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異世界もふもふ調教師  作者: 鳴嶋ゆん
プロローグ
7/16

7 強き仲間

 勝ったのか。

 いや、勝ったと言うより生き延びることができたんだ。


 痛みで気が遠くなりそうなので俺は自分に「回復」を一回使った。まだHPがほとんど回復していないが、MPが残り少ない。

 まだ痛みはあるがとりあえず出血だけは止まったようだから残りは後回しだ。

 この残りのMPでやらなくてはならないことがあるんだ。


 瀕死のオオカミに俺は近づいた。

 幸いなことにオオカミは俺を襲おうとする意思はなさそうだ。

 オオカミは出血が激しい。このままほっておいたら死んでしまいそうだ。


 俺はオオカミと向き合った。

 頼むから一度でテイム成功してくれよ。そうじゃないと、お前を回復するMPが足らないんだ。

 俺の回復スキルは自分と使役魔獣にしか使えないからな。


 俺は祈る気持ちでオオカミの目を見つめ「使役テイム」と念じた。


 どうやら成功したようだな、俺はふーっと一息ついた。


 ☆★☆

 堂島雅史:レベル3

 HP:108/270

 MP:21/176


 種族:人間

 職業:ビーストテイマー

 状態:平常


 スキル

 魔獣使役:レベル1

 魔獣鑑定

 魔獣回復:レベル1

 キツネの精霊の加護


 使役魔獣

 (ハイイロオオカミ):レベル12

 ☆★☆


 俺のMPも残り21。本当にギリギリだなと思いつつ、残ったMPでオオカミに「回復」を使った。


「くぅーん」

 オオカミが甘えた声で俺にすり寄ってくる。

 さて、こいつにも名前をつけてやらなくっちゃいけないか。

「ハイイロオオカミだから『グレイ』でいいか?」

「わぅーん」

 いいってことだよな?

 しっぽ振ってるからいいってことだとしよう。


 ☆★☆

 グレイ:レベル12

 HP:82/364

 MP:48/128


 種族:ハイイロオオカミ

 職業:なし

 状態:平常


 スキル

 噛みつく:レベル3

 切り裂く:レベル4

 ☆★☆


 よし、頼りになりそうな仲間ができたぞ。

 これでなんとか先に進むことができるだろう。


 と言っても俺もグレイも傷だらけだから、ここは一休みしてからだな。

 グレイの仲間だったオオカミたちを埋めてやって俺たちは一度引き返してじっくり休むことにした。

 トラの胸からサバイバルナイフを取り戻すのを忘れたら大変だな。


 俺がトラからサバイバルナイフを引き抜くと、グレイはトラの胸元に噛み付いた。

「え、お前、これ食うの?」

 トラの肉ってなんか硬そうで美味しくなさそうなイメージあるんだけどな。

「わぅーん」

 何言ってるのかわからないよ!

 なんか、食えって言ってるような気がするんだよな。

 とりあえず、俺はサバイバルナイフでトラの腕を一本切り落としそれを持っていくことにした。

 いくらなんでも生じゃ嫌だからな。


 俺が行こうとすると、グレイが俺の服のすそを噛んで引っ張る。

 なんだ? 腕一本じゃダメなのか?

 グレイが先程俺がサバイバルナイフを抜いたところにまた噛み付いて、肉を噛みちぎっている。

 胸のところに何かあるのか?

 俺はサバイバルナイフをもう一度胸に突き刺して、肉を切り裂いた。

 すると、何かの塊が刃先にあたる感じがした。

 そのあたりを注意深く切り裂いてみると、俺の拳より少し小さいくらいの赤く輝く宝石のような塊を取り出すことができた。


「これなんだ?」

 俺がその塊をグレイに見せると、

「わぅーん」 

 グレイは嬉しそうに一鳴きした。

 うーん、わからん。とりあえず、リュックにしまったおいた。


 川沿いに戻って火を起こす。

 先程、切り取ってきたトラの腕をそのまま焼いてみた。

 匂いはいいんだよな、匂いは。


 美味しそうに焼けたので、一切れ焼き肉のタレにつけて食べてみた。

 想像どおり硬いよ。でも臭みはなくて食べれないことはないな。


「くぅーん」

 なんかグレイも欲しそうだな?

 生肉じゃなくて焼き肉も食べるのか?


 焼けた肉の半分を皿に乗せてグレイの前に置いてみたが、「待て」のポーズのまま俺の顔をじっと見てる。

 俺、「待て」とか教えてないぞ。

 もしかして、焼肉のタレもほしいのか?

 俺が焼肉のタレのビンを示すと、しっぽを振ってる。

 どうやら正解だったようだ。

 グレイの前の皿の肉に焼き肉のタレをかけると、

「わぅーん」

 と一声鳴いて、ガツガツ食べ始めた。しっぽの振り方が激しくなってるから、どうやら気に入ったようだ。

 これ残りがそれほどたくさんあるわけじゃないんだからな。


 俺とグレイは安全と思われる川の近くで、HPとMPを回復するため一晩休むことにした。

 グレイをもふもふしながら横になる。

 ラビよりボリュームがあってたっぷりと、もふもふできるな。

 グレイも嫌がってなさそうだ。と言うより、しっぽをぶんぶん振ってるからきっと気持ちいいんだろう。


 とにかく、これでやっと前に進むことができるだろう。

 グレイといっしょに戦ってレベルを上げながら、人間の住む街を探すことにしよう。

ということで、ここまでがプロローグって感じです。

ちょっと一区切りってことで、次からのお話に期待していただけるなら、ブックマークとか評価とかもらえると嬉しいです。

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