表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/84

メイド?

クリスに手を引かれ大通りを歩く、昨日来たカフェを通り越して更に先まで。

途中大通りを交差する大きな道をいくつか通り越して結構歩いた、お店や小さな住宅が立ち並んでいた景色がだんだん変わって来て大きな庭のある立派な邸宅がチラホラと建ってる、その中でも一際公園のような大きな庭のある『豪邸』な邸宅の前でクリスは立ち止まった。


「ここなんだけど、仕事で来たから裏口に回ろうか?」


と言って裏口を探してまた歩き出す、高い塀が続く、暫く歩いてやっと小さな門を見つけた。

勝手に入るのもどうだろうかと思い辺りを見回すと見慣れたものが。


どっからどう見てもインターフォン。

クリスは恐らく魔道具じゃないかと言う、始めて見た物らしい。

使い方は同じだろうと思い僕がスイッチを押すと。

ピンポーンと聞き慣れた音、そしてどちら様ですか、と女性の声がした。


「「ギルドの依頼を見て来ました」」


「中へどうぞ」


女性の声がそう言うとガチャリと音がして門が自動的に開いた。

門をくぐると目の前には大きなお屋敷の裏口があり開こうとドアノブに手を伸ばそとすると勝手に扉は開いた。

中からマンガに出てきそうないかにもメイドさんな格好の20代前半位のメイドさんが出てきて僕とクリスを一瞥すると。


「お二人とも合格ですね、サーニャは流石ですね、どうぞ中へ」


と言って中へ招かれる。

中に入るとそこは然程広くない部屋に小さなキッチンやダイニングセットとソファーの応接セットがありソファーに座るように促される。

メイドさんはキッチンに向かい紅茶を用意してトレーに乗せこちらに戻ってくると、トレーから紅茶をそれぞれ応接セットのテーブルに置き僕達の対面に座り口を開いた。


「私、メイド長をしております、カロリーナと申します、カロンとお呼び下さい、早速ですが今日から働いていただけるのでしょうか?」


「クリストファーです、クリスって呼んで下さい」


「マコトです、今日から大丈夫ですけど、仕事内容を教えて貰えますか?あと、審査って書いてあったのですけど審査の内容って何だったんですか?」


僕は思っていた疑問点を尋ねるが、クリスはなんともない風に紅茶に手をつけてキョロキョロしてる。

クリスは何となく仕事内容とか察してたのかな。


「マコトさん、クリスさんですね、お二人方は審査合格ですね、坊っちゃまが気にいるかが審査なので、私からみてお二人とも大丈夫だと判断しました、お仕事は坊っちゃまのお相手と身の周りのお世話になります」


坊っちゃまのお相手か、小さい子なのかな、ベビーシッター的な。

それなら仕事が夕方までなのも納得いく。


「それでは早速仕事着に着替えて仕事をして頂きます」


仕事着が入ったカゴを渡されて隣の部屋に案内される。

案内された部屋は従業員のロッカールームなのだろう、幾つも棚が有り仕事着に着替えたのであろう、洋服が沢山ハンガーに掛かってる従業員は結構多いみたい。

広いお屋敷だしね。


空いている棚を見つけ受け取った作業着に着替えようとカゴから出して固まった。


スカートがやたら短いフリルが付いたメイド服。

カロンさんが来ていた仕事着とは明らかに違う。

クリスの方を見てみると僕と同じメイド服を何だか楽しそうに着替えてる。


「マコちゃんも早く着替えなよ?あっ!パニエはそのまま履いててね!」


「え?おかしくない?」


「ん?パニエ履いてた方が短いし可愛いよ?」


「違う!!そうじゃなくて.....僕、おと」


言いかけたのを遮るようにクリスは。


「仕事着だからね!それにお給料高いよ?」


ニヤニヤとしてるクリスに、嵌められたと気付く。

でも給料高いの言葉に、言いたい言葉を飲み込む。

恥ずかしいのを我慢して着替える、レースの付いたカチューシャも付ける。


着替えました、と先程の部屋に戻ると、カロンさんに今度は厨房に連れて行かれた。

もうすぐ坊っちゃまの昼食の時間になると言う。

坊っちゃまへの紹介がてら、昼食の給仕をするように言われる。

僕たちがお世話する坊っちゃまは、ルイフォルドと言う名前らしい、ルイ様と呼ぶように言われる。

ワゴンにはオムライスと紅茶のセットが載せられてる。お子ちゃまだ、お昼はオムライスとか可愛いね。

良い子だったらいっぱい可愛がってあげようとクリスに言ったら微妙な顔をされた。


僕とクリスはワゴンを押してカロンさんに付いていく。

玄関ホールを横切る、床は大理石だろうか、それに玄関だと言うのに途轍もなく広い。

「お金持ちめ!」と心の中で悪態をつきつつ玄関を見回すと玄関のど真ん中に奇妙な物がある事に気づく。

大剣だった、太くて長い剣、大理石の床に突き刺さってる。


「あれ.....何ですか?」


気になってカロンさんに尋ねる、気になったのはあの大剣の事を僕が知っていたから。

知っていたと言うより持っていた。

あの大剣はゲーム内で僕が装備していた大剣だから。


「ああ!邪魔ですよねアレ!私が此方で働く前からあの場所にあったそうですけど」


おそらくカロンさんが此処に来る前からなら、詳しく尋ねてもそれ以上詳しい事は分からないだろう。

気にはなりつつも仕事中だし大剣の事は頭から外す。


玄関を抜け長い廊下を歩いて行く、扉がいくつも並んでいて扉の間隔が長い。

部屋もそれぞれ広いんだろうね。

廊下の所々に置いてある高そうな調度品を眺めながら歩くと、ひとつの扉の前でカロンさんは立ち止まった。

カロンさんは扉をノックしてルイ様、昼食をお持ちしましたと、返事も待つ事なく扉を開ける。


扉を開くとそこにはカロンさんと同年代ぐらいの、割とイケメン銀髪の青年が窓際の執務机に座って書類束を眺めていた。

子供と違った、勘違いしてた、この人がオムライスを食べるんだ。


「ルイ様ご所望の専属メイド、マコトとクリスです」


そう言ってカロンさんは僕たちを前へ押し出す。

ルイは書類から目を離すと、玩具を得た子供の様に目をキラキラさせて僕とクリスを上から下まで眺め見てから、僕の方をジッと見て口を開く。


「黒髪の方がマコトか?マコト、早く、早くオムライスを用意するんだ!」


そう言われて執務机の書類の束を端に退けてワゴンからオムライスとスプーンをルイの前に置く、カロンさんはクリスに宜しくと言い退出して行き、クリスは紅茶を淹れる。

ルイはオムライスと僕を交互に見てオムライスに手をつけない。

僕は、その様子を不思議に思い小首を傾げるとルイが痺れを切らした様に言う。


「マコトケチャップだ!ご主人様大好き!と書くのだ!」


言われた事に一瞬ポカーンとしたが、オムライスにケチャップ無いと味が無いよね。

ご主人様大好きには納得できないけど、仕方なくケチャップでご主人様大好きとハートマークを書く、僕なりの気遣いだ。

書いた物を見てルイは満足気に頷いて、また僕を見て言った。


「マコト!愛情注入だ!」


「あっ.....アイ?」


「ハートを作って萌え萌えキューンだ」


呆然とする、何処のメイド喫茶なの?

クリスに目をやると頷いている、「やるのアレ?」「マジで?」頭の中でぐるぐるしながら。


「もっ萌え萌えキューン!」


ルイは最高の笑顔でスプーンを僕に差し出す。

何それ、「食べさせろ」と.....僕に食べさせろと言ってるの。

嫌でも雇い主、諦めて食べさせる。


「はい!アーン!」


------------------


失礼します、と言ってトレーを押してクリスと一緒にルイの部屋を出る。

扉が閉まった途端クリスが、ブフッと吹き出して口を抑える。


「もっ萌え萌えキュ、ブッ!ブフッ!」


僕は顔が熱くなる、きっと今、真っ赤になってるんだろう。

アーーーー!!!!と叫んで頭を抱えしゃがみ込む。

クリスは口に手を当て笑いを堪えているが堪えきれていない。


「クリスがやれば良かったじゃない!」


「そこは、マコちゃんご指名だから、ブッ!」


モーーーー!!!!と叫んでガバッと立ち上がり、お腹と口を抑えて涙目になってるクリスの両方の頬っぺたを掴んで摘まみ上げる。


「いひゃい!いひゃい!ごへん!ごへん!」


「もう笑わない?!この事周りに言ったら絶対!ダメだからね!!」


「ひゃい!ひゃい!ひいまへん!!」


「良し!」と言って手を離した。

マコちゃん酷い、と言ってクリスは頬を擦る、酷いのはクリスの方だよ。


厨房にワゴンを持って行くと、後はルイの部屋に夕方まで居てお茶出しと話し相手でもしていれば良いとカロンさんが言うのでルイの部屋に向かう。

あの残念イケメンの部屋にいるのは、正直言って何させられるか分からなくて怖いけれど、これもお金の為、我慢、我慢。


ルイの部屋に着き、ノックして声を掛ける。


「ルイ様、マコトとクリスです、入っても宜しいでしょうか?」


一瞬入るな、とか言われるのを期待したけれど現実は違った。

扉が勢いよく開き、中からニコニコ顔のルイが顔を出す。


「早く入れ!」


そう言ってルイは僕とクリスを部屋に引っ張り込む。

ルイは、執務机の前にある応接セットの一人掛けの椅子にクリスを座らせ、僕には長椅子の方に座らせる。

そして執務机の引き出しから何かを取り出し長椅子の僕の隣に腰掛けると頭を僕の膝に預けて横になった。


「!................」


膝枕.....そしておもむろに耳掻きを取り出し僕に渡す。

何処の耳掻き屋さん?呆気に取られてチラッとクリスに目をやると、そっと目を逸らされた。

この子、僕を生贄にする気だ、諦めて耳掻きを始める、恥ずかしい。


耳掻きを始めてから何だか足の辺りがモゾモゾする。

虫だと思い耳掻きの手を止めて払おうとしたら、なんとルイの手だった。

太もも触ってる、キモい。


「触るのやめて下さい!」


ルイは顔も向けずに「コッチは金払ってんだ!」と、ゲスい言葉を吐いてパニエの中に手を入れようとするので、その手を抑えて。


「本当にやめて!!僕、男の子だから!!」


叫んだその時、バーンと大きな音を立てて扉が開いた。

クリスと年は変わらない位の長い銀髪をサイドに結えた美少女が仁王立ちして居る、隣にはオロオロしたカロンさんが美少女とルイを交互に見ている。

美少女はスゥーと一度吐息を吸ってお腹の底に響く様な大声で叫んだ。


「何をなさってるんですか!!!!!お兄様!!!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=84547103&si
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ