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異世界もふもふ調教師  作者: 鳴嶋ゆん
プロローグ
6/16

6 死闘

 力がほしい。

 俺は切実にそう思った。


 今のままじゃ強い仲間を使役テイムすることなんてできやしない。

 それならば俺が強くなるしかないじゃないか。


 それまでの食べるために殺すという自分への戒めを俺は辞めた。

 たとえ自然のことわりに反することになろうとも、俺は強くなるために戦う。

 そのためには、俺が倒せることができる敵を虐殺するしかない。


 今のままさっきの敵と向かい合っても殺されるだけだ。俺は自分の倒せる相手を選んで殺し続けることで強くなる。

 そう、ゲームのように強くなるためだけのために、動物たちの命を奪ってやる。

 キツネ一匹を避けて死んでこっちの世界で生き返った俺が、こっちの世界で動物を虐殺するとか冗談にもならないよな。


 俺はかつて来た川沿いを少し上流に戻り適当な敵を探し始めた。

 真っ先に見つけたのは白黒のブチのウサギ。


 ☆★☆

 プチマダラウサギ:レベル1

 HP:64/64

 状態:平常

 ☆★☆


 何故かウサギは逃げないんだよな。そんなウサギを虐殺することに忌避感はあるが、今更それで躊躇することもなく。

 俺は石でウサギを殴りつける。その程度の攻撃ではまだまだウサギも殺せやしない。

 ウサギも必死で抵抗するが時間さえかければ、十分に倒せる。


 やはり、使役魔獣なしでのタイマンは被ダメージも大きくなるが、それでもウサギ程度をテイムしていても大した差があるわけでもなさそうだ。

 そのままどんどん、あたりのウサギを虐殺し続けるんだ。きれいごととか言ってられない。

 もうどれだけ殺したことだろうか。

 体のあちこちが打撲やら擦り傷やらでずいぶん痛いし、心も痛い……


 ☆★☆

 堂島雅史:レベル3

 HP:148/270

 MP:172/176


 種族:人間

 職業:ビーストテイマー

 状態:平常


 スキル

 魔獣使役:レベル1

 魔獣鑑定

 魔獣回復:レベル1

 キツネの精霊の加護


 使役魔獣

 なし

 ☆★☆


 やっとのことで、レベル3までレベルを上げることができた。

 そして得たスキルは「魔獣回復」。


 ☆★☆

 魔獣回復 レベル1


 本人および使役魔獣のHPを回復することができる。

 本人または使役魔獣を指定して『回復』と念ずることでHPを回復する。

 ☆★☆


 やっとのことで、戦闘に役立つスキルを入手することができた。

 さっそく自分を指定して、「回復」と念じてみた。


 自分の周りに青っぽいエフェクトが出たかと思うと、いくぶん体の痛みが和らいだ気がする。

 なんか魔法っぽい! 異世界って感じがしてきたよ。

 ステータスを確認すると、HPが60回復して、MPが20消費されているようだ。

 もう一度、「回復」と念じて、HPをほぼいっぱいにしておいた。


 このスキルがあればある程度強いモンスターでも、自分を回復しつつ敵のHPを削っていけば、テイム可能なHPまで削れるんじゃないか?

 俺は意を決して、もう一度崖の近くの森を目指した。

 ある程度、強い敵と言ってもさっきのトラみたいなのはムリゲーだ。

 もう少し弱めのギリギリなんとかなりそうなモンスターはいないだろうか?


 しばらく進むと戦ってる気配を感じる。

 俺はサバイバルナイフを構え、用心深くそちらへ近づいていった。


 木陰からそっと覗き込むと、どうやらあのときのトラのようだ。

 戦いの相手はオオカミみたいだ。三匹のオオカミの群れとトラが戦っている。


 ☆★☆

 イービルタイガー:レベル28

 HP:753/829

 状態:平常

 ☆★☆


 ☆★☆

 ハイイロオオカミ:レベル18

 HP:463/520

 状態:平常

 ☆★☆


 ☆★☆

 ハイイロオオカミ:レベル16

 HP:442/488

 状態:平常

 ☆★☆


 ☆★☆

 ハイイロオオカミ:レベル12

 HP:330/364

 状態:平常

 ☆★☆


 それでもオオカミたちはうまく連携をとりながら、トラを撹乱しつつ、少しずつHPを削ってるようだ。

 この分ならトラを倒すことも可能かもしれないと思ったが、トラは作戦を変更したようだ。他の二匹のオオカミを無視して一番レベルの高いオオカミだけを集中して攻撃してる。

 ニ匹のオオカミは必死にトラを攻撃しているが、一番レベルの高いオオカミはすぐに息絶えたようだ。


 トラは続いてニ番目にレベルの高いオオカミにターゲットを変えて攻撃し始めた。そして、同じように二番目にレベルの高いオオカミも息絶えてしまった。

 トラとオオカミはタイマンとなった。

 もうこうなっては結果は見えている感じだ。

 トラが最後のオオカミに襲いかかった。


 ☆★☆

 イービルタイガー:レベル28

 HP:140/829

 状態:平常

 ☆★☆


 ☆★☆

 ハイイロオオカミ:レベル12

 HP:22/364

 状態:瀕死

 ☆★☆


 今しかチャンスはない! 俺は後方からトラの背中にサバイバルナイフを突き刺した。

 だが非力な俺のサバイバルナイフでの攻撃だけではトラのHPを少ししか削れなかったようだ。

 トラが怒りの目を俺に向けてきた。もう瀕死のオオカミより、俺を殺すことを優先したようだ。

 トラのツメが俺の顔面めがけて飛んできた。しかしヘルメットがトラのツメを防ぐ。

 襲いかかってきたトラに伸し掛かられた俺はそのままサバイバルナイフをトラの胸に突き刺した。

 トラの重みのおかげでサバイバルナイフは深く突き刺さったようだ。


 しかし、トラの攻撃が俺の胸を切り裂き、俺は苦痛に顔をしかめる。

 咄嗟に自分に「回復」を使ったが、痛みは完全にはひかない。俺はもう一度続けて「回復」を使ってやっとなんとか危ないところを脱した。

 大事なサバイバルナイフはトラの胸にささったままだ。


 ☆★☆

 イービルタイガー:レベル28

 HP:20/829

 状態:瀕死

 ☆★☆


 もうほんの僅かでトラを倒すことができるんだが……俺は武器の代わりになるものはないかと周りを探したが見つからない。

 一か八かのつもりでトラに対し、「使役テイム」と念じる。

 どうやらダメだったようだ。トラは俺に再度飛びかかってきた。

 トラのするとい牙が俺の肩に食いつき、そのあまりの痛さに俺の意識が飛びかけた瞬間、トラが断末魔の叫びをあげた。

 トラの首筋に瀕死のオオカミが食いつき、その喉笛を噛みちぎったのである。

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