にせず食べ続けてたので、結構お皿の上は減ってる、お腹が落ち着いてきたのか僕に話しかけてきた。
「マコちゃんは勿論ウチらと一緒に泊まるんすよね?」
「なんで?僕は男の子だから此処でしょ?」
「マコトは村長の所に泊まれ!トウコもアサギもそれで良いだろ!」
突然ダームさんが話に割って入る、トウコさん、アサギさんも無言で頷く。
なんで?女の子扱いされてる?微妙な表情をしていたのを察したのか、ダームさんが言い募る。
「魔法使い枠だ!魔法使いは休養しとけ!それとお前達は見張りはいいからな!」
そう言ってダームさんは食事を再開した。
僕たち4人は「はーい」と言って食事を再開した。
粗方食事も終え、皆んなジュースやお茶を飲みながら歓談している、流石に昼間からお酒は出ないね。
僕もお茶を飲んでいた所で三人の若い村人の男性が声をかけてきた。
「あの!すみません!お名前を伺って良いですか?」
「僕ですか?マコトですけど何ですか?」
「マコトさん!可愛らしい名前ですね!」
僕は、この名前、可愛いか?と疑問に思いながら小首を傾げる。
横でルミが「うわ!あざといっす」と呟いたが無視、村人達は話を続ける。
「マコトさんは冒険者なんですか?」
冒険者と言われても冒険者らしい事はこの世界に来て全然出来てない、冒険者と呼べるんだろうか?
「普段は宿屋のお手伝いをしてますけど」
「そうなんですか!所でマコトさんは農業に興味は無いですか?」
え?なんで農業?人手不足?現代日本でも農家は人手不足だとニュースで言ってた、そんな事を考えていたら、横からルミが小声で「マコちゃんに農家に嫁に来ないか?って言ってるんすよ!」と囁く、まさかの嫁不足!女の子扱いされてた!
「あの!なんか勘違いしてません?僕、男の子なんですけど!」
村人達は訝しげに僕を上から下まで一度見て言う。
「ご冗談でしょ?」
それに対してルミが僕の代わりに答えた。
「ほんとっすよ、マコちゃんは男の子っす」
村人達は口を開けて驚愕の表情を浮かべる、そして探るように聞いてきた。
「では、何故そのような格好を?」
「.....お金が無いから、貧乏だから」
村人の中の一人が意を決したように叫ぶ。
「それでもイイ!俺んとこに嫁に来てくれ!」
「いや、無理だから!嫁とか無いから!!」
それでも食い下がろうとしている村人を若い冒険者が集会所から摘み出した。
冒険者達はこれから見張りの順番決めの話し合いをするらしい。
僕達は今日泊まる村長さんの家に向かう事にした。
村長さんの家は集会所に割と近い所に立ってた。
ただ他の家と違い、二階建てで二階からなら村全体が見渡せそう。
トウコさんが扉をノックすると、おばあさんが出て来て「待ってましたよ」と出迎えてくれた。
リビングのテーブルに案内され、お茶を出される、これといってやる事も無いのでおばあさんとお茶を飲みながらお話をして過ごす、おばあさんは孫が来ているみたいで嬉しいと言う。
子供達は皆んな王都に住んでいて、年に一回ぐらいしか顔を出さないそうだ。
そうこうしている内に日は暮れ始め、村長のおじいさんも帰ってきた。
皆んなで夕食をご馳走になる、他の冒険者も集会所で夕食が出されているそう。
夕食も終わり、今日、泊まる二階の部屋に案内された。
部屋に入るとベットが四つ、窓から夕日に染まった景色が見える。
窓に近づくと外はバルコニーになってた、バルコニーに出る扉もあったので皆んなで出てみる。
数件の家の先に家畜を放牧する為の柵で囲われた牧草地が広がり、その先には森が広がっていた。
部屋に戻りルミに聞いてみる。
「ルミさんは、僕が部屋一緒でも良いの?」
「え?なんか問題あるんすか?」
トウコさんとアサギさんも呆れたように言う。
「マコちゃんは何時もクリスと一緒に寝てるんだよね?何も問題無いと思うけど」
「問題無い」
僕は相変わらず男の子扱いされない事に半ば諦めつつ「そうですか」と呟き、ベットに腰掛けると、おばあさんがお風呂が沸いたからと呼びに来た。
皆んな僕に一番に入るように勧めるが、クリスとミリアのお風呂突撃が頭をよぎり、最後に入るのを譲らなかった。
トウコさんが先に入りアサギさん、ルミ、僕の順。
先に上がってきたトウコさんとアサギさんはスリップ姿だった、目のやり場に困る。
こんな所にパジャマとか持ってこないよね。
トウコさんとアサギさんは風魔法?で髪を乾かしているとルミも上がってきた。
ルミはキャミソールにショーツだけ、恥ずかしく無いの?
僕はクリスが用意してくれたバックの中を漁ってみると、クリスは替えの下着も用意してくれてた、キャミソールとドロワーズが入ってた!他にも何枚か入ってる。
お風呂に行ってゆっくり堪能してからクリスの用意してくれた下着で部屋に戻る。
恥ずかしいのでおずおずと部屋に入るとルミが「下着も可愛いいす!」と褒められた?
トウコさんが、おいでと手招きして言うので行くと、ベッドに座らせられ風魔法で髪を乾かしてくれる。
「マコちゃん、髪、綺麗だよね」
何と言って良いのか分からず取り敢えず「ありがとう」と言っておく。
お風呂にも入れてさっぱりできた。
一応仕事中な意識が何処かにあるのだろう、皆んな無駄話しする事なく「おやすみなさい」と言ってベットに横になった。




