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13 新しい仲間

 俺は狐人の女の子を抱き起こすが、意識を取り戻す気配がない。

 かわいい!

 いや、そんなこと言ってる場合じゃない。


 この毒をなんとかしないと不味いよ。この肩口の傷が原因だよな。

 俺は傷口に口をつけて毒を吸い出してみる。

 なんかどす黒い血が出てきて、俺はそれを横に吐き捨てる。


 どうやら、こんなことじゃ効果はないようだ。


 ☆★☆

 狐人:レベル10

 HP:47/280

 状態:毒

 ☆★☆


 HPの減少が止まらない。どうしたらいいんだよ。


 ん? ちょっと待てよ。

 「魔獣鑑定」のスキルが効いているってことは、「使役テイム」可能ってことか?

 「使役テイム」さえできれば、HPを「回復」することも、毒を「治療」することもできるじゃないか。


 でも、このままじゃなんともできない。

 なんとか意識を取り戻してもらわないと。

 俺は狐人の女の子のほほをペチペチ叩いてみるが意識を取り戻してくれる気配がない。

 リュックからペットボトルを取り出し、狐人の女の子の顔に水をかけてみる。


 あ、その刺激で意識を取り戻してくれたようだ。


「おい、大丈夫か!」

「○○○、○○○○○○、○○○○○○!」


 なんってこった。言葉がまったくわからない。

 当たり前って言えば当たり前か。

 ここは外国どころか、異世界だ。聞いたこともない言葉の意味がわかるはずもない。


 世間一般の小説とかだと異言語理解とかの謎スキルで言葉が通じちゃうんだけど、そういうご都合主義なスキルとか持ってないんだよな。

 「キツネの精霊の加護」があるんだから、狐人相手には言葉くらい通じてもよさそうなものなのに。


「いいか、わからないと思うけどよく聞けよ。

 今から俺が『使役テイム』を行う。そうすればお前のHPを回復させたり、毒を治療したりできるんだからな」

 通じるはずもないと思いながら、俺は狐人の女の子に説明する。

 狐人の女の子は苦しそうな顔をしたまま、俺の言葉を聞いている。


 俺は狐人の女の子の目を見つめて、「使役テイム」と念じた。


 どうだ?

 狐人の女の子は何か混乱したような顔で俺を見つめている。

 迷っているようだ。

 頼む、受け入れてくれ。


 狐人の女の子は一度目を閉じた後、再度、俺の目を見つめる。

 俺は目をそらさずに狐人の女の子の目を見つめる。

 狐人の女の子は最後ににっこり微笑んだ。


 どうやら、俺のことを受け入れてくれたようだ。

 俺は即座に狐人の女の子に「治療」を行う。

 よかった、「治療」が毒に効いてくれた。

 すかさず、俺は「回復」を四回使って、狐人の女の子のHPも回復させた。


「○○○、○○○○、○○○○○○、○○○○、○○○○」

 あいかわらず、何を言ってるのかさっぱりわからない。

 俺は自分の方を指差し、「マサシ」と名前を教える。

「マサシ?」

 狐人の女の子がそう言い返すので、俺は肯定の意味で首を縦にふる。

 首を縦にふることが肯定の意味にとってくれるといいんだけど……


 狐人の女の子は今度は自分の方を指さして、「ナナミ」とつぶやく。

「ナナミ?」

 それが名前なんだよな? 俺が狐人の女の子はにっこりと微笑んだ。

 この笑顔は毎違いなく肯定だよな。


 ☆★☆

 堂島雅史:レベル5

 HP:300/300

 MP:82/188


 種族:人間

 職業:ビーストテイマー

 状態:平常


 スキル

 魔獣使役:レベル2

 魔獣鑑定

 魔獣回復:レベル1

 魔獣強化:レベル1

 魔獣治療:レベル1

 キツネの精霊の加護


 使役魔獣

 グレイ:レベル14

 ナナミ:レベル10

 ☆★☆


 使役魔獣としてナナミの名前が記されている。

 魔獣って呼ぶのは可愛そうだよな


 ☆★☆

 ナナミ:レベル10

 HP:280/280

 MP:230/420


 種族:狐人

 職業:妖狐

 状態:平常


 スキル

 狐火:レベル3

 幻惑:レベル2

 風刃:レベル2

 遠雷:レベル2

 石礫:レベル2  

 ☆★☆


 ナナミは妖狐という職業らしい。イメージ的には魔法使いなんだろうか?

 スキルはなんとなくイメージできそうな感じのスキルが並んでるな。

 グレイよりレベルは低いけど、俺よりははるかに強そうだよな。


「何はともあれ、よろしく頼む」

 そう言って俺はナナミの頭をそっとなでる。

「○○○○○、○○○○○○、○○」

 お互い何を言ってるのかわからないけど、ナナミはにっこり微笑んでくれた。

「うぉーん」

 グレイは「俺のことも忘れるな」って言いたいんだよな、きっと。

 最近はなんとなくグレイの言いたいことがわかるような気がしてきた。


 そう思ってたらグレイがさっき倒したゴブリンの胸元をツメで引き裂いている。

 あっ、そうか。ゴブリンからも赤い宝石が取れるのかな?

 さっき、吠えてたのもそれか。グレイの言いたいことがわかるってのはどうやら気のせいだったようだ。

 俺がサバイバルナイフでゴブリンの胸をえぐろうとすると、ナナミが自分の短刀を取り出し手早く赤い宝石を摘出し、俺に手渡してくれた。


「これ何かわかる?」

 俺がナナミに赤い宝石のことを聞くと、

「○○○、○○○○○、○○○○○。○○、○○○○○」

 何か説明してくれてるようだけど、やっぱりわからないや。

「とりあえず、しまっておくよ」

 最初はリュックに無造作に入れておいたけど、数が増えてきたので、○○スーパーと書いてあるレジ袋を赤い宝石入れにして、整理するようにしてある。もともと下着を入れていたレジ袋だけどな。

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