調査の準備?
朝、クリスから起こされると既にミリアも起きていた。
なんでも、ミリアが僕をまだ起こさないようにクリスに頼んだらしい。
「マコトの寝顔はとっても可愛らしくて」
「変なことしてない?」
「見ているだけで幸せでした」
僕は呆れながらメイド服に着替え始めると二人も着替え始め、揃って食堂に向かう。
食堂ではいつものように朝食が用意されていて、お客さんが起き出す前に急いで食べてモーニングの準備を始める。
ミリアも僕たちに習って手伝ってくれる。
客も引けてコーヒータイム。
三人で食堂のテーブルでマッタリしているとミリアが訪ねてくる。
「今日はお二人共どうされるのですか?」
「マコちゃんと必要な物の買い出しに行くつもりだけど?ミリアは、今日も泊まるつもり?」
「夕方には父母が帰ってくるので、それまでには帰ろうと思います、お買い物は調査に行く準備ですか?付いていっても宜しいかしら?」
「僕は構わないけど、クリスも良い?」
「二人だけでデートしたかったんだけど.....仕方ないね」
「そんな羨ましい事は、許しません!絶対に付いて行きます!」
「じゃあ着替えてこようか?」そう言ってクリスは部屋へみんなを促した。
部屋に入るとミリアは昨日着てきた、お嬢様らしい清楚なワンピースをバックから取り出す。
クリスはクローゼットから前にデートで着たゴスロリと甘ロリを取り出した。
ミリアはそれを見て一瞬ぽかーんとした後、叫んだ。
「何ですか!?その服は!お揃いですか?当てつけですか?そんなの許しません!」
「そんな事言ったってミリア持ってないじゃん?」
「では、では、メイド服で行きましょう!コレならばお揃いです!そうしましょう!」
「えーこっちの方が可愛いのに!」
「そんな!後生ですから!クリスお願い!」
「クリス、メイド服で行こう.....こっちの方がマシ.....いや!可愛いよ!」
クリスはチロリと僕を見て、ミリアを見た後、はぁ、と溜息をついて「わかったよ」と言って渋々納得した。
三人揃ってお揃いのメイド服のまま宿を出かける、何時ものようにクリスと手を繋ぐとミリアがそれを見て「ズルイ!」と言って僕の空いてる手の方に手を繋いできた。
「クリス、何処で買い物するの?」
「ギルドの前に広場があるでしょう?そこの露店で揃うと思うよ?」
前にギルドに行った時ギルドの前の広場に露店みたいなのが建ち並んでたのを思い出した。
あそこで冒険者達も出かける前に必要な物を買い揃えるみたい。
前回は寄る事もなかったので、どんなお店があるかまで見てなかった、カッコいい武器とか防具もあるのかな?
そう考えている内にギルドが見えてくる。
広場の方に目を向けると食べ物屋さんや色んな露店がある、結構カップルや若い女の子も露店を見て回ってる、そんな中、若い女の子達の視線を感じた。
なんだか僕たちを見ながら話しているみたいだ、聞き耳を立てなくても聞こえてくる。
「あっあの子達だよ!エミカに居た子!」「本当だ!可愛い!」「一人増えてない?」
「今日格好違うね!あのメイド服も可愛い!」「私もあのメイド服買おうかな?」
「私せっかくあの服買ったのに!」
ん?あの服?言われて周りを見渡すと数人の女の子がゴスロリ、甘ロリを着てるのに気付いた。
「ねえクリス?エミカって何?」
「この間一緒に行ったじゃん?カフェエミーナ!略してエミカ!なんか服!真似されたかも!」
「え!マコト達は、エミカ行ったんですか?私も行きたかったです」
ミリアは凄く残念そうにショボーンとしてる、そうか!あのサービスの良いカフェはカフェエミーナって言うんだ!そうだよね、クリスは可愛いし、目立つ席だったしね。
「クリス目立ってたもんね!みんなクリスのマネしたかったんだよ!」
僕がそう言うとクリスとミリアは呆れたような顔をして「マコちゃん本気?」「マコトはもっと自覚してください!カフェの様子が容易に想像できますわ」と二人から怒られてしまった、なんで?
気を取直して調査の為の買い物をしなきゃね!
クリスが真っ先に向かう露店は缶詰や保存食なんかを売っている所、魚の干物もあるしスルメなんかもあるね。
クリスは前に僕にくれたビスケットみたいな保存食をいくつか手に取り、ドライフルーツの瓶を指差して露店のお兄さんにそれも2つ、と言って取って貰う。
「お嬢ちゃん達可愛いね!旅行かい?」
「まあね!」
クリスはお兄さんの問いに返す、旅行じゃ無いのになんで?とクリスの方を見るとクリスが気付いて僕の耳元で囁く、
「魔物調査って言えないでしょ?それからマコちゃん此処ね、値切りの作法があるんだけど.......」
調査の事はあまり言わない方が良いかもね?それに出来るだけ安く買いたいしクリスの言う値切りの作法を実践してみる。
指を胸の前で組み、上目遣いで小首を傾げて。
「お兄さん、ボク、あまりお金持ってないの、オマケしてくれる?」
お兄さんは顔が真っ赤になり暫く固まって。
「安くする!大まけにマケて半値でいいよ!」
「本当に?やった!お兄さんありがとう!」
嬉しさのあまり、思わずお兄さんの手を取って御礼を言うとなんだかデレっとした顔になり頭を掻いている、値切りの作法凄い!!
その後お兄さんは何か話しかけてこようとしていたみたいだけど、クリスが慌てて次の店に引っ張っていく。
目を丸くして僕を見るミリアにクリスが何か囁いてミリアが掌を拳でポンっと叩いて、僕にニコニコしながら言ってくる。
「マコトお願いなのですけど、私にもその作法をしてみてくださる?」
お願いの意味がわからないまま、お兄さんにしたように「ミリアお願い」と言ってみる。
するとミリアは、ほぉと吐息を吐いて。
「マコト!なんでも買ってあげます!!宝石?お洋服?」
なんだか目が血走っている、クリスは慌ててミリアをゲンコツで正気に戻す。
「はっ!!やっヤバイですわ!魔性ですわ!」
えっ?なんかちょっと怖い!この作法って魔法なの?魔力が流れた感じしなかったけど?
その後もクリスに連れられ魔法かもしれない作法を使いながら買い物を続ける。
クリスが後は、と言って僕をジッと見て尋ねてくる。
「マコちゃんって魔法、使えるじゃ無い?明かりをつける魔法とか生活魔法使える?」
明かりの魔法?照明って事?ゲームには無かった、必要無いから、ちょと考えて頭の中で電球みたいな明かりを考える。
すると目の前に、まん丸の光の玉が現れた。
「出来た!」
「じゃあランタン要らないね!後は水出せる?」
今度は水、みず、と思い浮かべる、水の玉が出てきた!
「水筒も要らないと」
「これ、どうやって飲むの?飲めるの?」
「吸えばいいんじゃない?」
クリスに言われて口を付けて吸ってみる、温い!冷たくなれ!と考えると中心部が凍りだした、慌てて考えるのを辞めてまた吸ってみる。
「冷たい、美味しい.....」
僕がポロっと零すとクリスもミリアも水の玉に吸い付いてきた。
「本当だ!冷たくて美味しい!」
「マコトが出した水だと思うと余計に美味しいですわ、マコトのエキスが出てるみたいで!」
「ミリア!変なこと言わないで!考えたら僕が飲めなくなるから!」
生活魔法が使える事が分かって、買わなければいけない物が減った。
大体必要な物を買ったけれど、結構お金余ってる。
クリスがチラッと残りのお金を見て僕の顔をチラッと見る。
「マコちゃんお腹すいたね?」
「もうお昼過ぎてるからね」
「何かマコちゃんの奢りで食べよう!付き合ったから良いよね?」
「そうですわね!マコトにお金を持たせるとロクな事に使わなさそうですし」
「ロクな事ってなに!」
残りのお金で男物の服を買える!とか思ってたけど、付き合ってくれたし、クリスはこの間も奢ってくれた、それに何より調査が終わればまた今度は沢山お給料貰えるし!と考える。
「良いよ!あんまり高い物は無理だけどミリアも奢ってあげる」
クリスもミリアもすんなり僕がOKするとは思わなかったのか、顔を見合わせる。
調査でお給料出る事忘れてるのかな?調査から帰ったら一人でコッソリ買い物しよう。
ミリアの提案で露店のクレープを食べる事にする。
クレープぐらいなら大丈夫!種類がいくつかある、トッピングが違うんだね。
ミリアが先に注文する。
「トッピング全盛りで!!」
「私も全盛り!!」
二人とも容赦なかった、僕も全盛りにした。
全盛りのクレープは結構お腹に溜まる、全盛りのクレープ三つ奢ったけれども、それでもお金はまだある!と思っているとクリスが「ポーション要るよね?」と言い出した。
クレープ屋さんの近くにはポーションを扱ってる店があるけど.....
「ジェシーの所行こうか?」
嫌な予感はしてた、やっぱりジェシーの所に行くのね?




