パジャマパーティー?
「それでは、早速お手伝いをしたいので着替えたいのですけれど」
「じゃあこっち」
そう言ってクリスはミリアを自分の部屋へ連れて行った。
しばらくコップ磨きをして待っていると、クリスとミリアが戻って来る。
何故かミリアは僕達と同じメイド服を着ていた。
「なんでミリアは、その服持ってるの?」
「お兄様の部屋を家捜ししていたら、10着程出てきましたので全て取り上げてまいりました、あの変態は女の子をどれだけ侍らすつもりだったのかしら?残りはクリスに全て差し上げました、替えも必要でございましょう?」
「そうだね、替えも必要.....」
僕が、そう言いかけると、クリスもミリアもニヤニヤしてる。
あっ!駄目だ、ダメダメ!早くこんな格好から抜け出さなきゃいけないのに!
クリスに洗脳され始めてる!
「替えとか必要無いから!今度のお仕事で自分の服買うから!」
そう僕が言っても二人は「そうなったら良いね」と言ってニヤニヤは辞めなかった。
絶対にお仕事成功させてやる!
三人でコップ磨きを始め、粗方終わった所でモップで食堂の床掃除をしていたら、冒険者達が帰ってくる時間。
何時も真っ先に宿に到着するのはあの人達、『銀狼』メンバーだ。
ダームさんが扉を開けてミリアを見つけると驚いた顔をする。
「イスドールん所の嬢ちゃんじゃ無いか?お貴族様が何でこんな所で働いてんだ?」
「私、クリスとマコトの友達になったのです、今日は、お泊りするのですよ」
友達認定されてたの?ミリアは友達居ないのかな?などと考えながら僕は何時もの席に案内すると、ダームさんは僕に問いかける。
「お前ら、なんで貴族の嬢ちゃんと友達になってんだ?」
「ルイ様の依頼で屋敷に行った時にミリアと知り合ったんですけど、ダームさん達もミリアと知り合いだったんですね?」
「俺達は、あの嬢ちゃん家に剣がぶっ刺ってたろう?玄関に、アレを抜いてくれ!って言う依頼で行ったんだよ、抜けなかったけどな」
「アレならマコトが抜きましたよ!」
「はぁ?!」
剣の話しが出た事でミリアは僕が剣を抜いたとダームさんに言う、でもそれは違う。
勝手に指輪に変わっただけだからね。
そう思って左手を見せながら訂正する。
「抜いた訳じゃ無いですよ、触ったら指輪に変わったんです」
ほう、と言ってダームさんは僕の左手を取り指輪をよく見ようと顔を近づけようとすると、突然ミリアがダームさんの手を叩く。
「お触り禁止です!」
「コイツは男だぞ!」
「絵面が不味いんです!」
やれやれと言った感じでダームさんは、ビールとつまみを注文する。
その後も次々とお客さん達はやって来るが、その中の数人はミリアを見てビックリした様子だったのでミリアが貴族の令嬢だと知っている人達なのだろう。
意外とミリアは一生懸命に働いている、しかもなんだか楽しそう。
子供の職場体験みたいなノリなのかも。
途中で交代で賄いを頂くのだけれども、それも美味しそうに食べてた、家のご飯の方がきっと良いものを食べてると思うんだけど。
お客さんも全て引けて、クリスがコーヒーを淹れてくれる。
「今日もお疲れ様!ミリア、あんた意外とやるじゃない」
「でも疲れましたわ、働くと言うのは大変なのですね」
ミリアは令嬢らしさのカケラも忘れて、ぐったりテーブルに突っ伏している。
僕も初日はとても疲れたのを思い出す、クリスがしてくれたようにミリアを労う。
「ミリアお風呂入って来たら?」
労うつもりで言ったのにミリアは何か考えているみたい。
「マコトはクリスと一緒に入るのですか?」
「はっ入らないよ!なんで!なんでそんな事になるの?」
「だってクリスは、その.....裸を.....」
そういえば言ってた、ミリアの家でそんな事!
クリスは視線を逸らすようにそっぽを向く。
「でもアレは事故だから!一緒に入ってる訳じゃ無いからね!」
「そうなのですか?私はてっきり.....まあ良いですわ、どうぞマコトがお先に入っていらして」
「マコちゃん先に入って来たら?」
ミリアもクリスも、どうぞどうぞと僕に先に入るように促す。
なんだかこの二人急に仲良くなった?
進められるので仕方なく先にお風呂を頂く事にする。
今日もよく働いたなっと思いながら頭と体を洗い湯船に浸かろうかと立ち上がった時、脱衣所の方から何やらゴソゴソ音とコソコソした話し声が聞こえた気がした。
嫌な予感的中、僕は慌てて浴室の扉を抑えにかかる、と同時に浴室の扉のノブがガチャガチャしだす、僕は必至に扉を抑えた。
「マコト!一緒に入りましょう!」「早く開けなさいよ!」
「何やってるの二人共?!辞めて!無理だから!」
「大丈夫だから!」「女の子同士ではありませんか、恥ずかしがらずに!」
「大丈夫じゃ無いから!女の子違うから!恥ずかしいから本当にやめて!」
しばらく浴室の扉の前での攻防が続いていたが、騒ぎに気付いたおばさんから二人はつまみ出された。
お風呂上がり僕はベットの上でタオルで髪を拭いて乾かす。
長いので時間がかかって仕方ない、そうしてるとミリアとクリスがお風呂から上がって部屋に入って来た。
ミリアは僕が髪を乾かす様子をチラッと見て持って来ていたバックから丸い筒状のものを出しそれを持ってベットに上がると自分の前の布団をぽふぽふと叩きながら僕に向かって言った。
「マコト、此処に背中を向けて座ってくださる?」
僕は何だろう?と思いながらもミリアに言われた通りに座る。
するとフワッと暖かい風が髪を撫でる、ミリアの手が髪に触れサワサワと風を行き渡らせる。
「ミリア?これドライヤー?」
「あら、良くご存知ですね?」
「前、居た所で使ってたから.....」
ドライヤーがある事には驚いたが、クリスの問いには咄嗟には美味い返事を返せなかった。
突っ込まれたら何と答えようか思案していたらクリスが会話に入ってきた。
「ミリア!それ何?」
「暖かい風を送って髪を乾かす魔道具ですわ」
「へー!便利!私も欲しい!でも高いよね?魔道具.....」
「僕も欲しいな、髪乾かすの大変なんだよね!」
「そうですわね、高いのは高いのですけれど.....差し上げますわ、寮の部屋にも同じ物が有りますし、お二人で一緒にお使いになるでしょう?」
「「良いの?」」
「わぁーい!ミリア大好き!!」
そう言ってクリスはミリアに抱きつく、ミリアは「泊まらせて頂いたお礼です」とちょっと照れ臭そうに呟いた。
僕の髪が乾いたのでミリアの髪を僕が乾かしてあげた、そのあとミリアがクリスの髪を乾かしながらクリスに問いかける。
「クリスは何時も髪型はツインテールにされているのですか?」
「そうだね、何で?」
「それは、狙ってやっているのですか?」
「はぁい?」
「嫌.....ツンデレで金髪ツインテ、狙ってやってるとしか.....」
「それ何処情報?」
「じゃあ?ミリアはなんで金髪縦ロールじゃ無いの?」
「其れこそ何処情報でございますの?」
そんなミリアとクリスの会話を聞きながら、ふとミリアの格好が気になった。
パジャマだ、花柄の可愛らしいパジャマなのだけど、僕は自分が着ているネグリジェを摘んでパジャマと見比べる。
クリスがそれに気づいて僕に聞いてくる。
「マコちゃんもパジャマが良かった?」
「えっ!クリス、パジャマあるの?」
「あるよー」
そう言ってレースがあしらわれたパジャマを2着出してきた。
クリスは「お泊まり会はパジャマじゃないとね!」と言って着替え出す。
僕もネグリジェよりマシと思い着替える。
その様子を見てミリアは疑問を呈した。
「何時も一緒に着替えているのですか?」
「「そうだね」」
ん?そうだ!普通は男女一緒には着替えない。
なんだか当たり前になってたけれど、兄妹ならあるのかな?
クリスはそんな感じに思ってる?
解らないから考えない事にする。
三人共パジャマになってベットに潜り込む。
僕が真ん中になる、真ん中は嫌だと言っても無理矢理真ん中にされた、流石に三人はキツくって、ベッタリくっついて眠る。
コレを異世界ハーレムと言うんだろうか?違う気がする。




