その2の2 罰として姉さん登場シーンボッシュート
タイトルのあれ、なんやねん。ちょっとした状況の説明のために入れた話みたいな感じぃー。次回はようやく学校!
「…うぇ、血が口に入った」
先程までの凛凛しい顔はからは考えられないような崩れた顔になる啓太。
「どうするか。さすがにもう持って帰れない…」
既に大きな生物で手いっぱいだったので、啓太にはこの五匹の生物を持って帰るのは正直しんどいらしい。
「…ん」
そこに風を切って足音も立てずに近づいてくる気配があった。それはフィリア…もとい、優華だった。
「お兄ちゃん…」
「優華か」
啓太は考えた。
今優華は手ぶらだ。おそらく一度持って帰ったのだろう。きっと
「持ってくれないか?」と言えば快く引き受けてくれるだろう。いや、しかし待てよ?兄と呼ばれるものとして妹にこんなことを頼むのは恥ずかしい事なのでは?
この間わずか0.3秒。
「どうやら持って帰らなくてもいいみたいです。処理班が別行動しているのを確認しました」
「…そうか」
では今までのはなんだったのかと問いたくなった啓太であった。
「もう時間を過ぎました、帰りましょう」
「わかった…そうだ、優華」
啓太はこの際だからはっきりさせておきたい事があった。
「なんですか?」
「…ん。いや、これは姉さんにも話した方がいいな…すまん、家に帰ってから話す」
「…?…わかりました」
ある研究所から実験体が何匹か逃げ出した。その一つが妖魔と呼ばれるものである。
妖魔といっても本物では無い。研究所で生まれた、失敗作なのだという。だから名前が無かったので、呼びやすいように組織が名前をつけた。
肉食で、満腹を知らない。非常に危険な生物である。しかし、夜行性なために、まだ存在が知られていない。
「だから俺たち『ミカエル』の出番。町の住人に知られる事無く妖魔を絶滅させる」
「その通りです。それも明日で終わりでしょう」
二人は帰路についていた。人も車も通らない、すべてが寝静まっている時刻。
ミカエルとは啓太が所属している組織。存在は極秘であり、日本国政府のみがその存在を知っている。
「ところで姉さんは?」
「早々に切り上げて家に戻っていました」
「そうか」
………………
「…」
「…」
「…優華」
「はい」
「…まぁ、なんだ…コミュニケーション能力は大切だぞ。この任務やっていくには」
「…はい」