8 新たな旅立ち
一晩ゆっくり寝てステータスを確認してみた。
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堂島雅史:レベル3
HP:191/270
MP:176/176
種族:人間
職業:ビーストテイマー
状態:平常
スキル
魔獣使役:レベル1
魔獣鑑定
魔獣回復:レベル1
キツネの精霊の加護
使役魔獣
グレイ:レベル12
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グレイ:レベル12
HP:242/364
MP:128/128
種族:ハイイロオオカミ
職業:なし
状態:平常
スキル
噛みつく:レベル3
切り裂く:レベル4
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どうやら、MPと比べるとHPの回復は遅めの気がする。俺もグレイもMPはマンタンになっていたが、HPはマンタンまで少し遠そうだ。
HPの回復量を見ると俺よりグレイの方が多そうに思える。回復量がそれぞれ見れないステータスの何かの値に比例するのかとも考えたが、単純に最大HPに比例するのかもしれないな。
そうでないと最大HPの高い、強い魔獣はなかなかHPが回復しなくなってしまう。そう考えるのは自然であろう。
俺は自分に一回、グレイに二回「回復」を使っておいた。どちらもこれでHPはマンタンに近い。
ムチャな戦い方をしなければ大丈夫だろう。
再び崖の近くの森に足を踏み入れるわけだが、あのトラのような魔獣は特別強いやつなんだよな。
あのクラスの魔獣がウヨウヨいたのでは、グレイとの旅でも心もとない。
俺もサバイバルナイフを構えて注意深く先に進む。
昨日、トラと戦った場所まで来ると、トラの死骸は食い荒らされた後だった。少なくともこの森には他にも肉食獣が生息しているってことだよな。気をつけよう。
俺たちはそのまま進むと小柄なクマといった感じの魔獣と出会った。
こちらを威圧しようとしてるから、そのまま通り抜けることはできなさそうだ。
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リトルベア:レベル6
HP:300/300
状態:平常
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「グレイ、いけるか?」
「うぉん!」
なんか自信ありげな鳴き方だからいけそうなんだよな。
こいつ少なくとも俺よりはHPが高いぞ!
「グレイ、いけ!」
俺の指示でグレイはクマに飛びかかり顔面をツメで引き裂いて、すぐにクマの攻撃範囲から離れる。
クマが腕を振り回すが、空振りに終わる。
そうしてクマが体勢を崩したところにグレイが攻撃して、またすぐに離れるというそんな戦闘だ。
うーん、ラビとの戦闘の時も思ったけど、戦闘って完全にオートモードなんだよな。
いろいろ細かい指示とか出しても意味なさそうだし、どこまで俺の意思が細かく通じてるのかもわからない。
グレイは結構考えて戦ってるようだし、この速度で動かれると指示とか出せないからちょうどいいと言えばちょうどいい。
きっとグレイが話せたらこう言ってるんだろうな。
「当たらなければどうということはない」
って。
結局グレイは一度もクマの攻撃を食らうこともなくすぐに倒し終えた。
レベルが低めとはいえ、HPはグレイと比べてもそれほど差がないのにこれだけの圧勝か。
魔獣の強さがイマイチピンとこなくて困る。
レベルとHPしかわからないからな。「魔獣鑑定」のスキルはスキルレベルがなさそうだから、ずっと情報はこれだけなんだろうな。
基本的にHPよりレベルを参考にするしかないか。
「くぅーん」
グレイが戻ってきたので、俺はグレイをめいっぱい褒めてやることにした。
「グレイ、強いぞ。すごいなぁ」
そう言いながらグレイの頭をなでてやる。
グレイはしっぽを振ってるからこれで喜んでるんだよな。
グレイがクマに噛み付いている。食事か? とも思ったが、胸のあたりに噛み付いた後、俺を見つめてる。
ははーん、昨日のトラと同じく、胸のあたりを切り裂けってことだよな。
俺はクマの胸を切り裂いてみると、昨日のトラよりははるかに小さいが赤く輝く宝石のようなものが出てきた。
これいったいなんだろうな? 俺はよくわからないまま、その赤い宝石をリュックにしまっておいた。
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グレイ:レベル13
HP:364/380
MP:108/132
種族:ハイイロオオカミ
職業:なし
状態:平常
スキル
噛みつく:レベル3
切り裂く:レベル4
危険感知:レベル1
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俺の方は変わりなかったが、グレイがレベルアップしたようだ。
そういえば昨日、グレイはあんな大物を倒してるんだからな。
トラと戦っていたときは俺とグレイは別に共闘関係でなかったから、トラを倒した経験値のほとんどはグレイの方に入ったと思う。
ゲームとかだと、経験値の割り振りはそんな感じだからな、ラストアタックボーナスとかがあるのかどうかは知らないけど、トドメを刺したのもグレイだったし。
きっと、あの時点でレベルアップ目前だったのだろう。
グレイはレベルアップして「危険感知」というスキルが増えているようだ。
このスキルの詳細もわかるのかな? と思い浮かべると詳細な情報が表示された。
どうやら、使役魔獣のステータスも自分と同様の扱いのようだな。
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危険感知 レベル1 常時発動
危険を感知しやすくなる。眠っているときでも一定確率で感知する。
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これはいいな。夜とかグレイも俺も一緒に眠っているからな。
一定確率ってところが不安ではあるが、なかなか寝ずの番とかできるものでもないから。