14 ナナミとの旅
「今日はこのあたりで休もうか」
「○○○、○○○○、○○○○」
お互いに何を言ってるのかわからないけど、手振りと表情でそれなりに意思疎通はできてると……思う。勘違いかもしれないけどさ。
枯れ木を集めチャッカマンで火をつけると、ナナミにたいそう驚かれた。
そりゃまぁ驚くわな。一生懸命説明したけど、これはちょっとムリがありそうなので説明はあきらめた。
言葉が通じても説明できそうにないよな、チャッカマンとか。
川で手足を洗って本当は下着も前日洗った分に着替えたいんだが、レディの前で脱ぐのも気が引けるし、木陰にでも行って着替えてくるかとか考えてたんだが……
いきなり、ナナミが服を脱いで素っ裸で水浴びし始めたので驚いた。
そういう習慣なのか、まだ若そうに見えるけど羞恥心とかない年齢なのか、それとも異種族ってことで気にならないのか……
俺が恥ずかしがってるのも、なんか変なので気にしないふりをして、俺も体を洗ってついでに着替えることに。
でも、気にしないふりってのはムリだよ、これ。
ナナミの健康的な裸身を見てて平常心を保つのはぜったいムリ。
急いで俺はパンツをはいて、元気になっちゃってるのを隠した。
狐人ってのは髪から背中、そしてしっぽと毛が生えてるけど、あとは特にケモミミ以外は人間の女性と変わらない裸身でした。
ガン見するのは悪いのでチラチラ見てたんだけど……気づかれてるかな?
気づくよな、普通は。
バストがやや小さいのが少し残念だけど、いいものを見せてもらった。
眼福だ。
夕食は先程捕らえたイッカクウサギ。
ナナミが手早く血抜きや解体までしてくれるので助かった。
俺も精神的には解体とか慣れたけど、やはりまだヘタクソで時間がかかる。
俺が持っていたスポークを見せると、ナナミは上手く利用して焼き始めてくれた。
意図が上手く伝わってくれたようだ。
美味しそうに焼き上がったイッカクウサギの肉をナナミが切り分けてくれた。
「焼肉のタレっていうんだけど、口にあうかどうかわからんけど」
俺は焼肉のタレをかけて一口食べて見せ、ナナミにも勧めた。
ナナミは恐る恐るタレのついた肉を口に入れると、
「○○○、○○○○、○○○○○○○、○○、○○○○○、○○○○、○○○○!!」
早口でまくし立ててパクパク食べ始めた。
しっぽがすごい勢いでふられてるので、きっとすごく気に入ったんだろう。
焼き肉のタレの在庫が少ないので節約しないといけないんだけどな。
グレイも当然のように、待てのポーズで待ってるのでグレイの肉にも焼き肉のタレをかける。
三者公平に行かないとな。
腹も膨れたので寝ることに。
「○○、○○○○、○○○」
んー、なんだろう。自分の方を指さした後に、俺とグレイを指さして地面を指さしてる。
寝ずの番をまずは自分でするから、俺たちは先に寝ろって言ってると解釈した。
あってるかどうかはわからない。
「グレイの『危険感知』スキルがあるから、気にせず一緒に寝よう」
一生懸命身振り手振りで言い合って、なんとか通じたような気がする。
グレイを真ん中に挟んで川の字で寝ることに。
まぁ本心で言えば、ナナミと肌寄せ合って寝たいところではあるけど、さすがにさっき知り合ったばかりでそれはムリだと思うから。
寝る前に、ナナミの頭を軽くなでた。
「おやすみ」
「○○○」
そのまま、グレイをもふもふしながらナナミを加えてのはじめての夜を迎えた。
無事に朝を迎えて旅立ち。皆MPも最大まで回復しているようだ。
「できれば人の住む街の方向に向かいたいんだ。でも特に目的はないから、ナナミの行きたいところがあるのならそちらでも構わない」
「○○○○、○○○。○○、○○○○、○○」
うーん、こういう微妙なニュアンスを言葉がわからないもの同士で伝えるのは、やはりムリな感じがする。
だが、俺としてはこのあたりの地理がまったくわかってないんだから、ここはナナミに主導権を取ってもらいたいんだ。
お互いにらめっこ状態になってしまって、どうにも行くべき方向が決まらない。
「うぉーん」
そう思っていたら、グレイが川の下流に向かって進みだした。
俺についてこいって言ってるんだよな。
そう信じてグレイの後をついていくことにした。
ナナミの方を見ると、にっこり笑い返してくれた。
どうやらナナミもそれでいいようだ。
グレイがいったいどこへ向かっているのかさっぱりわからないけど、まぁいいや。
きっとなんとかなるだろう。




